メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「年初来高値更新後に円高で反落。日銀総裁が円安に助け舟」メキシコペソ見通し

予想レンジ 8.9-9.4

 (ポイント) 
*4月3日に年初来高値の9.178をつけた
*ただ日銀総裁の「円安も利上げの判断材料」で反落
*対ドルでは変わらず
*週末に大統領選挙の候補者でディベートあり
*失業率が大幅改善、他の指標もまずまず
*次回政策金利決定は5月10日
*来週はCPIと鉱工業生産
*ペソは歴史的にまだ安い
*米とメキシコ、半導体サプライチェーンで連携
*利下げはインフレ対策終了のシグナルでない=中銀総裁
*大統領も強いペソを賞賛
*メキシコは世界の輸出国のトップ10へ、2023年
*フィッチ、メキシコの2024年の成長予測を2.2%に下方修正
*自動車輸出、郷里送金快調
*米政府、メキシコからの中国車輸入を阻止か
*中国BYDもメキシコ進出か
*2023年のGDPは前年比3.1%増加、IMFの2024年成長見通しは2.7%
*気になるのは財政支出拡大と財政赤字拡大
*トランプ大統領が誕生すればメキシコに一波乱あり

(年初来高値の9.178をつけた後。円高でペソ円反落)
 4月3日に年初来高値の9.178をつけた。ペソはメキシコ中銀の政策金利引き下げと日銀の円安けん制の口先介入という二つのペソ売り円買い材料を消化して底堅かったが。4月5日の朝日新聞の「日銀総裁は円安も利上げの判断材料」との記事で円高が進みペソ円も反落9.12へ(日本の記事なのでドルペソは16.60と大きく変わらず)。

株価(ボルサ指数)は年初来0.66%高と、金利上昇、ペソ高でもプラス圏に復活、10年国債利回りは9.809%と年初来の高値圏にある。

(失業率が大幅改善、他の指標もまずまず)
2月失業率が2.5%へ低下、1月は2.9%、予想は2.8%だった。雇用者数が最も増加したのは製造業。

3月製造業PMIは52.2(前月52.3)
3月企業信頼感指数 54.3(同54.3)
3月消費者信頼感指数 47.3(同47)

(来週はCPIと鉱工業生産)
来週は、3月消費者物価と2月鉱工業生産の発表がある。消費者物価は2月の4.4%から4.0%、コアは4.64%から4.4%へ低下する見込み。3月22日に政策金利を11.25%から11.0%へ引き下げている。

 次回政策金利決定は5月10日(金)である。

(ペソ高時代はまだ初期)
 ペソは2022年、23年と12通貨中最強通貨、今年もここまで最強だ。ただペソは21世紀、2000年代となってから主に円安の時代と言われているが、実はそれでもペソは対円で安い。2001年のペソ円始値は12.16、現在9.12で約3%安だ。ではいったいいつから上昇し始めたかというと、2020年5月からだ。当時のペソ円は4円台で現在の半分以下だ。ここから急回復が始まった。

 当時はコロナ禍が始まり、ロシア・ウクライナ紛争と続いた。その間、米国の輸入関税引き上げを始め米中経済摩擦が強まっていった。サプライチェーンにも支障が出て、物流が混乱、米国の物価も急騰した。米国は経済の安全保障問題もあり、メキシコを中心とした経済安保が保証されるニアショアリング体制構築を計画、今もその途上だ。米中のデカップリングと米国経済そのものの強さがメキシコの成長を強く促している。この動きは今後も続くだろう。トランプ氏が大統領になっても、強い米国を目指すには、このニアショアリングという体制が必要、また米中関係の改善はなかなか見込めないので流れは変わらない。ただサプライチェーン構築の流れにメキシコのインフラ整備がついて行かない場合もあり、それは嬉しい悲鳴なのだろう。

テクニカル分析

年初来高値を更新後に反落

 日足、年初来高値を更新し続ける。ただ昨日は円高で反落。4月2日-3日の上昇ラインを下抜く。3月8日-12日の上昇ラインがサポート。2008年10月6日(9.364)-2024年4月4日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向く、20日線上向き。
 週足、ボリバン2σ上限へ上昇。3月18週-25日週の上昇ラインがサポート。2008年10月6日週-2024年3月25日週の下降ラインを上抜く。5週線、20週線上向き。ただ今週は上ヒゲ長い。
 月足、23年7月からの山なり状態を上抜いた。ボリバン3σ上限に近い。2月-3月の上昇ラインがサポート。2008年8月-2024年3月の下降ラインが上値抵抗だが上抜くか。
 年足、23年で3年連続陽線。今年もここまで陽線。14年-22年の下降ラインを上抜く。22年-23年の上昇ラインがサポート。

メキシコペソ見通し
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VAMOS MEXICO

米とメキシコ、半導体サプライチェーンで連携

 米国務省は3月28日、メキシコと連携して半導体分野のサプライチェーンでの機会を模索すると発表した。バイデン政権は半導体技術の中国や台湾への依存を減らそうとしている。
2022年に成立した「CHIPS法」の一環として進める。同法に基づき、同盟国やパートナー国との連携を通じて半導体のサプライチェーンを発展させるため5億ドルの基金が創設された。 国務省は声明で「自動車や医療機器など必要不可欠な製品の製造は半導体サプライチェーンの強さと回復力に依存している」と述べた。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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