総括
FX「中国は低インフレを輸出、欧米は関税引き上げで対応」人民元見通し
(通貨4位、株価15位)
予想レンジ 人民元/円21.3-21.8
(ポイント)
*5月最下位の人民元は6月は7位スタート
*5月貿易、輸出が伸びる
*低インフレが続く
*李強首相がオセアニア訪問(6月15日から)
*世銀の成長見通しは上方修正
*G7首脳、中国過剰生産に懸念表明へ
*EU、中国製EVに最大38.1%の追加関税発動
*バイデン大統領“中国が台湾侵攻の場合 戦力使用を排除せず”
*IMF、成長率予測5%に引き上げ
*外資が中国債券を8カ月連続で買い増し
*中国の米国債保有額、2009年ぶりの低水準に
*イエレン財務長官は中国の過剰生産能力に懸念
*貿易など経済指標改善の中、米国が対中関税引き上げ
*米国の輸入、中国が15年ぶり首位陥落
(人民元は年間4位と安定、株は伸びず。長期金利は2%前半)
人民元は年間では4位と安定。5月はドル円に日銀大規模円買い介入で、ドル円が下落、ドル主軸のバスケット制を採用する人民元も下落し月間最下位となったた。6月は7位スタート。
ハンセン指数は年初来で5.22%高、上海総合指数が2.1%高。
10年国債値は2.32%。
(5月貿易、輸出が伸びる)
5月の貿易黒字は826.2億ドル。予想は730億ドルの黒字。対米貿易黒字は308億ドルで、4月の272.4億4ドルから拡大した。1-5月では1282億ドルの黒字となった。
5月は、輸出が前年比7.6%増、輸入は1.8%増となった。
予想は輸出が6.0%増、輸入が4.2%増。4月は輸出が1.5%、輸入が8.4%それぞれ増加していた。
(低インフレが続く)
5月の消費者物価(CPI)は前年比0.3%上昇。予想の0.4%は下回った。
前月比では0.1%下落。4月は0.1%上昇、生産者物価(PPI)は前年比1.4%下落。下落率は4月の2.5%を下回った。予想は1.5%下落だった。
デフレ圧力はまだ消えていない。PPIの改善は主に銅や金など商品価格がけん引し、内需を反映したものではない。 引き続き低インフレとなる見通しだ。
中国経済は長引く不動産危機が投資家や企業、消費者の信頼感に打撃となる中、回復に苦戦している。 政府は住宅部門の需要喚起策のほか、自動車や消費財の下取りを促す優遇策など消費者心理を支える措置を打ち出してきた。 コアインフレ率が前年比0.6%上昇と4月の0.7%上昇から鈍化した。
(李強首相がオセアニア訪問)
李強首相が6月15日からオセアニアを訪問する。
チャルマーズ豪財務相は日、「豪中関係は過去2年間にわたり「より安定した状態」にあったが、複雑な関係というものを管理する難しさについて認識が甘いわけでも非現実的」でもなかったと語った。また「われわれの仕事は関与すること、それを有意義で尊重した方法で行い、必要な場合には国益を主張し擁護することだ」と加えた。
その後NZも訪問する。ラクソンNZ首相は両首相は経済・貿易関係の強化を確認するほか、インド太平洋の安全保障などを巡り意見を交わすと述べた。
(世銀の成長見通し)
世界銀行は6月11日、最新の世界経済見通しで、2024年の世界経済成長伸び見通しを2.6%とし、1月時点の予測から0.2%上方修正した。好調な米国が主導し、3年連続での成長率縮小を回避する見通し。
中国は4.8%と、0.3%上方修正。主に輸出の伸びが国内需要の低迷を相殺すると予想した。ただ、低調な投資や消費者信頼感のほか、不動産部門の低迷が続く中、25年については4.1%に鈍化すると見込んだ。
また、多くの国で高まる保護主義や産業政策が世界のサプライチェーンの非効率を増大させ、新興国などへの投資が減少する可能性があるほか、中国の景気後退が深刻化すれば、とりわけ資源輸出国などの成長が阻害されるおそれも指摘した。
(G7首脳、中国過剰生産に懸念表明へ)
13日開幕する首脳会議(G7サミット)で、中国の過剰生産問題を経済安全保障上の問題だと位置づけて懸念を表明する方向で調整する。ガリウムやゲルマニウム、黒鉛といった重要鉱物の輸出管理に対抗し、サプライチェーンを強化する。
日米欧は中国が多額の補助金・税優遇を通じた過剰生産で国際的な市場競争をゆがめていると問題視している。最近は電気自動車(EV)や太陽光パネルに対象が広がり、米国や欧州連合(EU)は2023年後半から対抗措置を発表している。
テクニカル分析(人民元/円)
介入後の高値安値の半値近辺で推移
日足、介入後の高値安値の半値近辺で推移(高値22.010、安値21.136の半値が21.573)。6月は連続大陰線で雲中に沈むも、ボリバン3σ下限から反発、雲上へ。6月7日-12日の上昇ラインがサポート。4月29日-6月12日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、円買い介入が行われた4月29日週の高値までは戻らない。4月29日週-6月3日週の上昇ラインがサポート。4月29日週-6月10日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、5月は5か月ぶり陰線、6月も陰線スタート。4月のボリバン3σ上限から反落。
1月-4月の上昇ラインがサポート。4月-5月の下降ラインが上値抵抗。
年足、4年連続陽線。22年-23年の上昇ラインがサポート。一時1993年以来の22円台のせ。
チーファンラマ
EU、中国製EVに最大38.1%の追加関税発動
欧州委員会は、中国から輸入する電気自動車(EV)に最大38.1%の追加関税を課す暫定措置を発表した。 中国商務省は事態の進展を注意深く監視し、中国企業の正当な権利を守るために必要なあらゆる措置を断固として講じると表明した。
欧州委のシナス副委員長は、中国製EVは不当な水準の補助金の恩恵を受けており、EUの自動車メーカーを脅かしていると指摘。「欧州委は中国当局と連絡を取り、今回の調査結果について協議し、指摘された問題を解決するための方法を探っている」と述べた。