総括
FX「リラ安は預金の40%が外貨だから。日本は0.3%。2月8日にインフレ報告」トルコリラ見通し
(通貨7位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円4.3-5.3
*エルカン中銀総裁が辞任
*カラハン新総裁はインフレ抑制のため金融引き締めを継続
*2月8日にインフレ報告書に関する会見を開く
*1月消費者物価は高止まり
*1月は12通貨中7位、株が世界最強
*1月貿易赤字は縮小も赤字は継続
*預金の4割が外貨預金であることもリラ安要因
*プーチン大統領が近くトルコ訪問
*政策金利引き上げは最終か
*年末までに金利が20%低下する可能性、ゴールドマン・サックス
*格付会社は見通しを引き上げ
*対ドルで30リラにのせる。史上最安値。
*政府は2026年にインフレが一桁となると主張
(1月は12通貨中7位、今年は独歩安ではない)
1月は対円で陽線で終わる。年初来2.31%高で12通貨中7位、対ドルでは2.4%安。今年もリラは安いが例年の独歩安ではない。少しは金融引き締め効果あり
長期金利(10年国債)は相変わらず高く26.47%。イスタンブール100株価指数は年初来17.46%と高く世界最強。
(利上げ打ち止め示唆も、消費者物価は上昇継続)
1月の消費者物価(CPI)は前月比6.7%、前年同月比64.86%上昇した。最低賃金の大幅な引き上げや新年の価格改定などの影響で予想をやや上回った。
予想は前月比6.5%、12月は2.93%だった。前年比伸び率の予想は64.5%。年央まで伸びが拡大するとみられている。
シムシェキ財務相は1月にCPIが前月比で加速したのは一時的な影響によるもので、今月から目標とする経路に沿って収束していく見込みと述べた。
前月比の伸びが最も大きかったのは、健康関連、ホテル、外食などで、前年比では教育、交通、食料品の上昇が目立った。
1月の生産者物価指数は前月比4.14%、前年比では44.2%上昇した。
(1月貿易赤字は縮小も赤字は継続)
1月貿易収支速報は61.7億ドルの赤字。前年同月の142.8億ドルの赤字からは赤字幅は縮小した。輸出が3.6%増、輸入が22%減少。原油価格の下落が輸入額を減少させた。
1月製造業PMIは49.2で12月の47.4から改善した。
(エルカン中銀総裁が辞任)
去年からエルカン中銀総裁とその家族をめぐる誹謗中傷が続いていたが、エルドアン大統領が総裁の支持を表明し、メディア報道を「我々が多大な困難を経て達成した経済の信頼と安定の風潮を破壊することを目的とした不合理な噂」として一蹴していたので一件落着と思っていたが辞任に追い込まれた。ただ辞任後は金融市場の大きな変動はなかった。
(新中銀総裁も金融引き締め継続を示唆)
新総裁に任命されたカラハン氏は、総裁として初めて政策運営方針を表明し、物価上昇率が目標水準に低下するまで金融引き締めを継続するとの決意を強調した。
カラハン氏は昨年7月から副総裁を務めていた。同氏は米ペンシルベニア大で経済学博士号を取得し、NY連銀で約10年間エコノミストを務め、コロンビア大などで教鞭を執ったほか、2022年にアマゾン・ドット・コムで首席エコノミストに就いていた。
(2月8日にインフレ報告書に関する会見を開く)
新総裁は2月8日(木)現地時間午前10時30分にアンカラで2024年の最初のインフレ報告書に関する会見を開く予定。
(トルコ国民は外貨志向)
1月26日付けでは、トルコのリラ預金が8.9兆リラ、外貨預金が6.04兆リラ。預金の40%が外貨預金だ。中銀は外貨預金の準備比率を高めるなどしているが、国民の外貨選好は強い。インフレ防衛には外貨を保有することが最善だと思っているのだろう。貿易赤字と膨大な外貨預金がリラ安の要因だ。利上げをしてもこの傾向は変わらない。リラを強くしようとするよりも、ユーロ通貨統合に参加する方がトルコの物価安定に繋がるが、その動きは全く進まない。人民元との連動を深めても今のリラを保有するよりはマシだろう。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
ボリバン2σ上下限を往復
日足、ボリバン2σ上下限を往復。2月2日-3日の上昇ラインがサポート。1月23日-2月3日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き、20日線上向き。
週足、ボリバン下位で推移。1月8日週-29日週の上昇ラインがサポート。11月13日週-1月22日週の下降ラインが上値抵抗。5週線上向き、20週線下向き。
月足、2σ下限近辺で推移。7月-8月の上昇ラインを下抜く。11月-12月の下降ラインが上値抵抗。
年足、9年連続陰線。その間5.2円から4円台へ沈む。去年当初は僅かに陽転していたが3月から陰転。今年1月は陽線。
メルハバ
プーチン大統領が近くトルコ訪問
トルコはロシアのプーチン大統領が近く同国を訪問する見通しを明らかにした。約2年前にウクライナ侵攻を命じて以来、プーチン氏がNATO加盟国を訪れるのは初めて。2月12日になると見られている。
トルコのエルドアン大統領はプーチン大統領との会談で主にエネルギー協力とシリアにおける安全保障について話し合う見通し。ウクライナでの戦争が主要議題の1つになる可能性も高い。プーチン大統領は、戦争犯罪容疑で国際刑事裁判所(ICC)の令状に基づき逮捕される可能性があるが、トルコはICCローマ規程に署名しておらず、その決定に拘束されない。