総括
FX「ビッグニュース、スモールムーブ」トルコリラ見通し
（通貨最下位、株価首位）
予想レンジ トルコリラ/円4.2-5.2
＊成長見通し引き上げ、格上げ、利上げと続いたが対ドルでの動きは鈍い
＊円買い介入観測で再び円とトルコが年間最弱通貨争い
＊株価は世界で断トツに強い
＊政策金利50％に据え置き
＊月間物価が、他の国の年間ほど上昇するトルコ
＊製造業PMI、4月は50割れ
＊トルコの飢餓基準値は最低賃金を超える
＊約1年ぶりにリラ円は雲の上に
＊シムシェキ財務相＝経済は正しい軌道上にあり
＊大統領は5月9日に訪米（中止観測も）
＊リラは10年で10分の1へ
＊貿易・経常赤字は改善せず
＊S&P、フィッチは格上げ
＊政府は2026年にインフレが一桁となると主張
＊預金の4割が外貨預金であることもリラ安要因
（ビッグニュース、スモールムーブ）
政策金利5％引き上げ（3月）、OECD成長見通し引き上げ、格上げなどの大きなニュースが飛び込んできたが、トルコリラは対ドルで強含むことなく、概ね32台で推移している。対円では日銀の円買い介入観測があり弱含んだ。4月末では円を2.31％引き離していたが、介入で再び、年初来で円と最弱通貨争いをしている。
（政策金利50％に据え置き、引き締め継続）
トルコ中銀は、政策金利を予想通り50％に据え置いた。
中銀は、3月に5％の利上げを実施して以来、金融環境が大幅に引き締まったと指摘。「利上げ効果に時差を伴う点を考慮し、政策委員会は現状維持を決定した」と述べた。ただインフレリスクへの高い警戒感は維持し、物価情勢が「著しく持続的に」悪化すれば、追加利上げに動くと示唆した。
また基調的な物価上昇率の下振れ傾向が定着するまでは、引き締め的な政策運営を続けると強調した。
（月間物価が、他の国の年間ほど上昇するトルコ）
4月の消費者物価は前年同月比69.8％上昇し、2022年終盤以来の高い伸びとなった。教育や外食・宿泊費用などが大幅に上昇した。予想は前年比70.33％の上昇だった。 前月比では3.18％の上昇で、3月の3.16％から加速した。
4月の生産者物価は前月比3.6％上昇、前年比で55.66％の上昇。
（S&P、トルコの信用格付けを引き上げ、見通しをポジティブに維持）
S&Pはトルコの信用格付けを「B」から「B＋」に引き上げ、見通しをポジティブに維持した。S&Pは「国際収支の改善が続き、インフレ率が低下し、トルコリラの国内貯蓄が増加し、政府の利用可能な外貨準備の再構築につながれば、格付けをさらに引き上げる可能性がある」と付け加えた。
（OECD、トルコ経済の成長予測を3.4％に引き上げ）
OECD は、2024年のトルコ経済のGDP成長率 予測を従来の2.9％から3.4％に引き上げた。2023年の地震後の復興が進んでいることもあり、投資活動は引き続き堅調に推移すると予想されていると述べた。
輸出は外部環境の改善を反映して徐々に強化されるだろうと付け加えた。
財政状況が逼迫しているにもかかわらず、短期的な指標は2024年初めの国内需要の伸びが依然として堅調であることを示していると報告書は指摘した。
同報告書は、「消費財の生産と小売売上高は年初に増加し、2023年の地震地帯での再建と修繕のため、建設部門の活動は引き続き活発だった」と述べた。
同報告書によると、金融・財政政策の引き締めが消費を圧迫するため、経済成長率は2024年に3.4％、2025年には3.2％に鈍化する見通しだという。
「交通や貿易のさらなる混乱によるコストの上昇は、経済に多大な悪影響を与える可能性があります。対照的に、財政、財政、金融政策の信頼できる改善による海外投資の流入が強まれば、成長はさらに押し上げられる可能性がある」と強調した。
インフレ率が高止まりすれば、さらなる金融・財政引き締めが必要になる可能性があると報告書は述べた。
OECDは、トゥルキエの年間インフレ率が今年の予想57.5％から2025年には28.7％に低下すると予測している。
同組織はまた、2024年の世界的な成長予測を引き上げた。
テクニカル分析（トルコリラ/円）
円買い介入で一時雲の下に沈むも、再び雲の上に
日足、2023年5月29日以来の雲の上。円買い介入では2σ上限から一時雲の下に沈む。5月3日-6日の上昇ラインがサポート。5月2日-6日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向、20日線上向き。
週足、ボリバン2σ下限で下げ止まり一時中位を上抜くも、円買い介入で下位に。4月15日週-29日週の上昇ラインがサポート。23年11月13日週-24年4月29日週の下降ラインが上値抵抗。5週線上向く、20週線下向き。
月足、2σ下限近辺で推移。1月-2月の上昇ラインを下抜くも3月-4月の上昇ラインに乗る。12月-2月の下降ラインを上抜く。21年11月-23年3月の下降ラインが上値抵抗。
年足、9年連続陰線。その間5.2円から4円台へ沈む。円との熾烈な最下位争い。
メルハバ
トルコの飢餓基準値は最低賃金を超える
4月のトルコの飢餓基準値は1万7,725トルコリラ（546ドル）に上昇し、最低賃金の1万7,002トルコリラを超えた。
飢餓の基準値は4人家族の場合、TL16,763からTL17,725に上昇したが、貧困ラインは同じ平均的な世帯の最低賃金の3倍以上となる57,736TL（1,778ドル）となった。
精神科医らは、経済危機の悪化と失業により、トルコ国民の精神的健康問題が増加していると述べている。
貧困の増加は、2016年7月15日のクーデター未遂後の政府粛清の緊急法令により解雇された学生や 元公務員など、社会で最も弱い立場にある人々の自殺の増加につながっている 。解雇された公務員は、民間部門の雇用主がすべてアクセスできる国の社会保障データベースにもブラックリストに登録されており、他の部門で仕事を見つけることができず、財政問題や貧困につながっている。
