コロナ禍の水準まで落ち込んだ「グッチ」の売上高 ケリングの2024年上半期は最終利益が半減と厳しい決算
(画像=「セブツー」より引用)

ケリング(Kering)は7月24日、2024年上半期(1~6月)決算を発表した。売上高は90億1800万ユーロ(約1兆5060億円、前年同期比11%減)、営業利益は15億8200万ユーロ(約2641億円、同42%減)、上半期純利益は8億7800万ユーロ(約1466億円、同51%減)と大幅な減収減益だった。

ブランド別の売上高は、「グッチ(GUCCI)」は前期比で18%減となる40億8500万ユーロ(約6821億円)、「サンローラン(Saint Laurent)」は同7%減となる14億4100万ユーロ(約2406億円)、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」は同3%増となる8億3600万ユーロ(約1396億円)だった。

ケリングの3大ブランド以外の「バレンシアガ(BALENCIAGA)」や「アレキサンダー マックイーン(Alexander McQueen)」などの売上高の合計は、前期比6%減となる17億1700万ユーロ(約2867億円)だった。

地域別の売上高は、日本は前年同期比で22%増と増収を達成しており、7億3700万ユーロ(約1230億円)と好調だったが、歴史的な円安を背景にしたアジアや他国からの観光客数の増加によるもの。売上高の3割を占めるアジア太平洋地域(日本を除く)は28億9700万ユーロ(約4837億円、前年同期比20%減)、欧州は25億5500万ユーロ(約4266億円、同8%減)、北米は20億5700万ユーロ(約3435億円、同13%減)、その他の国・地域は7億3700万ユーロ(約1230億円、同2%増)だった。

ここで、ケリングの中核ブランドである「グッチ」の上半期売上高を振り返ってみる。
 ・2023年1〜6月:51億2800万ユーロ(約8050億円=決算当時のレート157円で換算、前年同期比0.9%減)
 ・2022年1〜6月:51億7300万ユーロ(約7087億円=決算当時のレート137円で換算、前年同期比15%増)
 ・2021年1〜6月:44億7930万ユーロ(約5823億円=決算当時のレート130円で換算、前年同期比50%増)
 ・2020年1〜6月:30億7200万ユーロ(約3809億円=決算当時のレート124円で換算、前年同期比34%減)

今期の売上高は40億8500万ユーロであるから、コロナ禍の非常事態時の水準にまで落ち込んでいるのがわかる。「グッチ」のクリエイティブ・ディレクターはアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)が退任し、サバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)が就任している。主軸ブランドを担う重責は計り知れないが、中国市場の景気悪化などは今後も懸念されており、難しい舵取りを迫られる。

1ユーロ=167円換算(7月26日時点)