主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年2月16日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼15日(木)の為替相場
(1):本邦GDP 2期連続のマイナス成長
(2):軟調な豪雇用統計
(3):英財務相「英経済は曲がり角に差し掛かっている」
(4):ECB総裁「性急な決断は避けたい」
(5):米小売売上高予想を下回る
▼15日(木)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:一方向への動きは限られそう/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
15日(木)の為替相場
期間:15日(木)午前7時10分~16日(金)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):本邦GDP 2期連続のマイナス成長
日本10-12月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比年率-0.4%と予想(+1.1%)に反して2四半期連続のマイナス成長となった。物価の上昇などを背景に個人消費が冴えなかった。なお、2023年通年の名目GDPはドル換算で4兆2106億ドルとなり、ドイツ(4兆4561億ドル)に抜かれて世界第4位に後退した。
(2):軟調な豪雇用統計
豪1月雇用統計で、新規雇用者数は0.05万人増にとどまり、市場予想(2.50万人増)を大きく下回った。失業率は4.1%と前月(3.9%)から上昇。市場予想(4.0%)以上に悪化した。労働参加率も66.8%と前月から横ばいで市場予想(66.9%)に届かなかった。軟調な雇用統計を受けて豪中銀(RBA)の利下げ開始が速まるとの観測が広がり豪ドルが下落した。
(3):英財務相「英経済は曲がり角に差し掛かっている」
英10-12月期GDP・速報値は前期比-0.3%と予想(-0.1%)を下回り、7-9月期(-0.1%)に続きマイナス成長となった。英12月鉱工業生産は前月比+0.6%と予想(-0.1%)に反して上昇。英12月貿易収支は139.89億ポンドの赤字と、赤字額は市場予想(149.00億ポンド)より少なかった。なお、ハント英財務相はGDPの結果を受けて「英国経済は曲がり角に差し掛かっている兆しがある」と指摘した。
(4):ECB総裁「性急な決断は避けたい」
欧州中銀(ECB)のラガルド総裁は「2024年を通じて、ディスインフレが緩やかに続く見通し」としながらも 「インフレを左右する要因として、賃金の重要性が増している」「インフレが2%に向かいつつあることを示す追加データが必要」などとして「ECBは性急な決断は避けたい」と述べた。
(5):米小売売上高予想を下回る
米1月小売売上高は前月比-0.8%と市場予想(-0.2%)以上の落ち込みとなった。自動車を除いた売上高も前月比-0.6%と予想(+0.2%)に反して減少。GDPの算出に用いられるコア小売売上高(自動車・ガソリン・建材・外食を除く)も-0.4%と予想外の減少となった(予想+0.2%)。一方、米新規失業保険申請件数は21.2万件と市場予想(22.0万件)より少なく、前週(22.0万件)から減少した。米2月NY連銀製造業景気指数は-2.4(予想-12.5、前回-43.7)、米2月フィラデルフィア連銀景況指数は+5.2(予想-8.1、前回-10.6)だった。その後に発表された米1月鉱工業生産は前月比-0.1%と市場予想(+0.2%)を下回った。米経済指標のマチマチの結果を受けてドルは乱高下。最も注目度が高かった小売売上高の悪化で149.50円台に急落する場面もあったが、その後はやや持ち直した。
15日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:一方向への動きは限られそう
昨日のドル/円は149円台へと続落。米1月小売売上高が予想以上に低下したことで149.53円前後まで下落する場面もあった。米新規失業保険申請件数が予想より減少したため一時150円台に持ち直したが、米長期金利が小幅に低下する中で買い戻しは続かなかった。今週は13日の米1月消費者物価指数(CPI)を受けて早期利下げ観測が大きく後退したが、昨日の小売売上高で再び利下げ期待が浮上するなど、市場は米経済指標の結果に一喜一憂。
本日のNY市場で発表される米1月生産者物価指数(PPI)にも米長期金利とドルは敏感に反応しそうだ。ただ、来週19日は米国がプレジデンツデーの祝日となることからNY市場終盤は3連休前の持ち高調整が入りやすい。米長期金利もドルも一方向への動きは限られそうだ。ドル/円は150円台半ばでは戻り売りが出やすい半面、149円台前半では買戻しが入るだろう。
注目の経済指標:米生産者物価指数
注目のイベント:FRB高官発言
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1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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