人民元見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「一時、1993年以来の対円21円台、若者失業率は15.3%」人民元見通し

(通貨5位、株価13位)

予想レンジ 人民元/円20.7-21.2

(ポイント)
*一時、1993年以来の対円21円台
*中国のインフレは日本より低いが、国債利回りは、日本より高い。
*最優遇貸出金利据え置き
*1-2月鉱工業生産と小売売上高は予想を上回る
*中国の1月米国債保有高は減少
*2月若者失業率は15.3%
*あいまいな香港国家安全条例が成立
*1-2月貿易は輸出入ともに増加
*2月消費者物価は上昇
*IMFが3月下旬に訪中
*成長目標は5%、インフレは3%
*預金準備率に下げ余地
*米中対立は続いている
*米国はメキシコ経由の中国車の流入を避けようとしている
*中国への直接投資 前年から80%以上減少
*米国の輸入、中国が15年ぶり首位陥落
*格付見通しをネガティブにしているムーディーズの動きも気になる
*トランプ氏は対中関税を60%以上にすると発言

(人民元上昇、1993年以来の高値)
 年間4位で対円6.06%高、3位のドルが対円7.33%高と、いつものように寄り添って推移。人民元がドルを主軸としたバスケット制度をとっていることによる。3月はドルと人民元は揃って7位。
8日連続陽線と3月中旬からの上昇は勢いがある。対円では1993年以来の21円台を一時つけた。
 株価も下げ止まっている。上海総合指数は3.52%高、香港ハンセン指数は2.88%安(年初来)。10年国債利回りは2.398%、中国のインフレは日本より低い0-1%だが、国債利回りは、日本より高い。

(最優遇貸出金利据え置き)
 人民銀行は3月20日、最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を予想通り据え置いた。
経済全般に改善の兆しが幾分見られる中、人民銀は先週、1年物中期貸出制度(MLF)の適用金利を据え置いていた。1年物LPRは3.45%、5年物は3.95%にそれぞれ据え置いた。当面は2月の利下げの効果を見極めながら、預金準備率の引き下げで不動産不況に対応する考えとみられる。

(鉱工業生産と小売売上高は予想を上回る)
 1-2月の鉱工業生産と小売売上高は予想を上回った。政策当局に一定の安心感を与える内容となったが、引き続き不動産部門の低迷が経済と信頼感の重しになっている。
鉱工業生産は前年同期比7.0%増。伸び率は2023年12月の6.8%から加速し、予想の5.0%も大きく上回った。小売売上高は5.5%増。12月の7.4%増から伸びが鈍化。スト予想は5.2%増だった。
固定資産投資は4.2%増加し、予想の3.2%増を上回った。23年は通年で3.0%増だった。

(中国の米国債保有高は減少)
 中国の1月米国債保有高は12月の5カ月ぶり高値から減少した。中国の保有額は186億ドル減少し、7,977億ドルとなった。海外最大の保有国である日本は、1月に保有保有額を149億米ドル増の1兆1500億ドルとした。

(中国の若者の失業率、2月に若干上昇)
 世界第2位の経済大国の政策当局者が高まる景気後退懸念の緩和に努める中、中国の若者の失業率が2月に若干上昇した。
2023年6月に若者の失業率が21.3%に急増したことを受け、国家統計局(NBS)は月次数値の発表を中止し、刷新された計算基準のもと12月に再開した。
NBSのデータによると、16歳から24歳の最新の失業率(現在は学生は含まれていない)は、1月の14.6%から2月には15.3%まで上昇した。
2023年12月の若者の失業率は14.9%だった。
2月全体の失業率は5.3%、1月は5.2%。
失業は現在、中国経済が直面しているいくつかの課題の一つとなっているが、中国経済は活動に重くのしかかっていた厳格な新型コロナウイルス感染症対策が2022年末に解除されて以来、回復に苦戦している。
また、ここ数カ月の信頼感を押し下げているのは、長期にわたる不動産セクターの危機であり、複数の大手開発会社が急増する債務の管理に苦戦しているほか、輸出の低迷や国内消費の減速も影響している。