本記事は、名郷根 修氏の著書『10x 同じ時間で10倍の成果を出す仕組み』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

Silhouette of businessman holding flag on the top of mountain
(画像=Dilok / stock.adobe.com)

「10倍の目標」を立てるときに絶対に欠かせないこと

未来思考で「やりたいこと」をやろう

「あなたは今、自分が本当にやりたいことをやっていますか?」

このような質問をされたら、どう答えるでしょうか?「自分が本当にやりたいこと」よりも「やるべきこと」をしている人のほうが多いのではないでしょうか。

「今日中に、これを終わらせなければならない」
「来週月曜日のプレゼンまでに資料を準備しなくてはいけないから、週末も資料づくりをしないと間に合わない」
「今月中にあの件について、あの人と打ち合わせをする必要がある」

といったように、私も「10x」の思考法を身につけるまでは「やるべきこと」の連続の日々を過ごしていました。けれども、「やるべきこと」ばかりに追われる日々を過ごしていると、つらくなってきて、心が疲弊してしまいます。

私たちは過去、現在、未来で構成された時間感覚を持って生きています。どの時間感覚の割合で生きているかは人によって異なりますが、多くの人は過去に基づいた時間感覚で生きています。

年をとるにつれて、これまで自分が学んだり、経験したり、達成したことを過去思考で繰り返すようになります。そして、今までに経験したことのない新しいことをやるよりも、過去の経験をもとに「やるべきこと」をやるようになります。

しかしながら、過去思考よりも、はるかに人生を豊かにする考え方があります。それは未来思考で、あなたが本当にやりたいことをすること です。そして、この未来思考で考えるときに大事なことがあります。

「私はやりたいことをやる。なぜならそれをやりたいから」

それ以外の理由はないということです。

じつは、「10倍の目標」を立てるときに絶対に欠かせないのは、この 「自分が本当にやりたいことをやる」 ということです。

過去の私も含め、多くの人が「やるべきこと」の世界に生き、ごく少数の人が「やりたいこと」を追求する世界に生きています。

「やるべきこと」の世界に生きている人は、必要性が満たされたら、それ以上の成長はありませんが、「やりたいこと」を追求する世界に生きている人の成長に終わりはありません。「10倍の目標」を達成する人に共通するのは、未来思考で自分が本当にやりたいことをやっていることです。

「やるべきこと」と「やりたいこと」の違い

「やるべきこと」と「やりたいこと」には大きな違いがあります。「やるべきこと」は報酬や罰、必要性といった外部からの要因により行動します。

このとき、すべての基準や判断は他者が行います。

一方で、「やりたいこと」は100パーセント内的な欲求からきています。そのため、すべての基準と評価は自分で決めるので、自分でコントロールできます。

「やるべきこと」の世界に生きている人は、欠乏感を埋める世界に生きています。世界には限られたチャンス、お金、時間、地位などがあり、その世界の中で競争してパイを奪わなければならないと考えます。

これに対して、「やりたいこと」の世界に生きている人は、豊かさの世界に生きています。ほかの人と競争するのではなく、「やりたいこと」で自由を追求します。自分自身で自由を実現する能力に制限はないと信じています。

多くの人は無意識のうちに「やるべきこと」が当たり前の世界に生きています。大人になって、社会人として仕事をすると、なおさらです。

実際に仕事をしていて「やりたいこと」だけではなく「やるべきこと」もやらないと仕事が納期までに終わらないといったこともあると思います。

それに「やるべきこと」が何もなされないままでいたら、それは仕事として成り立たないですよね。私も最初は同じ考えを持っていたのでよくわかります(「やりたいこと」をどう優先して取り組むかは、この後、詳しく解説していきます)。

かつての私は、日々の仕事が「やるべきこと」だらけでした。1日の仕事はメールチェックから始まり、届いたメールにできるだけ速く返信することが私の最初の「やるべきこと」でした。

メールの内容確認と返信に多くの時間を費やし、そのほかにも、締め切りのある資料作成、見積書や注文書、請求書の作成や内容確認、契約書のレビュー、販売データの集計など、1 日の大半の仕事が「やるべきこと」だったと言っても過言ではありません。「やるべきこと」が多過ぎるストレスで、いつもイライラしていました。

あなたも最初は、「未来思考でやりたいことをやろう!」と言ってもピンとこないかもしれません。それはまるで、水槽に住んでいる魚に「水の外の世界に行きたいと思う?」と聞いても、水槽の中に住んでいるのが当たり前なので、質問の意味を理解できないようなものです。

けれども、じつはあなたも私も「やりたいこと」の世界に生きていたときがあります。それは、子どもだったときです。

私は岩手県の自然豊かな場所で生まれ育ち、子どもの頃は、好奇心のままに外へ虫を捕まえに行ったり、それまで行ったことのない場所へ、まるで冒険するかのように友だちと出かけたりするのが好きでした。そのときはシンプルに「やりたい」と思うことだけをしていて、それ以外の理由はありませんでした。

そして大人になった今も、経営に携わっている医療分野の会社の仕事で「やりたいこと」ができています。まるで冒険するかのようにチームメンバーと海外の展示会や取引先に訪れ、最先端の医療機器を見つけることを宝探しのように楽しんでいます。

あなたが子どものときに好きだったことは何ですか?

「やるべきこと」から「やりたいこと」の世界へシフトするためのきっかけの1つになるアクションとしておすすめなのは、子どもの頃に好きだったことを思い出し、そのマインドを今の自分とつなげていくことです。

10x同じ時間で10倍の成果を出す仕組み
名郷根 修(なごうね・しゅう)
1978年生まれ、岩手県出身。米国戦略コンサルティングファーム、グローバル医療機器メーカー・フィリップスで勤務後、現在はグループ合計年商180億円の医療分野の会社・南部医理科とフィンガルリンクの経営に携わり、世界最先端の医療技術や製品の普及に努めている。
世界一の戦略コーチであり、Strategic Coach社を創設したダン・サリヴァン氏に師事し、同社が提供している10x Ambition Programを卒業した唯一の日本人。
会社経営者やエグゼクティブ、起業家を対象に、事業を10倍にしながら自由な時間を生み出す講座、仕事の生産性を上げることに特化したコーチングプログラムを提供している。
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