総括
FX「さあ歴史的な選挙戦が盛り上がってくる」南アランド見通し
「通貨7位、株価19位」
「予想レンジ 南アランド円7.8-8.3」
(ポイント)
*さあ選挙戦が盛り上がってくる
*年間では7位と健闘
*先週末は日足、週足、月足、年足が陽線
*IMFが成長見通しを0.1%引き下げ
*3月消費者物価は低下も、利下げは秋か
*2月小売売上は減少
*今週は中銀金融政策レビューなどの発表あり
*問題山積の中のランドの強さあり
*日本企業、海外企業も問題山積でも撤退せず
*鉱産物価格依然堅調
*失業率は高水準
*アゴア法適用継続で南アの対米輸出への恩恵続く
*インフレ目標引き下げの議論が始まる
*外貨準備の財政活用を可決
*23年4Q・GDP テクニカルリセッションをかろうじて回避
*5月29日に大統領選挙と総選挙
*中国と南アの関係は強化されている
*グレイリストには2025年まで残る
*人口は増加、白人は減少
(内外要因で一時反落も週末は戻して陽線。週・月・年足は陽線)
年初来の高値8.239をつけた後下落した。一時7.93をつけたが先週末の終値は8.08まで戻し日足は下ヒゲの長い陽線となった。週足、月足、年足も陽線。
外部要因として米利下げ観測後退、中東緊張などの通貨の売り材料、国内要因では大統領選挙前の熾烈な駆け引き、電力不足、水不足、物流混乱などがあった。
南アランドは年初来、年間では7位と健闘している。株価は利下げ観測が後退し弱く年初来4.59%安。年初は10%割れだった10年国債利回りは11.05%に上昇している。
(IMFが成長見通しを0.1%引き下げ)
IMFは4月16日に2024年の南アの成長見通しを1月の1.0%から0.9%へ下方修正した。インフレが高止まりし高金利で成長が抑えられるとした。また電力、水道、物流を巡る複数の危機に苦しんでいることも考慮した。
(3月消費者物価は低下も、利下げは秋か)
3月消費者物価はは前年同月比5.3%上昇し、2月の5.6%から減速した。
予想の5.4%をやや下回ったが、南ア中銀が利下げを開始する可能性は低いとみられている。
南ア中銀はインフレが目標の中間値である4.5%に達するのは2025年末近くになると予想している。
インフレ率は引き続き低下する見込みだが、利下げが始まるのは選挙のかなり後とされている。中銀は9月から利下げを開始し、年末までに0.5%引き下げると予想した。
また中銀は現在3-6%のインフレターゲットを3-5%、さらに2-4%へ引き下げる議論を始めようとしている。インフレ抑制を確固たるものとしたいようだ。タカ派のクガニャゴ総裁は3期目を続投することとなった。24年11月から5年である。大統領府は「クガニャゴ総裁の再任は、中銀の継続性と安定性を確保する」と声明で述べた。
(2月小売売上は減少)
2月小売売上は前年比で前月の2%減に続き、2月には前年比0.8%減少した。繊維、衣料品、履物、皮革製品の売上高の大幅な減少があった。一方、家庭用家具、電化製品、設備の増加が見られた。
(今週は中銀金融政策レビューなど)
2月景気先行指標、中銀金融政策レビュー、3月卸売物価の発表がある
テクニカル分析(ランド/円)
ボリバン2σ下限から反落、中位まで戻す
日足、ボリバン3σ上限へ上昇後、一時ボリバン2σ下限まで下落。3月11日-4月19日の上昇ラインがサポート。4月18日-19日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き、20日線上向き。
週足、一時ボリバン3σ上限へ、2σ上限まで反落。3月18日週-15週の上昇ラインがサポート。4月8日週-15日週の下降ラインが上値抵抗。5週線上向き、20週線下向き。
月足、1月-3月の上昇ラインがサポート。23年11月-24年3月の下降ラインを上抜く。5か月線上向き、20か月線横ばい。
年足、2023年は円とデッドヒートを繰り返しほぼ同位の10位。21年-23年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインを上抜く。
喜望峰
さあ、選挙まで、あと6週間、ANCは過半数を割るか
世論調査では、与党アフリカ民族会議(ANC)が2024年5月の投票で過半数を失うことが一貫して示されているが、市場は次に何が起こるか不安を感じている。
インベステックの分析は以下の通り。
4月の社会調査財団の調査では、連立政権では、第一候補がANC/DA連合を支持しており、
ANC/EFFが2位、ANC/MK党が3位となっている。
過去2年間のほとんどのSRF世論調査ではANCは約50%を達成してたが、最新のSRF世論調査では現在40%をわずかに下回っている。DAとEFFへの支持は、過去36か月の世論調査の数字とほぼ一致している。DAとEFFは、それぞれ25%と11%を獲得すると予想されている。
南アがANCとDA(白人主導)の間でよりバランスの取れた連立政権を築くことになった場合、南アは「良いニュース」を得る可能性があるという。
しかし、ANCとEFFが連携したり、さらにはズマ党首率いるMK党が加わったりして事態が極端な事態に陥った場合、投資や経済心理が悪化する可能性がある。
EFFの急進的な国有化政策は投資家に否定的に受け止められており、ランド安となり債券市場にリスクプレミアムを与えている。どのような連合が誕生しても、チームアップの安定性と寿命には疑問が残るだろうと述べた。
5月末の選挙の結果は政党や連立政権にとって不透明であり、投資家の不確実性が高まっている。