「韓国のアマゾン」クーパンがファーフェッチを買収も「カルティエ」や「ヴァンクリ」は撤退を表明
(画像=「セブツー」より引用)

韓国の大手EC企業クーパン(Coupang)は、ラグジュアリーファッション&インテリアECのファーフェッチ(FARFETCH)を買収すると12月18日に発表し、ファーフェッチが買収に同意した。

今回の買収により、クーパンはグリーンノークス・キャピタル・パートナーズ(GREENOAKS CAPITAL PARTNERS)と提携し、ファーフェッチに対して5億ドル(約711億円、1ドル=約142円)で買収する。ファーフェッチは売却に伴い、同社の創業者でCEOのジョゼ・ネヴェス(José Neves)のみが取締役会に残り、そのほかの全取締役は退任する。

ファーフェッチは2007年に英国で創業した、ラグジュアリーファッションに特化したEC企業で、2018年9月に米国のニューヨーク証券取引所に上場した。ピーク時には時価総額2兆円を超え、世界のラグジュアリーECのプラットフォームとも目されていた。しかし、上場後も営業赤字が続き、今年に入ってから株価が2018年のニューヨーク証券取引所への上場時との比較で約96%下落(11月30日時点)していた。

その窮地を救ったのが、2021年にニューヨーク証券取引所に上場したクーパンだ。モール型ECを運営するクーパンは2010年に設立。「韓国のアマゾン」を目指す同社の取扱商品は、食料品、日用品、ファッション、コスメ、家電、ベビー用品、家具などと幅広く、アマゾンを彷彿とさせる商品ラインアップ。約50万点以上の商品が注文から24時間以内で到着する「ロケット配送」が特徴で、トップシェアを獲得している。同社は現在、米国・シアトルに本社を置き、韓国だけでなく、台湾、シンガポール、中国、インドなどの市場で事業を展開。日本へは2021年6月に進出したが、2023年3月に撤退している。従業員数は約6万3000人で、2023年1〜9月期の売上高は前年同期比16.8%増の178億ドル(約2兆5276億円)で、純利益は3億2700万ドル(約464億円)だった。ファーフェッチとの取引が公表された後、株価は下落して16.19ドル(約2298円、12月22日時点)となり、同社の時価総額は289億ドル(約4兆1038億円)。

しかし、救済先がこれまでファーフェッチが関係を築いてきた著名な投資家でないことに加え、「カルティエ(Cartier)」「ヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef&Arpels)」「クロエ(Chloé)」などを擁するコンパニー フィナンシエール リシュモン(Compagnie Financière Richemont SA、以下、リシュモン)との関係悪化が明らかになったことで、同社がいかに追い詰められた状況かが理解できる。リシュモンのヨハン・ルパート(Johann Rupert)会長は、強力なラグジュアリーECのプラットフォームの確立を掲げ、ファーフェッチへの出資や同じくラグジュアリーECのユークス(YOOX)、ネッタポルテ(NET-A-PORTER)を展開する傘下のユークス ネッタポルテ グループ(YOOX NET-A-PORTER GROUP、以下、YNAP)との合併を後押しするなど、同社を支援してきた。しかし、今回のクーパンによる買収後に、同社との取引を正式に中止する声明を発表している。

クーパンが救済に乗り出したことで、事業継続が可能になったファーフェッチだが、今後も予断を許さない状況が続くだろう。なお、ファーフェッチの傘下で「アンブッシュ(AMBUSH)」などを展開するニューガーズグループ(New Guards Group)や、プレミアムスニーカーとストリートウェアの委託販売店「スタジアム グッズ(Stadium Goods)」の今後に関しては明らかにしていない。