スタートアップがレガシー企業を買収する例も
スタートアップが絡むM&Aでは、大企業がスタートアップを買収するケースを想像しがちだが、逆のパターンも生じつつある。多額の資金を調達したスタートアップが後継者不在のレガシー企業を傘下に収めた事例について松本氏が言及すると、荒井氏は、このタイプのM&Aにも多くのメリットがあると話す。
荒井氏によると、引退を考える経営者の中には、積極的に若い人材採用したり、返済を考えて設備の入れ替えをしたりすることを躊躇するケースがあるという。スタートアップがそうした企業を買収することで、一気に経営状態を変えることができるとし、「こうしたM&Aも促進していくべきだと」話した。
PMIの成功が企業の未来を左右する
M&A後の統合過程、いわゆるPMI(Post Merger Integration)についても言及された。世の中には人心掌握が上手で、被買収側のモチベーションをうまく保つところがあると荒井氏。被買収企業の経営者を買収側の重要な役職に据えたり、PMIで結果が出ることから着手するなどの取り組みを紹介した。
最後に、松本氏は「イノベーション型M&Aのこれから」に触れ、未来に向けた展望について質問。荒井氏は「大きな変化をもたらす可能性がある。M&Aで失敗することもあるが、一度の失敗でダメだと思うのではなく、いくつかの中でうまくいくものがあって、それが大きな成功を生みだす、そういう領域だと思っている。夢があり、私としてはここに力を入れていきたい」と述べた。
第二部ではスタートアップ3社によるピッチが開催。従来各社で実施されていた1次面接を1カ所にまとめた転職サービスを提供するPortRayの鹿野翔太代表、法務業務の効率化が可能なリーガルテックサービスを提供するリセの藤田美樹代表、AIマーケティング・アシスタントを提供するリチカの松尾幸治代表が登壇した。
文:M&A Online