アイン、セブン&アイと資本関係
ツルハから手じまいする形のオアシスが新たに狙いを定めたアインホールディングスは調剤薬局でトップに立つ。ドラッグストアは調剤薬局を併設する店舗も多く、両者は業界として隣接関係にある。
オアシスによるアイン株の保有割合は現在9.6%。上場企業の株式を5%を超えて新規取得した株主は5営業日以内に大量保有報告書を提出しなければならないが、いきなり10%近くの保有が判明するのは異例で、用意周到に買い進めたことがうかがえる。
保有目的は「ポートフォリオ投資および重要提案行為」。保有比率が10%を超えるのは時間の問題とみられ、今後、アインに対してどういった株主提案などの働きかけがあるのか注目される。
アインが3月初めに発表した2024年4月期業績予想は売上高8.8%増の3902億円、営業利益15.3%増の184億円。調剤薬局約1220店舗、ドラッグストア約80店舗を展開している。
それにしてもオアシスはどうしてアインに照準を合わせたのか。ツルハ、アインの共通項をあげれば、大手流通グループとの資本関係。イオンがツルハに13%超出資する筆頭株主であることはすでに触れた通りだが、アインにはセブン&アイ・ホールディングスが7.8%を出資する。
アインとセブン&アイは2008年8月、病院内や病院周辺での調剤薬局とコンビニとの共同出店などを目的に資本業務提携した。同じ年の1月、アインは「ハックドラッグ」などを展開するドラッグストア準大手のCFSコーポレーションとの経営統合が破談に終わり、新たな提携先としてセブン&アイと組んだ。
イオンと浅からぬ因縁
実は、この経営統合に反対したのがCFSの筆頭株主(約15%保有)だったイオン。委任状争奪戦の末に統合を阻止した。その後、2015年にイオンは傘下のウエルシアを通じてCFSを子会社化(翌年、吸収合併)し、グループに取り込んだ。こうした経緯から、アインはイオンとも浅からぬ因縁を持つのだ。
オアシスが今後、アイン株の保有割合をどこまで引き上げることになるのか。事と次第では、調剤薬局業界とドラッグストア業界をまたぐ再編に発展する可能性がある。
というのも、ツルハの場合と同様に、オアシスが保有するアイン株をイオンが買い取る展開も考えられるからだ。イオンにすれば、ドラッグストアにとどまらず、調剤薬局の分野でも主導権を発揮する道が開ける。
付け加えれば、ツルハとアインはいずれも本社を札幌市に置く。