本記事は、リ・ソンウェイ氏の著書『5%の変化 自分を変える「小さな実験」』(ダイヤモンド社)の中から一部を抜粋・編集しています。
心配性で、そのことばかり考えてしまいます
こんにちは。先生に回答をもらえることはめったに起こらない出来事だと思いますが、相談させてください。
私の悩みも「めったに起こらない出来事」に関することです。周りの人は気にもとめないようなことを、私はすごく心配してしまいます。それに注意力が奪われ、生活に支障が出るほどです。
友人たちは、根気よく「それは杞憂だ」と説得してくれます。しかし、発生確率が1,000分の1、ひどければもっと低いような出来事であっても、どうしても心配になってしまいます。
特に私を苦しめているのは、過去の過ちが将来どこかで問題として表面化するかもしれない、という不安です。その可能性がどれほど低くても、一度考え始めると止まりません。
慌ただしい一日を終えたあとでも、時には明け方まで考えてしまうことがあります。心身ともに疲れ切っていても、考え始めると止まらないのです。
このままでは日常生活を続けていくのは難しいと感じています。
できれば、この状態を変えたいのです。
先生、何かご提案をいただけないでしょうか。
回答
私の考えは、おそらくあなたの友人とは反対です。
私は、「めったに起こらない出来事であっても起こり得る」と考えています。
ですから、あなたが心配すること自体は、決して不自然ではありません。
あなたを苦しめているのは、将来について確信を持てないことです。あなたは、将来のことを心配すると同時に、もしかすると「何も起こらないかもしれない」と期待もしています。
この板挟み状態こそ、最も人を消耗させます。むしろ「必ず起こる」とわかっていたほうが、余計に悩まずにすむものです。
そこで、あなたに提案です。
めったに起こらない出来事の発生が心配になるたびに、自分にこう言ってください。
「期待してはいけない。悪いことはきっと起こる」
次に考えるべきは一つだけです。
「では、どのような予防や対策を取るべきか?」です。やるべきことがあるなら、それをやればよいのです。
これでは、今の生活とあまり変わらないように感じられるかもしれません。
しかし、少なくとも一つの違いがあります。
「本当に起こるのか、それとも起こらないのか」と何度も思い悩む必要はなくなります。すると、余計な二重の苦しみを避けることができます。
もし疲れを感じたときには、毎日、自分に最大で30分の休憩を与えてください。
その際には、自分にこう言ってください。
「もう疲れた。何か起こるかどうかはともかく、少し休もう」
ただし、休憩は決して30分を超えないようにしてください。
もし休んでいる最中に、「こんなことをしている場合ではないのではないか」と心配になったら、すぐに休憩を終えて、また対策を考えればよいのです。
これを1週間続けてみてください。そのあと、どのような変化があったかを教えてください。
ちなみに、あなたは「先生に回答をもらえることはめったに起こらない出来事だ」と書いていましたね。おおよそ、1%ほどの確率でしょう。
でも、ほら―― 実際に起こったではありませんか。
実践報告
先生からの回答を読んだとき、正直に言って複雑な気持ちになりました。
本来なら、先生からの返信は、とても期待していた「めったに起こらない出来事」です。
それなのに、「悪いことはきっと起こる」という言葉を目にした瞬間、氷の塊が喉からお腹の奥へと滑り落ちていくような感覚に襲われました。
それでも、怯えながら先生の提案を最後まで読みました。そして、自分の生活を変えたいという思いから、その提案を実際に試してみることにしました。
最初の4日間は、やはり強い恐怖がありました。
特に「悪いことはきっと起こる」という考えを受け入れようとすると、手足が冷たくなり、何も考えられなくなるほどでした。
それでも、人間ですから何が起こっても不思議ではありません。特に健康のこととなれば、なおさらですよね。
昼間は不安を抱えながらもやるべきことをこなし、夜は相変わらず眠れない日が続きました。
しかし、5日目あたりから少しずつ変化が現れました。おそらく脳が疲れてきたせいだと思います。朝目覚めたとき、最初に浮かぶのはこういう考えです。
「だめだ、もう終わった。悪いことはきっと起こる。だからこそ、今はもっと努力するしかない」
恐怖はまだあります。けれども、その恐怖が、今の自分の足りない部分へと向かうようになりました。
不安もまだあります。ただ、その不安は、これまでのように「何が起こるのか」というものではなく、「今やるべきことをきちんとできているだろうか」という心配へと変わりました。うまく言葉にできませんが、以前よりも目の前の物事に集中し、一生懸命取り組めるようになった気がします。
今回、「めったに起こらない出来事も起こり得る」という考え方を受け入れてから、私の頭上には、まるでいつ落ちてくるかわからない「ダモクレスの剣」がぶら下がっているような感覚があります。休憩の30分間を除けば、その剣はずっと私に警告しているのです。
「警戒を怠るな。油断してはいけない」
その存在は私にプレッシャーも与えますが、その分、今やるべきことをもっときちんとやろうという気持ちにもさせてくれます。
過去の至らなさへの恐れは、「まだ十分ではない自分」への不安へと変わりました。
今のこの状態が良いのか悪いのか、正直なところまだわかりません。
ただ一つ確かなのは、以前のように「めったに起こらない出来事」について延々と考え続けることが、明らかに減ってきたということです。特に悪い出来事についてはそうです。
このまま続けていけば、いつかは何も心配せずに過ごせる日が来るのではないか。
そんな気もしています。
先生のご提案に心から感謝します。
【訳者】金山まゆみ(かなやま・まゆみ)
中日翻訳者。関西大学文学部(中国文学科)卒業。企業や政府、自治体など、幅広い分野で中国語の通訳翻訳業務に従事。
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