子会社譲渡で下方修正
ベクトルは2024年2月期に、売上高570億円(前年度比3.2%増)営業利益65億500万円(同3.6%増)を見込む。
当初は売上高630億円、営業利益72億6000万円を見込んでいたが、2024年1月に売上高で60億円、営業利益で7億5500万円引き下げた。
子会社のシグナル(東京都港区)とDirect Tech(東京都港区)を譲渡したため両社分の業績数字を差し引いたほか、貸倒引当金を計上したことなどから、減収と営業減益を余儀なくされたのだ。
ただ両社の譲渡に伴い特別利益が発生するため、当期利益については45億7000万円を据え置いている。
譲渡するシグナルはSNSマーケティングやWeb制作を手がけており、グループ内の事業領域が重複するようになったため、譲渡を決めた。
一方、Direct Techは複数のコスメブランドを立ち上げており、より強い事業シナジーが見込める韓国のnature&natureに、保有株式88%のうち73.1%を譲渡し、今後の成長をnature&natureに委ねることにした。
同社はデジタル領域での企業買収に力を入れているが、こうした事業の見直しによる子会社の譲渡という可能性は今後もありそうだ。
ベクトルはPR企業の中では、すでにアジア1位となっており、世界でも7位にランクされる。日本の広告市場は7兆円と言われており、ここでシェアを高めることで、アジア1位から世界1位を目指す。
将来の業績予想については明らかにしていないが、営業利益に関しては2025年2月期に85億円、2026年2月期に100億円と増益を見込んでいる。
企業買収であれ、子会社譲渡であれ、今後のM&Aが同社の業績に及ぼす影響は小さくはない。
文:M&A Online