資生堂、日本事業で1500人を削減
一方、国内だけで約1500人の早期退職に踏み切るのは資生堂だ。コロナ禍で落ち込んだ化粧品事業の再構築の一環。日本事業を統括する子会社の資生堂ジャパンに所属する45歳以上で勤続20年以上の社員を対象に、4月17日から5月8日まで募集する。該当する従業員は約1万3300人(契約社員などを含む、2023年12月末)で、募集人数は1割強に上る。
主力の女性用下着の国内販売が低迷しているワコールホールディングスは中核子会社のワコールで2年連続で希望退職者の募集に踏み切った。今年2月に150人程度募ったところ、想定を4割以上上回る215人の応募があった。実は、約250人を募った前回(昨年1月)は155人の応募にとどまっていたが、様変わりの結果となった。
ワコールHDは2023年3月期に会社設立以来初の最終赤字(17億7600万円)に転落。24年3月期は100億円超まで最終赤字幅が広がる見通しだ。
「100人超」が7社の前年と様変わり
2023年はワコールHDを含めて、100人以上の人員削減を発表した上場企業は7社あった。大正製薬HDの645人を最多とし、中外製薬374人、塩野義製薬301人、パンチ工業205人などが続いた。これに対し、今年は第一コーナーを終えたばかりの序盤戦ながら、削減規模の大型化が際立つ。
多くの日本企業がコロナ前を上回る業績の回復ぶりを示し、株価も34年ぶりに史上最高値を更新するなど、足元の日本経済は総じて明るいムードに包まれる中、“出遅れ組”の巻き返しが注目される。
◎2024年1月以降に人員削減を発表した主な上場企業(HDはホールディングスの略)
発表 | 社名 | 募集人数など |
4月 | コニカミノルタ | 国内外で約2400人 |
3月 | 住友ファーマ | 米国子会社で約400人 |
〃 | セガサミーHD | 欧州拠点で約240人 |
〃 | フェイス | 約40人(4月中旬~6月に募集) |
〃 | スカラ | 約50人(6月末に退職) |
2月 | オムロン | 国内外で約2000人 |
〃 | 資生堂 | 日本事業で約1500人 |
〃 | ソニーグループ | ゲーム事業子会社で約900人 |
〃 | ワコールHD | 約150人(2月に募集)→215人応募 |
〃 | ダイドーリミテッド | 中国子会社で約120人 |
〃 | ACSL | 約40人(2月に募集)→24人応募 |
1月 | 東北新社 | 20~30人(1月に募集)→11人応募 |
文:M&A Online