教員の年収は

本コラムでは、教員の平均的な収入を学校の種類別に紹介していく。記事の後半では、公立学校に勤務する教員の手当の詳細、教員の収入を増やす方法についても言及する。
※本コラム内の年収・月給・手当などの額は2024年2月執筆時点に確認できる最新の情報

幼稚・小・中・高・特支・大学教員の平均年収

幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、大学(短期大学)の教員の平均年収を一覧にすると以下のとおりだ。なお各年収の内訳は、給料月額、諸手当月額、賞与となっている。

教員の年収は
区分幼稚園小学校中学校高等学校特別支援学校大学(短期大学)
年収522万241円625万1,041円640万1,041円679万8,948円652万6,548円812万9,651円
内訳給料月額23万6,900円32万2,800円33万5,300円35万7,000円33万4,300円43万5,880円
諸手当月額5万7,615円5万7,615円5万7,615円6万2,449円6万2,449円6万1,687円
賞与(年2回の合計)168万6,061円168万6,061円168万6,061円176万5,560円176万5,560円215万8,847円

幼稚園教員の平均年収:約522万241円

幼稚園教員全体の平均年収は、約522万241円、平均月給は約23万6,900円である。さらに幼稚園教員の平均月給を国立・公立・私立に区分けすると以下の通りだ。

国立32万9,100円
公立28万3,800円
私立22万7,600円
※平均月給は令和4年9月分の給料(本俸)額。諸手当および調整額を含んでいない
出典:文部科学省「学校教員統計調査 令和4年度(中間報告)」(幼稚園・小学校・中学校・高等学校の給料月額)※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

小学校教員の平均年収:約625万1,041円

小学校教員全体の平均年収は約625万1,041円、平均月給は約32万2,800円である。さらに小学校教員の平均月給を国立・公立・私立の幼稚園別に区分けすると以下の通りだ。

国立33万1,500円
公立32万2,300円
私立35万6,200円
※平均月給は令和4年9月分の給料(本俸)額。諸手当および調整額を含んでいない
出典:文部科学省「学校教員統計調査 令和4年度(中間報告)」(幼稚園・小学校・中学校・高等学校の給料月額)※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

中学校教員の平均年収:約640万1,041円

中学校教員全体の平均年収は約640万1,041円、平均月給は約33万5,300円である。さらに中学校教員の平均月給を国立・公立・私立の幼稚園別に区分けすると以下の通りだ。

国立34万600円
公立33万2,000円
私立38万400円
※平均月給は令和4年9月分の給料(本俸)額。諸手当および調整額を含んでいない
出典:文部科学省「学校教員統計調査 令和4年度(中間報告)」(幼稚園・小学校・中学校・高等学校の給料月額)※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

高校教員の平均年収:約679万8,948円

高校教員全体の平均年収は約679万8,948円、平均月給は約35万7,000円である。さらに高校教員の平均月給を国立・公立・私立の幼稚園別に区分けすると以下の通りだ。

国立34万6,800円
公立35万3,200円
私立36万6,100円
※平均月給は令和4年9月分の給料(本俸)額。諸手当および調整額を含んでいない
出典:文部科学省「学校教員統計調査 令和4年度(中間報告)」(幼稚園・小学校・中学校・高等学校の給料月額)※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

特別支援学校教員の平均年収:約652万6,548円

特別支援学校教員全体の平均年収は約652万6,548円、平均月給は約33万4,300円である。さらに特別支援学校教員の平均月給を国立・公立・私立の幼稚園別に区分けすると以下の通りだ。

国立34万7,100円
公立33万4,300円
私立28万5,700円
※平均月給は令和4年9月分の給料(本俸)額。諸手当および調整額を含んでいない
出典:文部科学省「学校教員統計調査 令和4年度(中間報告)」(幼稚園・小学校・中学校・高等学校の給料月額)※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

大学(短期大学)教員の平均年収:約812万9,651円

総務省「令和4年地方公務員給与の実態」※この先は外部サイトに遷移します。によると、公務員の大学(短期大学)教員の平均年収は約812万9,651円で平均月給は43万5,880円である。

教員の初任給(東京都の場合)

教員の初任給は、各自治体(公立の場合)や採用された学校(私立の場合)で異なる。東京都で採用された場合の初任給は以下の通りだ。

区分大学卒短大卒
小・中・高等学校約25万4,500円約23万4,100円
特別支援学校約26万7,800円約24万6,400円
※上記は諸手当を含んでいない額
出典:東京都教育委員会「令和5年度 東京都教職課程 学生ハンドブック」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

ただしこの初任給は、大学や短大を卒業してすぐに教員となった場合の額だ。採用前に有用な経験がある場合は、一定の基準で加算される。

公立学校教員の給与の仕組み:職務の級と号給によって金額が決まる

公立学校の教員の月給は「職務の級」と「号給」の組み合わせによって決まる。職務の級は、職務の複雑さ・困難さ・責任の度合いなどによって決まり、級が上がるほど月給が高くなる傾向だ。一方、号級は、教員の能力・経験・実績などによって決定される。「職務の級」と「号給」による月給の額は、自治体によって異なるが、東京都の場合の設定は以下の通りだ。

【給料月額の目安】

1級2級3級4級5級6級
1~36号給16万3,500円~21万7,800円19万4,300円~26万4,800円25万4,200円~32万8,800円27万7,200円~35万4,600円33万7,500円~41万1,000円38万1,900円~45万2,300円
※実際には、36号級以降の号級もある
出典:東京都人事委員会「教育職給料表」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

教員の給料に加算される主な手当

公立学校の教員は、他の公務員同様に数多くの手当が設けられている。ただし一部の手当は、雇用環境の変化などに要因により見直しが検討されている。

・教職調整額
教職調整額とは、校長や副校長などの管理職を除くすべての公立学校の教員に適用される手当で月給の4%が支給される(一定の要件にある者は月給の1~2%の場合もある)。教員は、その職種の性格から超過勤務手当や休日給が支給されない。これらの代わりに教職調整額が支給されている。

しかし教職調整手当が制定された昭和46年と比べて、現在の教員の平均残業時間が大きく増えているため、専門部会などで手当額の増額や給与基準そのものの改善が検討されている。

・義務教育等教員特別手当
義務教育等教員特別手当は、教員に優秀な人材を確保することを目的に制定された「人材確保法」の趣旨に基づいて支給されている。対象者は、小学校・中学校・高校などに勤務する教員(実習助手や寄宿舎指導員も含む)だ。職務の級と号給に基づき支給される。

長年続いてきた手当だが、一律に支給されているため、文部科学省が近年目指すメリハリがある仕組みとはいえず、廃止を含めて予算規模の縮小が検討されている。

・教員特殊業務手当
教員特殊業務手当とは、その名のとおり通常とは異なる特殊な業務の手当だ。この手当に含まれる業務例としては、災害発生時の緊急業務や修学旅行や校外で開催される運動競技の引率、土日の部活動の指導、入学試験の関連業務などが挙げられる。教員特殊業務手当は、手当が発生したときのみ支給され、業務の内容や従事した時間などに基づいて額が決められている。

・給料の調整額
給料の調整額は、特別支援学校に勤務する教員や特別支援学級の授業を担任する教員などに職務の級と号給に基づき支給される。

・期末手当、勤勉手当
期末手当は、民間企業のボーナスにあたる手当で6月と12月に支給される。これらの時期は、一般的に生計費が増えやすいことを考慮して支給されている。算出方式は「給料の月額×支給率×支給割合」に各手当や加算額が反映される。一方の勤勉手当は、教員の勤務成績が支給額に反映される手当だ。算出方式は「給料の月額×期間率×成績率」に地域手当や加算額が反映される。

・へき地手当
へき地手当は、交通条件などが悪い山間地や離島などの学校に勤務する教員に支給される。算出方式は「(給料の月額+扶養手当)×支給割合」で東京都の場合、勤務する学校の場所によって支給割合が以下のように決まっている。

級別学校が所在する場所支給割合
二級地大島15/100
三級地新島、神津島、八丈島19/100
四級地利島村、式根島、三宅島23/100
五級地御蔵島、青ケ島、小笠原父島、小笠原母島25/100
出典:東京都教育委員会「教員の給与制度」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

上記のほか東京都では「へき地手当に準ずる手当」も用意する(こちらは異動した期間を基に算定)。

・その他の手当

産業教育手当農業・水産工・業などの産業教育に従事する教員に支給される手当
地域手当民間の賃金や物価などを考慮して、勤務する地域に応じて支給される手当
その他扶養手当、住居手当、管理職手当、通勤手当、単身赴任手当など

臨任・時間講師として勤務する場合の給与・報酬

正規教員の業務を補う臨時的任用教員の給与、時間講師(非常勤講師)の報酬の概要は、以下のとおりだ。

・臨時的任用教員
公立学校の臨時的任用教員は、正規教員が妊娠出産・育児・病気などを理由に一定期間休む場合に任用される。業務は、授業の担当以外に学級担任を受け持つこともある。臨時的任用教員の給与は、正規の教員と同様に「職務の級」と「号給」で決まる。また要件に該当する場合は、地域手当、義務教育等教員特別手当、勤勉手当など各種手当が加算される。

さらに基準日(6月1日、12月1日)に在籍し、一定の任用期間がある場合は期末手当も支給される。東京都の場合、小学校・中学校・高校の教員(職務の級:2級)の給与モデルは以下のとおりだ。

号給月給備考
1号級約22万7,400円新卒者(短大卒)
9号級約24万8,700円新卒者(大学卒)
77号級約42万5,500円加算限度額
例:大学卒業後、17年以上の正規教員としての任用
※給料月額+教職調整額+地域手当+義務教育等教員特別手当+給料の調整額で算出
出典:東京都教育委員会「令和5年度採用東京都公立学校臨時的任用教員・時間講師採用候補者選考実施要項」(令和5年7月改訂)※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

・時間講師(非常勤講師)
公立学校に勤務する時間講師は、地方公務員法で規定される一般職の非常勤職員の位置付けだ。経験年数によって1時間あたりの報酬額が決められており、その月の「時給×実勤務時間数」に基づいて報酬が支払われる。以下は、都立学校などに勤務する時間講師の1時間あたりの報酬例だ。

区分/経験年数1時間あたりの報酬(本則)
区分1:1年未満1,880円
区分2:1年以上 2年未満1,950円
区分3:2年以上 3年未満2,020円
区分4:3年以上 4年未満2,090円
区分5:4年以上 5年未満2,160円

区分18まであり、1時間あたりの報酬額の最高額は3,360円(経験17年以上)になる。この報酬に加えて、通勤手当や一定の任用期間がある場合は期末手当も支給される。

教員の収入を増やす方法

教員の収入を増やす方法として「管理職に昇進する」「私立の学校へ転職する」「投資をする」などが考えられる。それぞれの詳細は、次のとおりだ。

管理職に昇進する

教員としての能力と経験を高め、校長・副校長・教頭などの管理職に昇進することで月給や年収を大幅に増やすことが可能だ。公立教員の一般的な昇進方法としては、一定の勤務経験がある人が選考試験に合格することで管理職になれる。ただし各自治体で年齢制限や経験年数の規定が異なる。勤続年数を重ねる必要があるため、すぐに収入を増やすことはできない。

また収入が高いのは、管理職のポジションにいる一定期間のみになる。

私立の学校へ転職する

上述したとおり、給与水準は国立・公立よりも私立の学校のほうが高い傾向がある。そのため現在国立・公立の学校に勤めている教員は、私立の学校へ転職することで収入を増やすことが可能だ。

例えば、中学校教員の場合、公立の月給は約33万2,000円で私立が約38万400円となっている。統計上私立のほうが約4万8400円高い月給となっているが、必ずしも私立の学校の給与が高いわけではない。

国立34万600円
公立33万2,000円
私立38万400円
※平均月給は令和4年9月分の給料(本俸)額。諸手当および調整額を含んでいない
出典:文部科学省「学校教員統計調査 令和4年度(中間報告)」(幼稚園・小学校・中学校・高等学校の給料月額)※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

収入面を理由に転職をする際は、手当や福利厚生も含めた総合的な年収を確認することが重要だ。

投資をする

教員の給与以外の収入源を持つことで、収入を増やしながら資産形成を進められる。私立の学校に所属する教員は、学校の就労規則によって禁止されていない限り投資が可能だ。一方、公務員の教員は公務員法によって副業が禁じられているが、一定の要件を満たし上長に届け出ることで一部の投資活動が可能だ。

教員が投資をする際に意識したいのは、本業に影響を与えないことだ。これを実現しやすい投資方法には「投資信託」と「不動産投資」がある。

・投資信託
投資家から集めた資金を専門家が株式や債券などで運用する仕組みだ。メリットとしては、少額から投資が可能で分散投資ができる点が挙げられる。しかし価格変動や為替変動などのリスクがあり元本割れする可能性があるのでしっかりと理解してから投資を始めよう。

・不動産投資
アパートやマンションなどを購入し、家賃収入や売却益を得る仕組みだ。公務員であっても事業規模が「5棟10室以上」に該当しなければ不動産投資が可能だ。メリットとしては「ローンを利用して投資ができる」「インフレに強い」「運用の手間が少ない」などがある。一方で空室や家賃滞納、修繕費増大などのリスクもある。

不動産投資は、自己資金(頭金)とローンを併用することで大きな金額を動かすことが可能だ。一般的に公務員の教員は、安定した収入があるため、ローン審査でも強みとなる。

教員の年収に関するよくあるQ&A

Q.教員の年収は高いのか?
教員の年収は、一般労働者の平均的な年収よりも約100万~300万円程度高い。まず一般労働者(大卒)の平均月給は約36万9,600円であり、賞与が月給の2ヵ月分と仮定すると年収は約517万円と推定される。

一方、教員の年収は以下のとおりで、すべての学校の種類で一般労働者の年収を大きく上回っている。

  • 小学校:約625万1,041円
  • 中学校:約640万1,041円
  • 高等学校:約679万8,948円
  • 大学(短期大学):約812万9,651円

Q.教員の20代の年収は?
教員の20代の平均年収は、勤務する学校の種類(小・中学校、高校、大学)で以下のように異なる。なお本データを確認した限りでは、性別による年収の大きな違いは見られない。

男性女性
小・中学校教員25~29歳476万4,300円25~29歳454万200円
高等学校教員25~29歳446万1,100円25~29歳424万4,300円
大学教授(高専含む)25~29歳457万9800円-

Q.教員の平均月給はいくらか?
教員の平均月給は、勤務する学校の種類によって異なる。それぞれの学校に勤務する教員の平均月給は、次のとおりだ。

幼稚園小学校中学校高等学校特別支援学校大学(短期大学)
23万6,900円32万2,800円33万5,300円35万7,000円33万4,300円43万5,880円
宮路 幸人
税務に関する記述の監修

宮路 幸人
税理士・CFP・宅建士・マンション管理士

会計事務所での長い勤務経験で培った豊富な実務知識により、会計処理・税務処理および経営や税務に関する相談など、さまざまな問題に対応。宅地建物取引士、マンション管理士等の資格を保有し、不動産と相続関連に強みを発揮する。特に相続関連では、税務面だけでなく、家族の幸せを重視したトータルでの提案を行っており、軽いフットワークでお客さまのニーズに応えることをモットーとする。離島支援活動にも積極的。

(提供:manabu不動産投資

- コラムに関する注意事項 -

本コラムは一般的な情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的とするものではありません。
当社が信頼できると判断した情報源から入手した情報に基づきますが、その正確性や確実性を保証するものではありません。
外部執筆者の方に本コラムを執筆いただいていますが、その内容は執筆者本人の見解等に基づくものであり、当社の見解等を示すものではありません。
本コラムの記載内容は、予告なしに変更されることがあります。