エルドアン大統領も金融政策に対して妥協的な姿勢を示している【外為マーケットビュー】
動画配信期間:2024/7/10~2024/7/24
動画の要約・まとめ
・トルコ経済は安定しているが、株価のみが上昇を続けている(4年で855%、今年45%上昇)
・新財務大臣の楽観的な姿勢が市場に良い影響を与えている
・トルコの弱点は貿易赤字
・インフレ抑制のための金利引き上げと財政改善が評価されている
・高金利(約30%)の債券に資金が流入している
・スワップ取引によりドル資金と外貨準備を増やしている
・リラの為替レートは1ドル32台で安定しているが、政府は急激な変動を避けようとしている
・インフレ率は低下傾向にあり、2年後に1桁台を目指している
・財務大臣や中銀総裁への批判や誹謗中傷のリスクがある
・リラ債券の魅力が高まっているが、過去の下落から慎重な見方もある
・トルコ中銀総裁は金融引き締めを継続する方針
・エルドアン大統領も金融政策に対して妥協的な姿勢を示している
・貿易収支改善のため、中国EVメーカーBYDの工場誘致などの対策を実施
・財務大臣と中銀総裁によるロードショーで投資家の信頼獲得を目指している
・為替介入の可能性と貿易収支の改善が今後のポイント
・為替が安定すればトルコリラの高金利が投資の魅力になる可能性がある
動画の書き起こし
トルコについてお話ししたいと思います。トルコも、いつになくこのところ安定してあまり上がりもしないのですが、トルコで上がり続けているのはもう株価だけです。トルコの株というのは、ここ4年で855%上がっています。株は今年も45%上がっています。株は強いのですが、金利はどんどん債権が売られリラも下がっていたのですが、ようやくリラが下げ止まったというところです。やはり新しい財務大臣が頑固なほどに自信満々で楽観的であって、前向きなことばかり言っているわけです。これも少し効果が出ているのではないかと思います。
ただメキシコとか南アフリカ、大体貿易黒字なのですが、メキシコも時々貿易黒字になるのですが、トルコはやはり弱点は貿易赤字です。これはやはり急騰するわけにもいかないというところで、せいぜい安定なのですが、その安定しているというのはやはりインフレを収めようとして金利を上げ続けているというところと、財政も透明にしてかつ財政を改善しているというところが評価されています。世銀もそれからフィッチも評価を高めているというところと、米証券なども評価を高めています。どこにお金を持っていくかというと30%近い債券にお金をつぎ込んでいます。30%でつぎ込んで20%まで低下すれば、これだけでも単年度で30%儲かるわけです。そういうところを狙って資金がどんどん入ってきているというところだと思います。
ただ為替にはあまり入っていなくて、そういうお金を使ってかつスワップをいろんな国と、カタールとか中国ともやっています。スワップをやってドル資金を増やして外貨準備を増やしたというところです。これで少し安定感が出てきたのですが、そうなればもうちょっとリラが上がってもいいかなと思うと、その増えた外貨準備でドルを買っているということは、やはりもうこのレート水準に目が慣れたので、この水準で安定させようというところです。もうリラの下落はもちろん嫌なのだけれども急激な上昇もして欲しくないので、売ったり買ったりしながら外貨準備を調整しながらやっているというところです。もっと本当は資金が入っているのだったら、リラが上昇したとしてもいいと思うのですが。リラが、1ドル32台なのですが、ここでずっと安定しています。これ33台とか行くと、またちょっと不安な思いがするのですが、この辺がだから33に乗った時にまた介入してくるかというところがポイントの1つだと思います。
ただ今のところ、このままインフレが収まって先月は74%から71%まで低下したというところです。これを機に今年の年末は30%台、それから2年後は1桁のインフレに戻るというところがもうちょっと見えてくれば、もっと世界中から。私も買ったのですが、債券買いをしてくるのではないかと思います。そうすると割と質のいい金利の低下になるので、あまりリラ売りには繋がらないのではないかと思います。債券を買いながらリラを買うという人も出てくるわけです。それはいい方向に向かってくると思います。ただこれが、また10%以下に政策金利がなると、他のメキシコなどとの違いがなくなるので、10%以上の時はまだまだリラ買いを続けていいのではないかと思います。
まだインフレが低下したばかりと言えども、インフレ70%ですし、今日の新聞にも出ていましたように、そのインフレの数字はおかしいのではないかという文句をつけられている時もあるわけです。その辺は慎重に見ていきたいと思います。今はその財務大臣が結構信頼感を集めているのですが、その財務大臣の方はX(Twitter)でよく自分のことをどんどん述べている人なのですが、そのコメントでかなり誹謗中傷を食らっているわけです。お前はどこの別荘を買ったとか。前任の女性の中銀総裁も相当誹謗中傷されて。親族に家を貸しているのではないかとか色々言われて、辞めざるを得なくなってしまったので。そういうところは、やはり高インフレで生活に苦しむ人もいるわけです。批判も大きくなっていて、それがまたちょっと辞任の方に向かうというリスクもあるので。その辺は気をつけてくださいと言ってもなかなか気をつけられないのですが、そういうこともあり得るのではないかと思います。
※ドルトルコリラ日足チャート
ドル/トルコリラは3月からかなり安定しているのです。3月からずっと1ドル32台というのを続けているわけです。そうすると円安の部分だけリラが上昇しているというところです。まだ3%ぐらいの上昇ですが、それが1つのリラ安定の原因であって。リラが安定していればリラ買いでスワップがもらえるわけです。これで少しリラ人気が高まっているということです。これも私も証券会社の人に聞いたら、「ちょっとリラ、リラ債券買いたい」と言ったら「そんなのとんでもないです」と言われたわけなのです。要するに前回のリラ下げがあったので、多分証券会社としてもあまりトルコ債券を勧めないように言われているのではと思いました。ではここは少しポジション的にも軽いのだったら、リラ債券を買ってもいいのではないかというところです。
中銀総裁もカラハン総裁と言うのですが、この方もまだまだ油断せずに金融引き締めを続けていくということ言っているので。その辺は今までインフレが上がると利下げしろうと言ったエルドアン大統領も妥協しているというところです。昨日はエルドアン大統領が「金融政策がインフレ抑制に効果をもたらすにはしばらく時間がかかるだろう」と。「ただ9月のインフレ率は50%前後見込みだ」ということを言っていますというところです。以前は中銀総裁をどんどん解雇していたエルドアン大統領と違って、中銀総裁と財務大臣とエルドアン大統領が3人、割と仲良くやっているところだと思います。
今週トルコは5月の失業率と小売業売上高と外貨準備の発表があります。あと経常収支もありますが、この貿易収支と経常収支が黒字になればいいのですが。そういうことを進めようとしている対策もあって、中国のEVのBYDをトルコに工場を誘致したと。そこから輸出できればトルコの貿易収支の改善にもなると思います。
また明日財務大臣と中央銀行総裁が時々やるのですが、ロードショーをやるということです。ロードショーって何かというと、映画の宣伝みたいなものです。トルコはいい国だというところをもう色々宣伝して、投資家から信頼感を勝ち得て、トルコの債券を買ってもらおうという作戦なのですが。いろんな南アフリカもこういうことよくやっていたのですが、トルコもやっているというところです。いろんなことで前向きにトライをしているということはかなり評価できると思います。
ポイントは3月から続いていた1ドル32台が今32円半ばになっているので。それを抑えるような為替介入とかをやるかどうかというところがポイントだと思います。
トルコは将来有望なのですが、やはり気になるのは貿易収支。ただ為替が安定すれば金利はもらえる。というところだと思います。
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