主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年5月2日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼1日(水)の為替相場
(1):ADP雇用統計は予想を上回る
(2):ISM製造業は低下
(3):FOMCを受けてドル安に
(4):円買い介入発動の可能性
▼1日(水)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:不安定な値動きとなりやすい/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
1日(水)の為替相場
期間:1日(水)午前6時10分~2日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):ADP雇用統計は予想を上回る
米4月ADP全国雇用者数は19.2万人増と市場予想(18.3万人増)を上回った。また、前月分が18.4万人増から20.8万人増に上方修正された。
(2):ISM製造業は低下
米4月ISM製造業景況指数は49.2と市場予想(50.0)を下回り前月(50.3)から低下。構成指数では新規受注が低下した一方、仕入価格が2022年6月以来の水準に上昇した。同時に発表された米3月JOLTS求人件数は848.8万件と市場予想(868.0万件)を下回り、前月(881.3万件)から減少した。
(3):FOMCを受けてドル安に
米連邦公開市場委員会(FOMC)は予想通りに政策金利を5.25-5.50%に据え置いた。声明では「ここ数カ月間、委員会の2%のインフレ目標に向けてのさらなる進展はみられない」「経済の見通しは不確実で、委員会はインフレのリスクを引き続き大いに注視している」と指摘。その上で「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信がさらに強まるまで、目標誘導レンジの引き下げが適切になるとは予想していない」とあらためて表明した。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長はその後の記者会見で、今年の物価指標はインフレが目標の2%に戻るとの確信を与えていないとの認を示し「より大きな確信を得るには予想よりも時間がかかりそうだ」と述べた。ただ、「インフレ率を2%に戻すために、長期的には政策は十分に制約的だと考えている」とした上で「次の政策変更が利上げになる可能性は低い」と明言した。市場はFOMC声明やパウエル議長の会見が警戒したほどタカ派的ではなかったと受け止めた模様で、米長期金利低下とドル安の反応を示した。
(4):円買い介入発動の可能性
FOMC後のドル売りが一巡し157円台半ばへ値を戻していたドル/円が突如として急落。クロス円でも急速に円高に振れた。日本政府・日銀が先月29日に続いて円買い介入を発動したとの見方が強いものの、財務省の神田財務官はその後「為替介入の実施の有無については何も申し上げることはない」とコメントした。