隣接するドラッグストア業界と調剤薬局業界をめぐり、横断的な再編の動きがにわかに高まってきた。その引き金を引く格好となったのが他ならぬモノ言う株主だ。
オアシス、アイン株を9.6%新規保有
調剤薬局最大手のアインホールディングスの株価は3月6日、700円以上急進し、ストップ高を記録した。きっかけは同日午前、香港投資ファンドのオアシス・マネジメントによるアイン株の新規大量保有が判明したこと。保有比率は何と9.6%。1割に迫る大株主が突如登場したのだ。
オアシスはモノ言う株主として、日本企業の脅威となっている海外投資ファンドの代表格。思惑買いが優勢となり、アイン株は翌7日も連騰。週末8日は軟化したものの、3日間で900円近く上昇した。
オアシスといえば、つい先日、イオンが主導するドラッグストア業界の再編劇でキャスティングボードを握る存在としてニュースを騒がせたばかり。
イオン、オアシスからツルハ株を取得
イオンは2月28日、ドラッグストア首位で子会社のウエルシアホールディングスと、業界2位のツルハホールディングスの経営統合に向けた協議を始めたと発表した。
計画によると、2位が1位を飲み込む形で、ツルハを完全親会社、ウエルシアを完全子会社とする株式交換を行う。さらにイオンはツルハについて、現在13%余り保有割合を過半数以上、51%未満となる範囲で引き上げて子会社化する。これら一連の統合作業は2027年末までに完了させるが、ツルハの上場は維持される見通し。
オアシスはツルハ株の約13%を持ち、イオンと並ぶ大株主。当のツルハは会長職の廃止や社外取締役の交代などを求めるオアシスと対立していた。イオンはこのオアシスが保有するツルハ株のすべてを1023億円で取得することで合意した。
イオンとツルハは1995年に資本業務提携し、長年親密な関係にあったが、近年はツルハ側が距離を置く関係にあった。一方、イオンはかねて、傘下のウエルシアを中核にドラッグストア業界の再編を主導することを悲願としていただけに、オアシスから保有株の引き取りは渡りに船だったといえる。
ツルハ・ウエルシア連合の合計の売上高はおよそ2兆1000億円。現在3位のマツキヨココカラ&カンパニーの2倍以上と断トツだ。統合後はイオンの海外基盤を活用し、アジアトップクラスのドラッグストアチェーンを目指す。