約1500億円の最終赤字だった米国のVF社が買収から4年足らずで「シュプリーム」を売却
(画像=「セブツー」より引用)

「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」や「ティンバーランド(TIMBERLAND)」などを擁する米国のVFコーポレーション(VF CORPORATION、以下VF)は7月17日、イタリアのアイウェア企業のエシロールルックスオティカ(ESSILORLUXOTTICA)と「シュプリーム(SUPREME)」を売却することで同意したと発表した。

売却額は15億ドル(約2340億円)で、現金で支払う。規制当局の承認が得られ次第、取り引きが完了する見込みだとしている。VFは2020年11月に「シュプリーム」を21億ドル(当時のレートである104円換算で約2164億円)で買収したが、ブラッケン・ダレル(Bracken Darrell)社長兼CEOは「シュプリーム独自のビジネスモデルとVFのビジネスモデルとでは、シナジー効果は限られているという結論に達した」と語っており、劇的な買収から4年足らずで米国を代表するストリートブランドを手放すことになった。

VFは現在、主力ブランドである「ヴァンズ(VANS)」と「ティンバーランド(TIMBERLAND)」が不振で、2024年3月期は最終赤字に陥っている。2023年ごろからブランドポートフォリオ戦略の見直しを迫られており、今回の「シュプリーム」売却もその一環と見られている。買った価格より6億ドル(約936億円)も安い価格で「シュプリーム」を手放すこととなったが、主力ブランドの立て直しは急務だ。

VFの2024年3月期決算は、売上高は104億5470万ドル(前年比10.0%減、約1兆6309億円)、営業利益は3400万ドルの赤字(前年は3億2760万ドルの黒字、約52億円)、当期純利益は9億6880万ドルの赤字(同1億1850万ドルの黒字、約1511億円)と大幅な減収減益で、1500億円以上の最終赤字だ。

ブランド別の売上高では、「ザ・ノース・フェイス」は36億7330万ドル(前年比1.7%増、約5730億円)、「ヴァンズ」は27億8570万ドル(同24.4%減、約4345億円)、「ティンバーランド」は15億5690万ドル(同12.8%減、約2428億円)、「シュプリーム」が属するその他のブランド部門は18億2030万ドル(同0.7%増、約2839億円)だった。「ヴァンズ」と「ティンバーランド」の売上高は2桁減であり、VFの今後の動向がさらに注目される。

1ドル=156円換算(7月17日時点)