「ビジネスプランを提示された方の提案はお断りした」

トークセッションでは第三者事業承継で活版印刷の文林堂(福岡市)を譲渡した山田善之氏と、同社事業を譲受したハイタイド(同)で営業企画部広報イベント・コンテンツ企画を担当する尼田真理子氏がオンラインで登壇。

文林堂の事業承継がrelayで紹介されると、全国から50件以上の応募が殺到した。山田氏は多数の応募に「すでに産業として成り立たない活版印刷がここまで注目され、自分がやってきたことに誇りを持てた」と振り返った。

事業承継の相手選びでは「将来のビジネスプランを提示された方はお断りした」(山田氏)ときっぱり。「承継後の収益性や譲渡額よりも、活版印刷自体に興味があるかどうかが決め手になった」(同)という。ハイタイドからは事業提携を提案され、「私は経営者というよりも職人。ハイタイドからいただいたデザインを元に、自由に仕事ができるのはありがたかった」(同)とメリットを語った。

ハイタイドの尼田氏は「山田さんの仕事に向き合う姿勢に大いに刺激を受けている。わが社の文具に活版印刷でデザインを入れてもらったり、業務提携がマスメディアに取り上げられたりして、大きなシナジー効果があった」と高く評価している。

会場につめかけた参加者は熱心にメモを取ったり積極的に質問したりして、事業承継への関心の高さがうかがえた。

文:M&A Online