本記事は、金川 裕一氏の著書『一流の人望力 人の心をつかむ人がいつもやっていること』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の中から一部を抜粋・編集しています。
「ネガティブなこと」は文章では伝えない
人望力を磨くのに必要なポイントは、「信頼関係を構築する力を持つ」ことです。
信頼関係を築くうえで大切なのは「前向きな言葉」です。ネガティブな言葉は、必要だと思うとき以外は極力使わないようにし、使い方にも注意しています。
たとえば、「ネガティブなことは文章では伝えない」ことを徹底しています。
特に注意が必要なのはメールでのやりとりです。メールはインタラクティブではなく、一方通行になりやすいメディアです。
顔が見えていないので、感情のままに書いてしまいます。内容がエスカレートする可能性は十分にあります。受け取ったほうも、たとえ内容が正しくても、ネガティブに受け止める可能性があります。
ですから、できる限りポジティブなことを書くようにしています。たとえば、「よくやったね」「いいアイデアだったね」といった前向きなメッセージは、読んでいて明るい気持ちになり、相手のやる気を引き出す効果があります。
注意や指摘は必ず会って話すか、電話で伝える
注意や指摘が必要な場面ではどうするか。
必ず直接会って話すか、電話で伝えるようにします。顔を見て、表情を交えて伝える、電話であれば、相手の息づかいや反応を感じながら伝えることで、言葉のニュアンスも正しく伝わり、余計な誤解を生まずに済みます。
これは部下との関係において、とても大切なことです。叱ったり注意したりする場面ほど、丁寧な言葉選びと向き合う姿勢が必要なのです。
「叱ったり、注意したりするのは苦手だから」とメールで済ませたくなる気持ちはわかります。しかし、部下を指導する立場であれば、しっかり向き合う必要があります。
相手が納得するように、直接指摘しないと、誤解が生じ、あとで問題が大きくなるケースもあります。
私はフェイスブックを毎日更新していますが、SNSでも「できるだけネガティブなことは書かない」ことを意識しています。社会問題やニュースに触れるときも、最終的には「応援したい」「前向きに進んでほしい」という肯定的なメッセージで締めくくるようにしています。
批判だけをぶつけても、読み手の心は動きません。それよりも「どうしたら良くなるか」という視点で書くことで、共感が生まれ、信頼感にもつながります。
相手の立場を思いやり、伝える言葉には常に温度をもたせる。ちょっとしたメールの一文でも、SNSの日々の投稿でも、「この言葉は誰かの心にどう響くだろうか」と考える。その積み重ねが周囲からの信頼を育て、結果としてビジネスにも良い影響を与えます。
会話の締めくくりは「ポジティブワード」を意識する
日頃の会話やメッセージの締めくくりは「ポジティブワード」を意識します。
部下とのやり取りでも、家族との会話でも、そして自分自身への言葉がけでも同じです。
部下を叱るときでも、最後には「君には期待している」といった前向きなひと言を添えます。すると、相手の心に残るのは「叱られたこと」ではなく、「励まされたこと」になり、次の行動のモチベーションにつながりやすくなります。
「ポジティブな締めくくり」は、スポーツ選手にも通じるものがあります。たとえばプロゴルファーの宮里藍さんは、試合でうまくいかなかった場面でも「次に活かせる経験になりました」と前向きに語ります。その姿勢は、自分自身をコントロールする力のあらわれです。
締めくくりの言葉が相手の印象に残ることは、心理学者ダニエル・カーネマンの「ピーク・エンドの法則」としても明らかになっています。人の記憶は「最も強く感情が動いた瞬間(ピーク)」と「終わり方(エンド)」によって決まるという心理法則です。
言葉には力があります。ネガティブな言葉で締めくくれば、相手の心に影響が残り、自分の気持ちも沈みます。どんなときでも、相手や自分自身を前向きに保つための「ひと言」を大切にしていきたいものです。
学生時代は早稲田大学体育会バレーボール部主将として活躍し、卒業後は横河電機バレーボール部監督、早稲田大学バレーボール部監督として選手育成にも携わった。現在は日本バレーボール協会副会長、早稲田大学バレーボール部OB会会長。
座右の銘は「企業はファンづくり、人生は仲間づくり」。
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