本記事は、リ・ソンウェイ氏の著書『5%の変化 自分を変える「小さな実験」』(ダイヤモンド社)の中から一部を抜粋・編集しています。

5%の変化 自分を変える「小さな実験」
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

友人の出世や収入の話を聞くたびに、落ち込んでしまいます

私には、とても悩んでいることがあります。
友人や知人が自分より仕事で成功していると感じると、心のバランスが崩れ、どうしようもなく落ち込んでしまうのです。
私も、自分なりに努力して成果は上げているつもりです。ただ、業界や会社の規模が違うこともあり、収入や役職では周りの同年代の人たちに及びません。
仕事を始めた時期も違いますし、そもそも異業種です。単純に比較するのは無理があると頭ではわかっています。
それでも、他人の出世話を耳にすると、「自分も頑張っているし、仕事の合間に勉強して資格まで取っている。それなのにどうして自分は何一つ及ばないのだろう」と、情けない気持ちになります。周りの人たちがどんどん先へ進んでいて、自分はもう追いつけないのではないかと思えてしまうのです。
自分自身を慰めることもあります。「人にはそれぞれの時間軸があるのだから、私は私のペースで考えればいい」と思ったり、「誰にでも悩みはあるのだし、あの人たちだって私の何かを羨ましく思っているかもしれない」と考えたりもします。
それでもやはり卑屈になってしまい、「あの人たちが成功しているのは、環境や条件に恵まれているからだ」と、原因を他人のせいにしてしまうこともあります。
感情を抑えきれないときには、周囲のうわさや情報をできるだけ耳に入れないようにします。それでも結局どこかで知ってしまい、そのたびにまた落ち込んでしまいます。
周りの情報に触れても影響されず、平常心でいられるようになりたいと思っています。
先生、何かヒントや提案をいただけないでしょうか。よろしくお願いします。

回答

無理に心のバランスを保とうとする必要はありません。自分をコントロールしようと頑張りすぎると、それだけで大きく消耗してしまいます。
あなたは今、周りの人たちに及ばないと感じている。それだけでも十分つらいはずです。それなのに、さらに時間やエネルギーを使ってまで、自分の感情を抑え込む必要があるのでしょうか。
バランスが保てないなら、それで構いません。いっそ、あきらめてしまってもいいのです。意地を張る必要はありません。バランスを崩しても、それだけで何かが壊れてしまうわけではありません。
とはいえ、「このままではだめになる」と心配になる気持ちもわかります。
そこでまず、次の提案を試してみてください。
自分をコントロールするのを、いったんやめてみるのです。
もし心のバランスが崩れたときは、無理に立て直そうとせず、その感情の流れに任せてみてください。
その状態はどれくらい続くでしょうか?
どのくらい生活に影響するでしょうか?
一番つらくなったとき、あなたはどんな気持ちになりますか?
そして最後には、どのように落ち着いていくでしょう?
1週間、これを試したあと、結果を教えてください。

実践報告

先生の回答を読んだとき、「受け止めてもらえた」と思う一方で、期待していたほど慰められたわけでもありませんでした。
そのときの気持ちを絵文字で表すと、「泣き笑い」といった感じです。
先生の言う「心のバランスが崩れそうになっても無理に立て直そうとせず、感情の流れに任せる」という意味が、最初はあまり理解できませんでした。
これまで私は、いったん心のバランスを崩すと、すぐに立て直そうとしていたからです。
他のことに注意を向けたり、自分を慰めたりして、何とか気持ちを整えようとしていました。そのため、「流れに任せる」という言葉を見たとき、「えっ?」と少し意外に感じたのです。
この7日間も、平常心を保てなくなることがありました。しかし今回は、まず感情をそのままにしてみようと決め、気持ちがどのように変化するのかを観察することにしました。
意識して感情を「そのままにしておく」ようにしたところ、その状態はだいたい半日ほど続きました。
それでも、特に困ったことは起こりませんでした。耳にした情報をふと思い出して落ち込むことはありましたが、仕事が忙しかったこともあり、その気持ちは自然に薄れていきました。
ただ一度だけ、かなり衝撃的な情報を耳にしてしまいました。
そのときも感情の流れに任せようと努めたものの、うまくいかず、ただ耐えているような状態になってしまいました。結局、私は二晩続けて一人で泣きました。
泣きながら、「こんなに悔しいのに、どうして私は報われないのだろう。私だって頑張っているのに……」と、自分の気持ちをすべて紙に書き出しました。
すると、不思議と気持ちがとても楽になったのです。そのあとも思い出しはしましたが、それほど大きく気持ちが揺らぐことはありませんでした。

振り返ってみると、これまで私は「他人のうわさを聞いても冷静でいなければいけない」「羨ましがってはいけない」と、自分を厳しくコントロールしようとしていたのだと思います。「そんな感情を持つ自分はみっともない」と感じ、必死に抑え込もうとしていたのでしょう。
私はまず、自分の中にあるそうした「良くない」と思っていた感情―― 他人へのねたみや羨望―を、そのまま受け止めるべきだったのだと思います。
今日は、自分の中にあるねたみや羨望の気持ち、そして今努力していることや、これからやりたいことをすべて書き出してみました。
書き出してみて、はっきりわかりました。
今、仕事や勉強で取り組んでいることこそ、私が力を注ぐべきものなのだと。
だからこそ、自分の気持ちを乱すようなさまざまな出来事に、限られたエネルギーを奪われるべきではないのだと思いました。

解説・コメント

報告の最後にあった「奪われるべきではない」という一言を読んだとき、思わず「またですか!」と声に出しそうになりました。
つい先ほど、自分を厳しくコントロールしようとせず、良くない感情や考え方も受け入れると言ったばかりなのに、また自分を抑え込もうとしているように感じたからです。
とはいえ、人は少しずつ理解し、少しずつ変わっていくものです。
彼女の中にも、まだ受け止めきれていない部分が残っているのでしょう。それは自然なことだと思います。
ですから、どうぞ焦らず、ゆっくりで構いません。
少しずつ受け止めていってください。
…… そう考えてみると、先ほど思わず声を上げそうになった私のほうが、少し焦りすぎていたのかもしれません。

5%の変化 自分を変える「小さな実験」
リ・ソンウェイ
1985年生まれ、中国・四川省出身。北京大学臨床心理学博士。2007年より北京大学校医院心理カウンセリングセンターおよび北京大学学生心理健康教育カウンセリングセンターでカウンセラーを務める。認知行動療法、家族療法が専門。現在はフリーの心理カウンセラー、作家として活動するほか、清華大学をはじめとする各大学で心理学講座を受け持ち、人気講師として名高い。

【訳者】金山まゆみ(かなやま・まゆみ)
中日翻訳者。関西大学文学部(中国文学科)卒業。企業や政府、自治体など、幅広い分野で中国語の通訳翻訳業務に従事。

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