「皮膚科は待ち時間が長い割に診療時間が短く、薬も合わないことが多い」
アトピー性皮膚炎に特化したオンライン診療サービス「ヒフメド」を提供しているゲノン代表取締役社長の周佐千晶さんは、現状をこう分析したうえで、ヒフメドを使えばこうした問題を解決できるという。
ゲノンは2022年に創業したばかりのスタートアップ。周佐さんはパティシエとして勤務していた時にアトピー性皮膚炎が悪化し退職。
その後1年間の療養生活を経て、製造業向けのネット通販企業でITを学び、皮膚科の病院で医療を経験したあと、ゲノンを設立した。
ヒフメドとはどのようなサービスなのか。周佐さんに事業内容や出口戦略、将来展望などをお聞きした。
皮膚炎患者の課題を解決するために起業
―ヒフメドとはどのようなサービスなのでしょうか。
ヒフメドは患者さんが医師を選び受診日を予約し、オンラインで診療を受けるサービスと、患者さんの症状に関する詳しい情報をまとめたPHR(パーソナルヘルスレコード)から成っています。
医師と患者さんの間に弊社が入ることで、双方の意思決定の質とスピードが上がり、 無駄な医薬品の副作用テストなどもなくなります。これによって最少の薬剤と疾患予測で、治療効率を上げることができます。
―どのように利用するのでしょうか。
LINEが入口になっています。患者さんと医師がLINEのヒフメドに登録し、ここで受診予約やオンライン診療を受けます。
患者さんには予約の前に皮膚の状態が分かる写真を登録してもらい、合わせて症状に関する情報を入力し、治療レポートを作成してもらいます。医師はこの写真と治療レポートを基に診療を行います。
―このような事業を立ち上げられたのはご自身がアトピー性皮膚炎に悩まされたのが理由ですか。
そうですね。私はアトピー性皮膚炎が原因でパティシエという好きな仕事を離職しました。この経験を通じて「起業するならこのアトピーだ」と考えました。
アトピー性皮膚炎は国民の7-15%が罹患している国民病であり、症状に個体差が大きく、かゆみに伴い生活の質が著しく損なわれることから、個別化医療の対策は急務となっています。
このため、患者の自宅状態の把握が重要になります。ですが、医療現場では診療時間が短く数分しかありません。この結果、原因や対応策が見いだしづらい状況にあります。
待ち時間が長い割に薬が合わずに改善されないなどの不満から病院を転々としてしまう人が多く、病気と何十年と付き合う方も少なくはありません。この課題を解決しようとゲノンを創業しました。