トラリピ

投資はこの数年で、ぐっと身近なものになった。新NISAをきっかけに、資産運用を始めた人も多いだろう。一方で、歴史的な円安が続くなか、為替に目を向ける人も増えている。

とはいえ、「FXの自動売買」と聞くと、難しそう、あるいは怖い、と身構えてしまう人は少なくない。しかし世の中には、チャートに張り付くこともなく、コツコツと10年続けている個人投資家もいる。しかも運用しながらJALのマイルがたまるものもあるという。

そこで今回は、FX自動売買「トラップリピートイフダン®(トラリピ®)」を約10年運用している個人投資家Sさんに、初心者目線で話を聞いた。会社を辞めたい一心で投資を始め、いまはセミリタイア生活を送るSさん。その言葉は、FXのハイリスク・ハイリターンのイメージとはひと味違う、地に足のついたものだった。

「増やす」より「働かせる」。10年続けてこられた理由

── 投資信託や株ではなく、トラリピを選んで10年。続けてこられたのは、なぜだと思いますか。

個人投資家S 率直に言うと、毎日のキャッシュフローが得られるからだと思います。

資産形成というと「資産を増やす」ことがよく言われますが、資産って、増えても使えるお金が手元に入ってこないと、生活はできないんですよね。投資信託をたくさん持っていても、それだけで生活できるわけではない。

── といいますと?

個人投資家S 投資信託で生活費を得ようとすると、定期的に決済して現金化することになります。すると、評価益が出ていようが評価損が出ていようが、資産を切り崩さなきゃいけない。

でも、含み益が出ているときは「もっと上がるんじゃないか」と思って売りたくないし、含み損のときは「いまは決済したくないな」と思う。そのやり方が、私にはあまり合わなかった。

その点トラリピは、相場状況や感情に左右されず、定期的なキャッシュフローが狙える。ある意味、労働と同じ働きをしてくれているイメージなんです。10年やってきましたけど、感覚としては「10年働いた」に近い。

だから「増やす」というより、入れたお金はそのままに、そこからあふれてきた分を受け取っていく感覚に近いですね。イメージとしては、投資信託の分配金に近いかもしれません。

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個人投資家Sさんはトラリピを「増やす」道具というより、「お金を働かせて、その上がりを受け取る」仕組みだととらえている。この感覚は、一般に思い描かれる為替取引のイメージとは、だいぶ違う。

まずは少額から。通貨ペアも分散させよう

── 「FX」というと、怖い、難しそう、というイメージを持つ人も多いと思います。Sさんは、そのあたりとどう付き合ってきましたか。

個人投資家S 大事なのは、うまくいった場合だけじゃなくて、うまくいかなかったときにどうするかを、あらかじめ決めておくこと。そのうえで、ダメだったときにちゃんと対応できる、自分の身の丈に合った金額で運用することですね。

トラリピ
トラリピⓇとは、マネースクエアHDが特許を取得している独自の自動売買のこと。「上がりそう」「下がりそう」ではなく、これからレートが上下しそうな範囲を予想するため、高度な相場分析を必要とせず、24時間、システムが利益をねらうことで、普段の暮らしをジャマしない資産運用を可能にしている(画像提供=マネースクエア)

── 身の丈に合った金額、ですか。

個人投資家S  実は去年、運用がうまくいかずつまずいてしまったことがありました。その原因も、まさにそこなんです。 冷静なときに「こうなったらこう対応する」と決めていたのに、いざ追い詰められると、「もう少し待てば戻すんじゃないか」「資金を足せば耐えられるんじゃないか」と、決めていたのと違うことをしてしまう。

冷静なときに考えた対応と、追い詰められたときの対応、どちらが正しいかといえば、そりゃ冷静なときのほうに決まっているんですよ。追い詰められて設定をいじると、たいてい深みにはまる。

だから、扱いきれる金額でやるのが大事だと思っています。ひとつの目安は、最大でも自分の年収くらいまで。

あとは、ひとつの通貨ペアに集中させないこと。いくつかの通貨ペアに分散しておけば、そのうちひとつがダメでも、「もともとダメなときはこうすると決めていたんだから、その通りにやろう」と、冷静に判断できる。資金を全部ひとつの通貨ペアに集中させていると、それができなくなるんです。

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トラリピの強みは、設定さえ決めれば機械的に売買を繰り返してくれること。だが、人は追い詰められると、最初に決めたルールについ手を入れてしまう。個人投資家Sさんの失敗談は、その裏返しの教訓でもある。

何から始めればいい? 「小さく始めて、中身を理解する」

トラリピ
実際のトラリピのトレード画面(画像提供=マネースクエア)

── これからトラリピを始める人が、最初につまずきやすいのはどこだと思いますか。

個人投資家S 実は、始める時点では、意外とつまずかないと思うんですよ。最近は「トラリピのはじめかた」という初心者向けのガイドツールが用意されていて、最初の発注のハードルがだいぶ下がっている。ある意味、選ぶだけで始められてしまう。つまずくとしたら、むしろ運用を始めてしばらく経って、レンジ(想定した値動きの範囲)から外れたとき。「あれ、いまの設定でどうしたらいいんだろう」となる。そこなんじゃないかな、と。

── 初心者はどう始めるのがいいでしょう。

個人投資家S 最初は30万円くらいから、トラリピ向きの通貨ペアで始められます。まずはそれくらいの金額で始めてみて、慣れてきたら、自分でカスタマイズしてみるのがいいと思います。

「トラリピのはじめかた」の案内どおりに設定するのがダメと言っているわけではないんです。「FXのことが何も分からなくても運用できてしまう」ことはメリットですが、よく分からないまま「なんかコツコツ利益が出ているな」という状態がずっと続くと、いざ何かあったときに、どうしていいか分からなくなる。だから、運用に慣れてきたら、自分で設定をいじれるくらい中身を理解して、「こうなっているなら、こう対応しよう」と分かるようになるのが理想ですね。

トラリピのはじめ方
「トラリピのはじめかた」では、通貨ペアを選ぶ、トラリピの範囲を確認する、金額を確認するなど、注文に至るまでの流れが分かる内容になっている。個人投資家Sさんのいうように、まずはトラリピのはじめかたからスタートして基本を知り、そこから徐々に注文をカスタマイズするのもひとつの方法(画像提供=マネースクエア)

── なるほど。

個人投資家S 一番もったいないのは、ロスカット(強制的な損切り)になったときに、なぜ失敗したのかよく分からない、という状態。それだと、何の学びも残らないんですよ。触ってみて失敗する分には学びがある。

仕事でも何でもそうですけど、いろいろやってみて、うまくいかなかったところから反省ができる。いろいろやってみるためにも、最初は少額からスタートするのがいいと思います。

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ちなみに個人投資家Sさんは、初心者向けの「トラリピのはじめかた」に加えて、マネースクエアのストラテジストが考案している「トラリピ戦略リスト」も参考になると話す。過去の値動きから今後の見通しまで示されるため、相場に詳しくなくても、視覚的に「この通貨ペアは、過去数年このあたりで動いている」と把握できるうえ、数クリックで始められる手軽さも評価していた。

たまったマイルで、年に一度の旅を

トラリピでJALマイルがたまる
(画像提供=JAL)

── 設定したとおりの自動売買とはいえ、10年続けるのは簡単ではないと思います。継続の秘訣は。

個人投資家S 継続のモチベーションになったのは、利益の数字そのものより、その利益で手に入る生活をイメージすることですね。会社員だった頃は、仕事で辛いことがあるたびに、「この調子でいけば、何年後にはいくら貯まって、会社を辞められるかもしれない」と妄想していました。生活を少し切り詰めて、入金を増やせば、目標まで半年縮められるかも……とか。トラリピの利益そのものというより、その利益でどんな自分になれるか、を考えていた。

昔のテレビショッピングで、カメラをスペックじゃなくて「これでお孫さんのアルバムが作れますよ」と具体的にカメラのある暮らしの良さをアピールしていたじゃないですか。あれと同じで、そういう未来のビジョンがないと、なかなか続かないと思うんです。

そんな個人投資家Sさんにとって、2026年から始まった「運用しながらJALのマイルがたまる」仕組みは、トラリピを続ける理由をひとつ増やすものだった。

── トラリピでマイルがたまるようになったことは、どう受け止めましたか。

個人投資家S 非常に有効だと思っています。トラリピって、資産を形成するだけじゃなくて、生活を豊かにするところがある。私のように生活費を得るのもひとつだし、働きながらでも、月に3万円、5万円と使えるお金が増えれば、それだけで生活は豊かになる。老後のために資産の残高が増えていくのとは、また違う喜びなんですよね。

そのなかで、旅行って、いろんな人にとってごほうびになる。マイルでもらったほうが効率がいい。会社を辞めたくてストイックに運用で得た利益を貯めている人でも、何のごほうびもなしに5年、10年と貯め続けるのは、なかなかしんどい。でも「トラリピ運用でたまったマイルで、ちょっと旅行してリフレッシュする」くらいなら、心理的なハードルは低い。資産運用の大きなモチベーションアップになると思います。

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トラリピ運用でたまるJALのマイルには、運用を続けるだけでたまる「毎日マイル」と、取引が成立するたびにたまる「取引マイル」の2種類がある。JALカードを保有していれば、取引マイルは2倍になる。毎日マイルは、たとえ取引が成立しなくてもたまっていくのが特徴だ。

JALマイル試算
(※)JALカードあり・預託証拠金100万円で年間約5,845マイル/300万円で年間約13,885マイル(いずれもバックテストによるシミュレーション値。)。国内線特典航空券は片道5,500マイル〜。マイル数は設定や相場状況により変動し、将来の獲得を保証するものではありません。(※)2025/04/02~2026/03/31のバックテスト結果に基づき算出(※)表示している結果は、取引の一例であり、相場変動の状況や設定によって、実際にたまるマイル数は変動します。(画像提供=マネースクエア)

── Sさんご自身は、たまったマイルをどう使っていきたいですか。

個人投資家S もともと、旅行にたくさん行くタイプではないんです。でも去年、友人にガイドしてもらって一週間ほど石垣島を旅したら、これが思いのほか楽しくて(笑)。「どうしてもここに行きたい」という特定の場所があるわけではないんですが、行ったら行ったで、意外と楽しめるんだな、と旅行に興味が湧いてきました。

だから、年に一度くらい、マイルでどこかへ旅行しに行くのは自分に向いているかもな、と思っています。「運用でこれだけマイルがたまったら、どこまで旅行できるだろう」と妄想できるのはトラリピユーザーならではの楽しみじゃないかな。

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2026年8月3日からは、トラリピの運用でたまったマイルに応じて、Life Status ポイント(LSP)もたまるようになった。LSPは年に1回たまり、例えば300万円の運用で年間累計13,885マイルをためた場合、34ポイントたまる計算だ。LSPをためると、6段階のStarグレードに応じた特典(空港ラウンジやホテルでの優待など)を利用することができる。

これから始める人へ「身構えずに、試してほしい」

── ひとつのことを長く続けるコツ、あるいは、あえてやらないようにしていることは。

個人投資家S 続けられる人って、実は両極端で、「めっちゃ触る人」か「あまり触らない人」だと思うんです。触るのが好きな人は、それはそれで続く。

逆に、投資信託で一番儲かっている口座は"亡くなった人の口座"だ、なんて話があるくらいで、触らないのもひとつの続け方。トラリピも、形が決まったら、最低限のチェックだけで触りすぎないのも有効だと思います。

私も10年やってきましたけど、メンテナンスはだいたい年に1回くらい。うまくいっているときは基本そのままで、レンジから外れるなど、うまくいかなかったときにどうするかを最初に決めてあるので、そのときだけ動けばいい。

追い詰められて当初決めたルールを曲げた行動をした時って、うまくいった試しがないんですよ。だから、最初に決めたルールはしっかり守ること。あとは結果を見て「これだけ入ったな、何年後にはこうなっているかも」と楽しむくらいがちょうどいい。

── 最後に、FXに抵抗感のある読者へ、メッセージをお願いします。

個人投資家S ひとくちにFXといっても、目指すリターンやとるべきリスクなど、その中身はかなり幅が広いんです。陸上競技でも、短距離走と砲丸投げでは全然違うように、一般的なFX取引とトラリピは全く異なると思っています。

正直に言うと、私自身、始めた頃はトラリピがFXだとすら思っていなかったくらいで(笑)。「コツコツ積み重ねる資産運用」という入り口で始めたので。

トラリピも、仕組みとしてはFXの一種ではあります。ただ、世間で一般にイメージされる、短期的に大きなリスクをとって大きなリターンを追求する投資とは、だいぶ違う。トラリピで成功しても短期で2倍、3倍、10倍とはならない。コツコツ増えていくものです。だから、「お金を短期間に大きく増やしたい」というより、「日々使えるお金を、コツコツ増やしたい」という人には、身構えずに試してみてほしいな、と思います。

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コツコツと積み上げ、その果実で日々の暮らしを少し豊かにする。そして、たまったマイルで、年に一度、マイペースに旅行を計画する——。個人投資家Sさんの語る運用は、派手さこそないが、中長期的に続けられる現実味があった。円安が続き、お金との付き合い方を考える人が増えるいま、その入り口のひとつとして、トラリピをのぞいてみてはいかがだろうか。

運用しながらJALのマイルがたまる「トラリピ」
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