「ニューヨーカー(NEWYORKER)」を展開するダイドーリミテッドは5月24日、成瀬功一郎(54)氏が社長に就任する人事を発表した。成瀬功一郎氏は外部のエキスパートとして、ダイドーリミテッドの中期経営計画の策定に関与した人物。
ダイドーリミテッドの今回の人事案は、ストラテジックキャピタルが業績低迷などを理由にオンワード樫山の元社長の大沢道雄氏らを含む6人の取締役候補を選任する人事刷新案を求めており、これに対抗する狙いだ。現社長の鍋割宰氏らは6月27日に開催する株主総会をもって退任する。
アクティビスト(物言う株主)として知られる国内投資ファンドで、丸木強氏が率いるストラテジックキャピタルは、2022年11月25日にダイドーリミテッドの株数が全体の5%を超えたとする大量保有報告書を財務省に提出しており、さらに今年4月2日に財務省に提出した変更報告書によると、株式保有比率は23.81%から24.85%に増加している。現在は、同社が運営するファンドと合わせて議決権の32.2%を保有している。
ダイドーリミテッドが5月14日に発表した2024年3月期の通期連結決算は、売上高は286億9700万円(前期比1.7%増)、営業利益は4億4200万年の赤字(前年は4億8100万円の赤字)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億9100万円(前期比95.7%減)と、増収ではあったものの前年に続いて営業赤字だった。
2025年3月期の連結業績予想は、売上高は303億円(前期比5.6%増)、営業利益は1億円(前年は4億4200万年の赤字)、親会社株主に帰属する当期純利益は3000万円(前期比89.7%減)としている。
こうしたなか、ダイドーリミテッドも構造改革を進めてきた。2021年に全国で99店舗展開していた「ニューヨーカー」とアウトレット店舗の19店のうち30店舗を閉鎖し、2022年には連結子会社のダイドーフォワードの店舗勤務の社員を対象に希望退職者を募集し、104名の人員を整理した。さらに、2022年にダイドーフォワードが保有する本社を売却し、100億円の特別利益を計上している。
しかし、ストラテジックキャピタルは本業であるアパレル事業の業績が悪化し続けており、経営状況にも全く改善が見られないと主張する。ダイドーリミテッドが保有する最大の不動産資産は同社の旧小田原工場跡地に開発した大規模ショッピングセンターのダイナシティだが、ストラテジックキャピタルはアパレル事業だけではなく不動産事業の抜本的見直しも求めている。今後、さらに経営改革の一手として不動産の売却をダイドーリミテッドに提案する可能性もある。