南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「南アの株、債券に海外資金が流入。政策金利は据え置きか」南アランド見通し

「通貨2位、株価14位」
「予想レンジ 南アランド円8.5-9.0」

(ポイント)
*ランドは2位へ後退も株価は史上最高値、国債も急速に買われる
*政策金利は8.25%で据え置きか
*外国人が南ア国債を2年ぶりのペースで購入
*財務長官が財政改革を明言
*アゴア法適用継続で南アの対米輸出への恩恵続くが、ガザ問題で関係悪化も
*100日以上、停電なし
*原子力計画に注力
*停電の改善は成長を高めるか
*中銀総裁はインフレ目標の引き下げを提言
*新政権発足後は数多くの問題に対処しなければならない
*15年ぶりの基礎的財政黒字を達成
*中国と南アの関係は強化されている
*グレーリスト解除は来年か

(ランドは2位へ後退も株価は史上最高値、国債も急速に買われる)
 僅差であるが、ポンドに抜かれ年間2位へ後退。米ドルよりは強い。先週は日銀円買い介入に押されるも4位、7月はここまで6位。
 株価(全株指数)は一時マイナス圏に沈んだが、盛り返し6.23%高で史上最高値。10年国債は9.67%に低下。年初来でも総選挙後もトリプル高。

(政策金利は8.25%で据え置きか)
 市場は7回連続で政策金利を8.25%に据え置くと予想している。金利先物では、0.25%利下げの可能性は20%、次回9月の会合での0.25%利下げが行われる可能性は80%と織り込まれている。年末までに0.37%の利下げが織り込まれている。
 クガニャゴ中銀総裁は、インフレの終了を宣言することに慎重だ。インフレが確実に4.5%になるまで金利を引き下げないと繰り返し述べている。
 BER経済研究所の2年先の平均インフレ期待は、2Qに前四半期の5.2%から4.9%に低下した。

(外国人が南ア国債を2年ぶりのペースで購入)
 FRBが利下げに近づく中、新興国市場の高利回りに惹かれ、外国人投資家が南ア国債を積極的に買い進めている。外国人投資家は46億ランド相当の証券を購入した。これは2022年1月以来の1日当たりの最高額だ。これにより、外国人による買い越しは8日間続き、7年以上ぶりの最長記録となった。

5月29日の総選挙でANCが過半数議席を失った後、投資家は南ア国債に新たな関心を示している。この選挙によりANCは野党政党を政権に迎え入れざるを得なくなり、その中には第2位の得票数を獲得した企業寄りのDA(民主同盟)も含まれている。

投資家たちは、野党の存在が、新政権が経済成長を妨げている国家の無能さ、電力不足、物流の混乱に対処するのに役立つかもしれないと賭けている。ランドは選挙以来好調な新興国通貨であり、南アの株価は過去最高値となっている。

(財務長官が財政改革を明言)
 ゴドンワナ財務相は、新たに結成されたGNU(連立政権)が経済改革から投資までの優先分野を定めるための概要を説明した。
 ゴドンワナ財務相は、国家統治の不備、電力不足、経済成長を妨げている物流の混乱など、国のさまざまな危機に取り組むにあたり、内閣が考慮しなければならない財政パラメータの概要を示した。

 社会保障網の拡大、国有企業の将来、原子力発電の調達資金、そして物議を醸している国民健康保険制度の実施を取り組むことになる重要な分野とする。