上場企業の間で、早期(希望)退職の募集などを通じた大規模な人員削減の動きがにわかに広がっている。今年に入り、コニカミノルタの約2400人を筆頭に、オムロン、資生堂が1000人を超える削減計画を発表した。昨年は大正製薬ホールディングス(HD、4月9日に上場廃止)の645人が最多だったが、ここへて状況が一変した形だ。

コニカミノルタ、グローバルで人員最適化

コニカミノルタは4月4日、2025年3月末までに国内外のグループ全体で2400人規模(正規・非正規従業員)の人員を削減すると発表した。グループ従業員の約6%にあたる。複合機などオフィス向け事務機器市場がペーパレス化やデジタル化の進展で縮小に向かう中、海外を含めた人員の最適化を目指す。

同社は2023年3月期に過去最大の1031億円に上る最終赤字に陥った。2017年に約900億円で買収した米国の遺伝子診断薬企業アンブリー・ジェネティクスなどの業績が振るわず、合計1100億円を超える減損損失の計上に迫られた。

一連のリストラ効果などで足元の2024年3月期の最終利益は40億円と5期ぶりに黒字転換を見込む。今回の大がかりな人員削減で2026年3月期は約200億円の利益の押し上げ効果があるという。

国内にとどまらず、海外を含めたグローバルで人員配置の見直しを打ち出したのはコニカミノルタだけではない。

オムロンも国内外で2000人

オムロンは国内外で合計約2000人を削減する。中国経済の成長鈍化やサプライチェーン(供給網)の混乱などで、FA(ファクトリーオートメーション)関連の制御機器事業を取り巻く環境が想定以上に悪化したとして抜本的な収益基盤の再構築に取り組む。

国内では希望退職者を募り、1000人程度を減らす。グループの勤続3年以上で40歳以上の正社員・シニア社員が対象で、募集期間は4月10日~5月31日。オムロンが希望退職を実施するのは約1400人を募った2002年以来22年ぶり。

同社は2024年3月期業績について売上高7.5%減の8100億円、営業利益76%減の240億円、最終利益98%減の15億円と、大幅な減収減益を見込む。

M&A Online

(画像=「M&A Online」より引用)

ソニーグループは2月末、ゲーム事業子会社のソニー・インタラクティブエンターテインメント(SIE)で総人員のおよそ8%にあたる約900人を削減する計画を発表した。SIEは米国サンフランシスコにグローバル本社とし、東京、ロンドンに機軸拠点を置く。家庭用ゲーム機「プレイステーション」で知られるゲーム事業は今やソニーグループの屋台骨を担うが、世界的な競争激化などで採算性が低下している。

住友ファーマは3月中に、医薬品製造の米国子会社「スミトモ・ファーマ・アメリカ」(SMPA、マサチューセッツ州)で約400人の人員合理化を実施した。SMPAは2009年に約2500億円で買収したセプラコープが前身。

住友ファーマは主力の抗精神症薬「ラツーダ」の米国での特許切れなどに伴い、2024年3月期の最終赤字が1410億円(前期は745億円の赤字)に膨らむ見通しで、北米事業の立て直しが急務になっている。

セガサミーホールディングスは3月末、ゲームソフト開発を手がける欧州の複数拠点で約240人の削減を発表した。コロナ禍の巣ごもり需要からの反動減などによる収益悪化を受け、開発体制を見直す。欧州では昨年来、開発中タイトルの一部中止に伴い、すでに約250人を削減している。