本記事は、金川 裕一氏の著書『一流の人望力 人の心をつかむ人がいつもやっていること』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の中から一部を抜粋・編集しています。

一流の人望力 人の心をつかむ人がいつもやっていること
(画像=ELUTAS/stock.adobe.com)

あきらめなければ、それは失敗ではない

皆さんは、「失敗」をどのように捉えていますか?
多くの人は、「避けるべきもの」「恥ずかしいこと」と感じているのではないでしょうか。特に日本は「完璧さ」や「ミスをしないこと」が重視されがちです。そのため、失敗= 能力が足りない証、という意識を持つ人もいます。そして、失敗したらもうおしまいだ、と考えてしまうのです。
私は「失敗」という言葉に対して、多くの人とは少し違った視点を持っています。

「どんなに困難な状況に陥ったとしても、事業や取り組みを“続けている”限り、それは本当の意味での失敗ではない」

そう考えています。

続けるのをあきらめたときが、本当の意味での「失敗」

失敗に思えることも、実は目標にたどり着くための試行錯誤の途中段階にすぎません。逆に言えば、途中で投げ出してしまったとき、続けることをあきらめたときこそが、本当の意味での「失敗」です。

会社経営をしていて、赤字を出すこともあります。結果が思うように出ず、苦しい時期が長く続くこともあります。私自身、37歳で会社を立ち上げた直後の7年間は、ずっと赤字続き。本当に苦しい時間を過ごしました。しかし、それでも「続けよう」とやり続けたからこそ、その先に光が見えました。どんなに長いトンネルも進んでいけば、必ず光が差し込んでくるのと一緒です。

業績が上向いたとき、「金川は恵まれている」「上司に恵まれたからうまくいった」と言われました。たしかにそれもあるでしょう。加えて、背景には、多くの時間と試行錯誤、あきらめない気持ちがあったことも事実です。

自分のあり方を問い直す

目の前に大きな壁が立ちはだかったとき、壁を乗り越えるためには、ただ闇雲に走り続けるだけではなく、立ち止まり、自分のあり方を問い直す必要があります。
自分は「誰のために」「何のために」挑戦しているのか、日々の中で自問自答することが、力になり、次の一歩を生み出せます。
なぜなら、自問自答することで、挑戦の“軸”が明確になり、ぶれずに進む力を得られるからです。壁にぶつかって苦しいとき、人は「もうやめたい」「意味があるのだろうか」と考えがちです。そんなとき、自分の原点に立ち返り、「この挑戦は、自分にとって本当に大切なことか」「誰のために、何のためになるのか」と問い直すことで、行動の意義、目的が再び輪郭を持ちはじめます。

そうやって、壁を乗り越えた経験は、次のチャンスにつながっていきます。
仮に「次のチャンス」も成功しなかったとしても、その積み重ねが人としての厚みとなります。
失敗を失敗で終わらせない力。あきらめずに続けていく力。それが人生やビジネスのあらゆる局面で、最も信頼される力です。

失敗したら、必ず、振り返りをしよう

さまざまな経験の中でも、特に「失敗から学ぶ姿勢」は重要です。成功体験だけでは、感性は磨かれません。むしろ、失敗を重ね、それを真剣に振り返る中でこそ、相手を理解する力や、的確な仮説を立てる力が育まれます。
受験勉強を思い出してみてください。
回答できなかった問題、間違えた問題は必ず振り返って、できるようにしておく。
それによって、確実に力がついていきましたよね。
本質は同じです。
振り返るときには自分で次のようなステップを踏んでみてください。

失敗をしたときの振り返りの2ステップ

① 「何ができて、何ができなかったのか」を自分に問う
② ①の答えに対し、「次にどう活かすか」を考える

単純なステップですが、できていない人が多いです。
たとえば、プレゼンの場でうまく伝えたつもりが、クライアントから「意図がわかりにくかった」と言われたとします。
そのとき、「自分に何ができて、何ができなかったのか」を冷静に振り返ってみると、次のようなことに気づくかもしれません。

たしかに資料は見た目も構成も丁寧に作り込んでいた。けれど、自社内では常識となっている専門用語や業界特有の表現をそのまま使ってしまい、相手がはじめて聞く立場であることへの配慮が足りなかった。
そこで「次にどう活かすか」を考える。
「次回からは、相手の知識レベルに合わせて前提情報を整理し、重要なポイントを一目で伝える工夫をしよう」と決めれば、それは次の提案での強みになります。
こうした小さな失敗と改善の積み重ねが、やがて大きな力になります。

事前期待を見抜く力を高めるには、経験、自己省察、そして誠意が必要です。誰もが失敗を通じて成長するのですから、臆せずに行動を重ね、自分自身の中にある感性を磨いていくこと。それが、相手の期待を超え、信頼関係を築いていく一歩になると信じています。

一流の人望力 人の心をつかむ人がいつもやっていること
金川 裕一(かながわ・ゆういち)
1959年京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、株式会社横河電機製作所(現・横河電機株式会社)入社。1996年、社内ベンチャー制度で横河マルチメディア株式会社(現・キューアンドエー株式会社)を設立し、代表取締役社長に就任。同社を売上200億円規模に成長させる。2016年、横河レンタ・リース株式会社代表取締役社長に就任。約10年にわたり低迷していた同社を、社員数を増やすことなく4年間で業績2倍へと導いた。大企業、中小企業、ベンチャー企業など多様な規模の経営に参画してきた経験を持つ。現在は株式会社エル・ティー・エスで会長を務めるほか、複数社の役員・顧問を兼務する。
学生時代は早稲田大学体育会バレーボール部主将として活躍し、卒業後は横河電機バレーボール部監督、早稲田大学バレーボール部監督として選手育成にも携わった。現在は日本バレーボール協会副会長、早稲田大学バレーボール部OB会会長。
座右の銘は「企業はファンづくり、人生は仲間づくり」。

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