ID為替レポート
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「今週は米国CPI。日本はマイナス金利解除観測 VS 貿易赤字、物価低下。ドル円2月中旬データも上昇」

ドル円=147-152、ユーロ円=159-164、ユーロドル=1.05-1.10

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨最下位(最下位)、株価2位(2位)、マイナス金利解除観測 VS 貿易赤字、物価低下。ドル円2月中旬データも上昇」
2月上旬はデータ通りドル円は上昇、中旬もドル高のデータがある。米国の消費者物価や日本のGDP発表がある中で、データ通りになるか。日足はボリバン2σ上限に達したので達成感はあるが、週足、月足はまだ上昇余地がある。年足は151円後半でダブルトップ。
 需給は1月中旬貿易統計が1.74兆円の赤字、依然大きいが、前年同期の3.15兆円からは半減している。赤字拡大の勢いは衰えたがまだ赤字だ。23年12月は僅か(621億円)だが黒字となったことが12月のドル円の下げに繋がったのだろう。新NISAの外貨投資は外株・外債市場が厚くなるロンドン市場で出ているのではないか。
 先週は日銀総裁・副総裁がマイナス金利解除を示唆したが金融緩和は継続と発言したことでドル円は上昇した。日銀はマイナス金利という異例な状態からは抜け出したいようだ。今週発表される23年10-12月のGDPにも焦点が集まる。2四半期ぶりのプラス予想。ただ最近の物価指標は低下気味で、日経新聞でもスーパーの食品価格がピークアウトしていると報道している。日銀は賃金の上昇とガソリン補助金の廃止が物価を上げると見ているようだが、中国を始め、世界の物価が低下する中で、迷いも生じる。

鈴木財務相は「為替はファンダメンタルズを反映して安定的に推移すること重要」とけん制を始めた。

(仲値動向基本)

2/12(月) 仲値なし 日本祝日
2/13(火)3連休明けゴトビ
2/14(水)通常仲値
2/15(木)ゴトビ
2/16(金)3連休前(2/19が米国祝日)でドル買い需要やや多い

2/19(月)仲値なし(米国祝日)

*米ドル「通貨首位(首位)、株価(NYダウ)6位(6位)、今週はCPI。高齢者同士の大統領選が盛り上がってきた」
ドルは年初来最強維持、株価指数も徐々に上昇している。今週は1月消費者物価が焦点となる。12月のFOMCで24年利下げ3回(0.75%)を示唆したが、市場が先走りしているので、FOMCは少し手綱を締めている。今週発表の1月消費者物価の予想は12月の3.4%から2.9%へ低下する予想。コアも3.9%から3.7%へ低下する予想だ。クリーブランド連銀のCPIナウは2月9日付でそれぞれ、2.94%、3.81%。1Q全体では2.55%へ低下する予想だ。一方、アトランタ連銀の1Q・GDPナウは4.2%から3.4%へ下方修正されている。それでも順調な景気回復と言える。

 これらを不安定にさせているのが大統領選挙であり、トランプ氏が大統領になれば経済運営がガラッと変わるので、国内だけでなく、ECBや中国も警戒している。
トランプ氏の取り得る政策は「輸入関税導入」、「中国の最恵国待遇撤回を検討、輸入関税を60%」、「2025年に失効する所得税減税の恒久化」、「追加関税の実施や、外国支援、気候変動対策関連の補助金、移民などに対する政府支出を抑制し減税の財源をまかなう」、「エネルギー政策、気候変動対策を転換しパリ協定からも再度離脱」、「米国内での石油・天然ガスの掘削を大幅に拡大する」、「燃費や排ガス基準などのエネルギー規制を撤廃し、電気自動車とクリーンエネルギーに対する優遇措置を廃止する」、「移民を強く制限する大規模な大統領令が出される可能性」、「FRBに金融緩和を要請し、物価の安定を重視するFRBと激しく対立する」、「景気を支援するためにドル安を望む考えを再び明らかにする」などだ。

 トランプ氏のドル安政策だけでは、貿易赤字国である日本の円安を覆すことは一時的にあっても恒久的はならないだろう。その時はクロス円の買いが出るだろう。
米国時2月11日のスーパーボールでの歌手テイラー・スウィフトさんの大統領選への発言も注目されている。

*ユーロ「通貨6位(6位)、株価7位(10位)DAX)、対ドルで4週ぶり週足陽線。ECBは利下げに慎重」
対ドル週足では4週ぶりに陽線となり下げ止まった。日足も4日連続陽線。依然、独を中心に経済指標は弱い。独のリンドナー財務大臣自ら「ドイツは成長の欠如によりさらに貧しくなっている。見通しを示すことはまだ不可能であり、より柔軟な労働市場を必要としている」と述べている。
独連邦統計庁が7日発表した2023年12月の独鉱工業生産指数は前月比1.6%低下し、7カ月連続の低下となった。予想は0.4%低下。12月の輸出は前月比4.6%減少。 
 ただそれでもECBからは利下げに慎重な声が多い。シュナーベル専務理事は、「ECBは利下げに忍耐強く取り組むべき。借り入れコストの低下はユーロ圏経済に悪影響を与え、インフレ再燃のリスク要因となり得る」と述べた。

 市場が織り込むECBによる4月の0.25%の利下げ確率は47%。1月末時点では完全に織り込まれていた。ユーロ圏消費者インフレ期待は3.2%と、前月の3.5%から低下して2022年2月以来の低水準となった。一方、3年先では2.5%と、前月の2.4%から上昇した。景気見通しについては悲観的な見方が続いている。消費者は今後1年で1.3%の縮小を予想しており、これは11月と変わらなかった。 

*ポンド「通貨3位(2位)、株価16位(16位)、失業率改善で早期の利下げに慎重。3位堅持」
ポンドは年初来3位と強いが、FT株価指数は16位と弱い。前回の政策金利決定では、利上げ派と利下げ派が珍しく共存した。簡単には利下げは出来ない印象が残った。金利も、インフレもユーロ圏よりも高いこともポンドの支えとなっている。英中銀のマン金融政策委員は、「最近のインフレ率の低下傾向が今後も続くとは確信していない」と述べた。

同じくハスケル委員は「インフレ低下の兆候は心強いが、十分ではない。利上げ支持をやめるには、インフレの持続的な低下を示すさらなる証拠が必要だ」とした。一方、ディングラ委員は「英国が直面する下振れリスクを過小評価した可能性がある。全体として、モノの価格は大幅に下落し、サービス価格のインフレがあったとしても、目標のインフレ水準に達するほど十分に堅調になるだろう。早すぎる利下げによる信頼性へのリスクについては懸念はない。英国の消費は低迷しており、打撃を受けようとしている」と発言した。 2%のインフレに必要な賃金上昇率については明確な見通しはない。

 ベイリー総裁はインフレは「正しい方向に進んでいる」と述べるなど、将来的な利下げに含みを持たせた。ブリーデン副総裁は、「他の先進国でもインフレ圧力が緩和していることに勇気づけられているとする一方、英経済がわれわれの予測通りに進展していると確信するにはさらなる証拠を見る必要がある」と述べた。

昨年9-11月の失業率は推計値の4.2%から3.9%へ大幅に修正した。これは早期の利下げに慎重になる可能性がある。
今のところ、 短期金融市場では現在、英中銀が6月の金融政策決定会合で利下げ開始を決めるとの予想が大半だ。

*豪ドル「通貨11位(10位)、株価109位(9位)、RBAややタカ派的で対ドルで6週ぶり週足陽線。先週は12通貨中3位とまずまず」
対ドルで6週ぶり週足陽線。先週は12通貨中3位とまずまずだった。RBAは政策金利を予想通り12年ぶり高水準の4.35%に据え置いた。インフレ率が依然高すぎるとして、追加利上げは排除できないと指摘。物価圧力の低下を示すさらなる証拠が必要としている。タカ派なトーンを受け、利下げ開始時期の予想は8月から9月に後ずれした。
RBAは声明で「最近の指標はインフレが鈍化していることを示しているが、インフレ率は依然として高い。インフレ率が持続的に目標レンジに向かうと確信する必要がある」と表明した。

金融政策に関する四半期報告で、インフレ率と経済成長率の予測を引き下げたが、需要超過の状態が続いているとの認識を示し、利下げを急がない姿勢を示唆した。

GDP 予測は 2024 年末に 1.8%、2025 年末に 2.3%、2026 年半ばに 2.4%
CPI 予測は 2024 年末に 3.2%、2025 年末に 2.8%、2026 年半ばに 2.6%
コアCPIは 2026 年半ばまでに 2.6% に達すると予測。
RBAは利下げが 2024 年に開始されると想定。

政策金利は2024年半ばに4.3%、2024年末に3.9%、2025年末に3.4%、2026年半ばに3.2%になると想定。

賃金価格指数は、2024年末に3.7%、2025年末に3.4%、2026年半ばには3.2%上昇すると予想。
失業率は、2024年末には4.3%、2025年末には4.4%、2026年半ばには4.4%になると予測。

*NZドル「通貨10位(11位)、株価8位(9位)、利上げ観測、成長見通し上方修正で先週は最強通貨」
先週は最強通貨となり、年間順位も10位から7位へ上げた。コンウェイNZ中銀金融政策委員会が「4Qのインフレ率は4.7%で、中銀予想の5%を下回ったものの、非貿易品インフレは中銀が予想したほど減速しなかった。国内の物価圧力を推定する非貿易品は依然として粘り強く、2%には程遠い」と述べ下げ止まっていたが、民間銀行の予測がさらにNZ上昇を加速させた。

 4Q雇用統計は、予想より好調だった。失業率は3.9%から4.0%に上昇したが、予想の4.2%を下回った。雇用者数は前期比0.4%増加し、予想の0.3%を上回り、3Qのマイナス0.2%から改善した。好調な労働統計を受けて今月再び利上げする可能性がある。2月16日のオア中銀総裁の講演で市場が認識する利上げ確率がさらに高まる可能性がある。

ANZ銀行は現在、NZ中銀が2月と4月に0.25%ずつ利上げすると予想している。 4月に政策金利が6%になるとした。
また経済シンクタンクインフォメトリクスは移住により支出が増加しており、オークランドを筆頭とする主要都市の経済見通しが明るくなると予測されている。
2024年と2025年の年間国内総生産(GDP)が平均2%になると推定しており、これは10月の年間経済成長率予測1.2%から上方修正された。

テクニカル分析

*ドル円「一時ボリバン2σ上限へ、週足は下ヒゲの長い陽線が続く」
日足、一時ボリバン2σ上限へ。2月6日-7日の下降ラインを上抜く大陽線。2月8日-9日の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ上限が上値抵抗。5日線、.20日線上向き。
週足、ボリバン2σ中位越え維持。下ヒゲの長い陽線が続く。1月29日週-2月5日週の上昇ラインがサポート。11月13日週-2月5日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、1月大陽線。2月も陽線スタート。22年4月-23年1月の上昇ラインがサポート。22年10月-23年11月の下降ラインが上値抵抗。5か月線下向く、20か月線は上向き。
年足、2022年、2023年と長い上ヒゲの陽線となった。151円後半がダブルトップとなる。22年-23年の上昇ラインがサポート。1985年-2022年の下降ラインが上値抵抗。

*ユーロドル「週足、4週ぶり陽線。日足4日連続陽線で反発」
日足、雲下へ下落も4日連続陽線。ボリバン下位。2月8日-9日の上昇ラインがサポート。2月2日-9日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
週足、雲中。4週ぶり陽線。10月30日週-2月5日週の上昇ラインがサポート。1月29日週-2月5日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向く、20週線上向き。
月足、11月、12月連続陽線も1月は陰線。2月も陰線スタート。7月-12月の下降ラインが上値抵抗。10月-11月の上昇ラインがサポート。5か月線、20か月線上向き。
年足、2023年は陽線。ドルより強かった。ボリバン2σ下限到達し長い下ヒゲでサポ―ト。今年は陰線スタート。22年-23年の上昇ラインがサポートできるか。14年‐21年の下降ラインが上値抵抗。

*ユーロ円「週足、ボリバン上位維持。2週連続下ヒゲ長い」
日足、上位へ。2月7日-8日の上昇ラインがサポート。1月23日-2月9日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、ボリバン上位維持。2週連続下ヒゲ長い。1月29日週-2月5日週の上昇ラインがサポート。1月22日週-2月5日週の下降ラインが上値抵抗。5週線が20週線を上抜く。
月足、11月-1月の下降ラインを上抜く。12月-1月の上昇ラインがサポート。5か月線、20か月線上向き。
年足、4年連続陽線。24年も陽線スタート。22年-23年の上昇ラインがサポート。08年-23年の下降ラインが上値抵抗。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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