メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「世界最強維持。円高、ドル高、メキシコ利下げ観測を撃破」メキシコペソ見通し

予想レンジ 8.6-9.1

 (ポイント) 
*年間最強通貨となり今週も堅持、昨日は年初来高値更新
*メキシコ中銀副総裁は慎重な利下げを示唆 中銀理事会は3月21日
*対米輸出額は1月も世界最強
*フィッチ、メキシコの2024年の成長予測を2.2%に下方修正
*鉄鋼関税問題は大統領選挙前だから
*2月消費者物価は低下、目標は3%
*自動車輸出、郷里送金快調
*米政府、メキシコからの中国車輸入を阻止か
*4Q・GDPは伸び鈍化
*中国BYDもメキシコ進出か
*2023年のGDPは前年比3.1%増加、IMFの2024年成長見通しは2.7%
*気になるのは財政支出拡大と財政赤字拡大
*トランプ大統領が誕生すればメキシコに一波乱あり

(年間最強通貨となり今週も堅持)
 先週、年間最強を米ドルから奪ったメキシコペソは、今週も引き離しにかかっている。先週からは円に利上げ観測が強まっているが、対ドルではペソの上昇率のほうが高い。
 対ドルで1ドル16ペソ台後半で強含み推移している。メキシコ・ボルサ株価指数は年初来で2.31%と安い。10年国債は9.55%。

(メキシコ中銀副総裁はCPIを鑑み慎重な利下げを示唆)
 メキシコ中銀には主要金利を調整する余地があるとメヒア副総裁が発言した。
メヒア副総裁は、次回3月21日の会合に向けてメキシコ中銀の基準金利を調整する余地があるとの見方を示した。
 メヒア副総裁によると、同国のインフレリスクのバランスは「それほど悪化していない」ため、中銀の金利を変更する余地がある。
 副総裁は「過度に制限的な金融スタンスをとらないように注意しなければならない。そのため、この意味でも調整を行うことが適切だと考えている」と語った。「今後の課題は、依然として目標を上回っているとはいえすでに下降軌道にあるインフレと整合性を保つ形で金融スタンスを調整することだ」と述べた。

 2月の消費者物価は前年同月比4.4%上昇し、主要指標の伸びは10月以来初めて鈍化した。燃料や食品などの変動しやすい項目を除いたコアインフレ率は前年比4.64%に低下した。

メヒア総裁は、ディスインフレプロセスやリスクバランスにおいて大きな進展があったにもかかわらず、中銀が3%のインフレ目標を達成するにはまだ長い道のりがあると述べた。たとえ金利が下方修正されたとしても、中銀は引き続き制限的なスタンスを維持するだろうが、これは物価圧力を抑制するために必要であると付け加えた。

 ロドリゲス総裁率いる政策当局者らはこれまで、インフレ見通しの「前進」により利下げの検討が可能になったと述べている。メキシコ中銀は、パンデミック後の引き締めサイクル後も借入コストを安定的に維持しているラテンアメリカの唯一の主要なインフレ目標機関である。

(対米輸出額は1月も世界最強)
 2023年に対米輸出額ではメキシコが中国を抜いて首位となった。今年の1月も首位を維持している。1月のメキシコの対米国輸出額は380.4億、前年同月比2.8%増となった。これはメキシコの輸出額としては過去最高となった。メキシコの輸出先では8割を米国が占めているだけに、米国経済動向がメキシコ製造業の浮沈に大きく影響してくる。米国の2024年成長見通しは約2%なので、現状は問題ない。
 ただメキシコの中国からの輸入はここ5年で5割増えている。米国から関税を引き上げられた中国企業がメキシコ経由で迂回輸出している。

 メキシコの自動車輸出は2月に前年比22.6%増加した。自動車産業の成長傾向が続く。

(フィッチ、メキシコの2024年の成長予測を2.2%に下方修正)
 フィッチは、2024年のメキシコの経済成長率予想を2.4%から2.2%に引き下げた。
2025 年の景気減速に関する広範な予想を反映しており、米国の経済見通しを厳密に反映しているとした。
 米国の財政刺激策と家計収入の減少も考慮、フィッチは米国経済が2024年に2.1%成長すると予測している。また米国の成長は 2025 年までに1.5% に減速する。
 また2023年最終四半期にはメキシコの主要経済セクターの弱点を明らかにした。農業、製造業、サービス業はいずれも減速の兆しを示した。
 投資は毎年 20%ずつ急増していたが、今年は6%の増加が見込まれている。マヤトレインのような主要プロジェクトが完了したこともある。
 ただテワンテペク地峡回廊は重要なインフラストラクチャの取り組み。このプロジェクトは共に、メキシコの経済成長を持続可能な速度で促進することを目指している。

私見=ただニアショアリング進展状況で見通しも変化するだろう。それほどネガティブな材料を取り上げているわけでもない。

テクニカル分析

再び年初来高値更新、2σ上限からは小反落

 日足、再び8.885をつけ年初来高値更新、ただ2σ上限から小反落。3σ下限からの復活だった。3月12日-13日の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ上限が上値抵抗=8.893。5日線上向き20日線を上抜く。
 週足、ボリバン2σ上限へ上昇。1月29週-3月4日週の上昇ラインがサポート。2008年10月6日週-2024年3月11日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
 月足、23年7月からの山なり状態を上抜いた。12月-1月の上昇ラインがサポート。2008年8月-2024年2月の下降ラインを上抜く。
 年足、23年で3年連続陽線。14年-22年の下降ラインを上抜く。22年-23年の上昇ラインがサポート。

メキシコペソ見通し
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VAMOS MEXICO

鉄鋼関税問題は米大統領選挙へのアピール

 メキシコ経済省は、米USTRと鉄鋼・アルミニウム製品輸出入の監視強化と関税率変更で合意した。合意内容は以下の通り。
 輸出入のモニタリング強化のため鉄鋼、アルミニウム製品について、米国と統合した関税分類を作成する。貿易協定のない国からの鉄鋼、アルミニウムの輸入動向に配慮し、205の関税品目で一般関税率を25%とする。
 メキシコ・ブエンロストロ経済相は、両国間の鉄鋼貿易に関税を課すことは米国やメキシコの利益にならないとし、「米国の主張は経済的根拠に欠けており、選挙の年による政治的圧力に対応しているだけだ」と主張している。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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