怪しい資産運用セミナーの見分け方を解説!主な手口や騙されやすい人の特徴
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最近では、資産運用への注目度が高まると共に、投資詐欺の被害者数や被害金額が急増しています。

その被害のきっかけとなる可能性があるのが、怪しい資産運用セミナーです。

被害に遭わないためには、怪しい資産運用セミナーにおける詐欺師の手口やよく取り扱われる投資商品を知り、騙されないためのポイントを押さえる必要があります。

本記事では、これらの詳細について解説します。

この記事でわかること
  • 怪しい資産運用セミナーを主催する詐欺師の手口
  • 騙されやすい人の特徴
  • 怪しい資産運用セミナーの見分け方

目次

  1. 資産運用の怪しいセミナーと一般のセミナーの違い
  2. 怪しい資産運用セミナーで使われる詐欺師の主な手口9選
  3. 怪しい資産運用セミナーでおすすめされることが多い投資商品5選
  4. 怪しい資産運用セミナーに騙されやすい人の特徴4つ
  5. 怪しい資産運用セミナーに騙されないためのポイント3つ
  6. 信頼できる資産運用セミナーの見分け方のコツ
  7. 資産運用セミナーで怪しいと感じたときの対応策
  8. まとめ

資産運用の怪しいセミナーと一般のセミナーの違い

怪しい資産運用セミナーの見分け方を解説!主な手口や騙されやすい人の特徴
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資産運用セミナーでは、投資や資産形成の専門家である講師が主に以下のテーマについて解説してくれます。

・資産運用の基本知識
・投資商品の選び方
・老後資金の蓄え方
・資産運用の注意点 など

資産運用セミナーに参加すると、これらの知識を効率的に学べるのが大きな魅力といえるでしょう。

また、主催者(主宰者)側には、資産運用セミナーを開催することで、商品やサービスに興味のある見込客にアプローチできるというメリットがあります。

このように一般の資産運用セミナーは、参加者と主催者の両方にメリットがあります。

一方、怪しい資産運用セミナーは、参加者からお金をだまし取ることを目的にしています。

投資をしても利益が得られず、元本さえ戻ってこないリスクがあります。

怪しい資産運用セミナーで使われる詐欺師の主な手口9選

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怪しい資産運用セミナーでは、さまざまな手口で参加者をあざむこうとします。

資産運用セミナーに行ってから後悔しないよう、まずはその手口を知ることをおすすめします。

以下が怪しい資産運用セミナーで使われる主な手口です。

以下で詳しく解説します。

1.SNSやマッチングアプリでセミナーの勧誘をする

SNSやマッチングアプリを通じて勧誘するのは、怪しい資産運用セミナーの典型的な手口です。

SNSやマッチングアプリのやり取りで親近感を抱かせたり、恋愛感情があることを匂わせたりした後、警戒心が弱まっているところに投資話を持ちかけることで、相手が断りにくい状況を作り出します。

2.成功者であることを過度に強調する

主催者が成功者であることを過度に強調する点も、怪しい資産運用セミナーの典型的な手口に挙げられます。

たとえば、高学歴をうたったり、資産家であることを写真や動画で紹介したりしますが、その経歴が嘘や誇張されていることも少なくありません。

3.お金が儲かることを断定する

資産運用の初心者に対して、「お金が必ず儲かる」といった断定的な判断を示して資金を集めるような怪しい資産運用セミナーも存在します。

金融商品取引法では、業者が儲かることを断定することを禁止しています。

そのため「儲かる」ことを断定するのは違法行為です。

セミナー中に主催者や講師が「絶対に儲かる」といった断定的な表現をした場合、そのセミナーは詐欺師により運営されている可能性が高いといえるでしょう。

4.著名人の名前を使う

怪しい資産運用セミナーの手口には、芸能人やスポーツ選手などの世間に名の通った人とのつながりをアピールすることで、自分たちを信用させることもあります。

著名人の名前の使い方はさまざまです。

たとえば、広告のイメージに使用する、セミナーのゲストに招く、プレゼン資料内に主催者とのツーショット写真を掲載するなどがあります。

5.元本保証することをうたう

預金や日本国債などを除き、一般的な投資商品には必ず損失リスクがあります。

それにも関わらず、元本保証をうたうのも怪しい資産運用セミナーの特徴です。

詐欺師は元本保証をする気は初めからありません。

そもそも投資活動で損失が発生した場合、それを業者が補てんすることは金融商品取引法によって禁止されています。

出典:e-Gov法令検索 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)

6.内容にエビデンスがない

プレゼン資料で使われているデータやグラフに信憑性があるように見えても、実際には虚偽の内容ばかりという怪しい資産運用セミナーも存在します。

また、主催者や講師の話が論理的に聞こえても、実際には話をすり替えていたり、雰囲気だけで話していたりすることもあります。

7.話題性の高いテーマを題材にする

より多くの人の関心を引くために話題性の高いテーマを取り上げるのも、怪しい資産運用セミナーの手口です。

過去に詐欺の対象となったテーマには、仮想通貨や再生可能エネルギー、iPS細胞などがあります。

また今後、被害が増える可能性のあるテーマにはAI(人工知能)が挙げられます。

8.集団でセミナーを盛り上げて対象をだます

怪しい資産運用セミナーは、会場の雰囲気が独特なことが多いです。

たとえば、主催者の問いかけに対してサクラの参加者が過剰に反応して盛り上げ、他の参加者の判断力を鈍らせようとします。

また、大勢のサクラで場の一体感を作り、「みんなで一緒にお金を稼ごう」などのかけ声で参加者を逃げにくい心理状況に追い込むこともあります。

9.検索しても情報があまり出てこない

怪しい資産運用セミナーを主催するような詐欺師は、お金をある程度集めたあと、行方をくらませるケースがあります。

そして、法人名や講師名などを変えて、新たなターゲットを探すのが常套手段です。

そのため、ネットで検索しても、信頼性のある情報があまり出てこないという特徴があります。

また、一見、信頼性のある情報に見えても、確認してみると虚偽や不正確な情報ということもよくあります(例:住所、電話番号、法人名など)。

怪しい資産運用セミナーでおすすめされることが多い投資商品5選

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怪しい資産運用セミナーでは、多種多様な投資商品が取り上げられますが、その代表的な内容を紹介します。

怪しい資産運用セミナーでおすすめされることが多い投資商品5選

1.未公開株

怪しい資産運用セミナーで扱われやすい商品の1つ目は「未公開株」です。

詐欺師は以下のようなトークで勧誘します。

現在は非上場企業だけれども、近い将来、株式公開が確実。そのため、価値が安い今のうちに株式を取得しておけば確実に儲かる。

しかし、不特定多数の投資家に対して未公開株の取得を勧誘することはありえません

未公開株は、一部の投資家やその会社の経営などに深く関わっている人でなければ、取得できないのが常識です。

2.外国通貨取引

怪しい資産運用セミナーで扱われやすい商品の2つ目は「外国通貨取引」です。

詐欺師は以下のようなトークで勧誘します。

ドルや円などに比べて安い開発途上国の通貨を今のうちに購入しておくと、近い将来、通貨高になることが確実だから大きな差益が得られる。

その国の通貨が高くなる理由としては、「大規模な開発プロジェクトが進んでいることで、経済成長が確実である」などが挙げられます。

しかし、通貨の価値はその国の経済成長だけでは判断できません。

通貨の価値は、世界各国の金融政策などが複雑に絡み合って決まるため、金融の専門家でも予測するのは難しいのが現実だと理解しておきましょう。

3.株式、投資信託、FXなどの一般的な金融商品

怪しい資産運用セミナーで扱われるのは、マイナーな投資商品ばかりではありません。

株式、投資信託、FX(外国為替証拠金取引)などの一般的な金融商品を扱うこともあります。

ただし、これらの金融商品を一般消費者に販売するには金融庁(財務局)の登録が必要です。

しかし、詐欺師は無登録でこれらの商品を扱っているように見せかけ、嘘の運用実績を紹介して資金を集めることがあります。

なかには、数万人規模の方々からお金を集め、金融商品取引法違反の容疑で逮捕された事例もあります。

4.システムトレード

システムトレードとは、あらかじめ決まった法則に従ってFX取引を自動でおこなう手法です。

システムトレード自体は違法ではなく、経験や知識が少ない人でも一定レベルのFX取引ができるメリットがあります。

しかし、一部の悪徳業者は高額で粗悪なツールを販売する事例が散見されます。

5.情報商材

情報商材とは、投資やギャンブル、副業などで高い成果を挙げるためのノウハウを販売するものです。

購入後、「成果が出ない」「解約できない」「他の商品にしつこく勧誘された」などのトラブルが相次いでいます。

怪しい資産運用セミナーに騙されやすい人の特徴4つ

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前提として、怪しい資産運用セミナーに誰もが騙される可能性がありますが、なかでも特に騙されやすい人には、いくつかの共通点があるようです。

以下の項目でご自身に当てはまるものがないかセルフ・チェックをしてみましょう。

1.短期間でハイリターンを狙う

詐欺師は、「短期間で楽にお金儲けをしたい」という甘い考えを持つ人を狙っています。

このタイプの人は、怪しい資産運用セミナーの話でも、「とにかく儲けたい」という気持ちが勝って、安易に投資をしてしまうからです。

2.冷静な判断ができない

資産運用で成功するためには、冷静な判断力や長期的な視点で投資を考える必要があります。

精神的な余裕がなく、このような思考ができない人は詐欺師の格好のターゲットになります。

冷静な判断とは、感情やその場の思いつきで行動するのではなく、立ち止まって今の自分の考えや行動は本当に正しいのか、リスクはないのかと自分を振り返り分析できる考え方のことをいいます。

自分を振り返ることが苦手な人や、分析が苦手な人は、信頼できる投資上級者に相談したうえで投資をするのが賢明といえるでしょう。

3.直感で判断をくだす

怪しい資産運用セミナーに騙されてしまう人は、直感で判断を下す傾向があります。

「なんとなく信用できそう」「なんとなく可能性を感じる」など、資産運用のリテラシーが低いにもかかわらず、感覚で判断し契約してしまいます。

そして後悔するというのが典型的なパターンです。

4.情報の裏を取らない

怪しい資産運用セミナーで紹介された主催者の経歴や実績、運用成果などは、インターネットで適切なリサーチをおこなえば「虚偽であること」が見抜けることもあります。

このリサーチの手間を怠る人は、詐欺師のターゲットになりやすいといえます。

たとえば、インターネットで「セミナー名orセミナーの主催者名 評判」「セミナー名orセミナーの主催者名 詐欺」といったキーワードで検索してみましょう。

ネガティブな意見が多い場合や一切情報が出てこない場合は、怪しいと思ってください。

怪しい資産運用セミナーに騙されないためのポイント3つ

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怪しい資産運用セミナーに勧誘されて参加し、投資詐欺に騙される被害が後を絶ちません。

詐欺師の巧妙な手口に引っかからないためには、以下の3つのポイントが特に重要です。

1.おいしい投資商品はないことを意識する

怪しい資産運用セミナーでは、「元本保証があるのでリスクがない」「絶対に儲かる」「あなただけの特別な情報」などの巧みな言葉で、ターゲットを誘い込もうとします。

これらのトークは、「リスクなしで楽に儲けたい」と考えている人に特に効果を発揮します。

投資で成果を上げるには、知識と時間が必要です。

また、いくらリスクを回避しようとしても元本割れの可能性は必ずあります

この現実をしっかり認識し、「おいしい資産運用はない」ということを強く意識すれば、詐欺師に騙される可能性が軽減されます。

2.内容を理解した資産運用にしか手を出さない

資産運用は、商品の仕組みを完全に理解したうえで、合理的な判断に基づいてお金を投資するものです。

そのため、「理解できない商品には、お金を絶対に投資してはいけない」というのが原則です。

世の中には数多くの投資商品が存在します。

それにもかかわらず、わざわざ理解できない投資商品にお金を出す必要はありません。

仕組みを理解した投資商品を比較し、ご自身の目的に合った投資商品を選ぶことが重要です。

3.即断即決で契約しない

詐欺師が主催する怪しい資産運用セミナーでは、高額商品をその場で契約するよう迫ってくることが多いです。

だからといって、相手の威圧感やしつこさに負けて、その場で契約することだけは絶対に避けましょう。

「クーリング・オフを使えば後で解約できる」と考えて契約する人もいるかもしれません。

しかし、詐欺師はそれをあらかじめ見越して、契約を取り消せない(または取り消しにくい)仕掛けにしている可能性もあります。

信頼できる資産運用セミナーの見分け方のコツ

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資産運用セミナーは、効率的に投資を学べる手段の一つです。

詐欺師に騙されることを警戒しすぎて、セミナーに参加しないのは機会損失になります。

ここでは、信頼できる資産運用セミナーを見分け方について解説します。

1.公的機関や金融機関が主催する資産運用セミナーを選ぶ

公的機関が主催する資産運用セミナーは、純粋な情報提供を目的としているため、最も安全性が高いといえるでしょう。

セミナー参加後も、営業を目的とした連絡を受けることはありません。

また、金融機関が主催する資産運用セミナーも安心感があります。

営業を目的としていることもありますが、投資商品の強引な販売や、嘘の情報を伝えられるリスクは低いです。

2.信頼性のある企業の資産運用セミナーを選ぶ

一般的な資産運用セミナーでは、参加者の個人情報が主催者に登録されます。

登録された情報は、個人情報保護法に基づき適切に管理されることが前提ですが、情報流出や目的外利用のリスクも存在します。

これを踏まえると、リスクが限定的なのは、情報管理体制が整備され、コンプライアンス意識の強い上場企業や大手企業が主催する資産運用セミナーであると考えられます。

3.資産運用セミナーの主催(宰)者の情報を調べる

資産運用セミナーで紹介される投資商品が金融商品であれば、金融庁の「金融商品取引業者」などとしての免許・許可・登録が必要です。

また、不動産であれば「宅地建物取引業者」としての免許が必須です。

これらをおこなわずに投資商品を扱っている業者は、詐欺師の可能性が高いです。

下記のサイトから金融商品取引業者や宅地建物取引業者を検索できます。

「怪しい」と思った場合は照会することをおすすめします。

金融庁 公式サイト:免許・許可・登録等などを受けている業者一覧
国土交通省 公式サイト:宅地建物取引業者 検索

また、金融庁では無登録で金融商品取引業を行っている悪徳業者の名称などをリストにして公表しています。

資産運用セミナーに参加してみて「怪しい」と感じた場合は、下記の金融庁公式サイトで確認することができます。

金融庁公式サイト:無登録で金融商品取引業をおこなう者の名称等について

4.口コミ情報をチェックする

もう1つの見分け方として、過去にセミナーに参加した人のSNS上の口コミ情報をチェックするのも有効です。

その結果、評判が悪い口コミが多い場合や、口コミが見つからない(または数が少ない)場合は警戒するのが賢明です。

注意点として、ネットやSNS上の口コミが自作自演である可能性があることが挙げられます。

その口コミが純粋な評価なのか、自作自演なのかを判別するのは難しい場合もあるため、注意が必要です。

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資産運用セミナーで怪しいと感じたときの対応策

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資産運用セミナーに参加してみて「怪しい」と感じた場合は、以下の対応をおすすめします。

・録音 データや資料などを保管する
・勧誘してきた人と距離を取る
・投資する意思が無いことを伝える など

また、すでに契約した後で「怪しい」と感じた場合は、すみやかにクーリングオフ制度を利用したり、弁護士や専門機関に相談したりすることをおすすめします。

相談機関の例は以下のとおりです。

連絡先 概要や連絡先
地元の消費生活センター
or
独立行政法人 消費者センター
・消費生活全般に関する苦情や問い合わせに対応
・専門の相談員が公正な立場で処理をおこなう
・土日祝日で地元の消費生活センターが休みの場合は以下に連絡
【消費者ホットライン:188(局番なし)】
受付時間:日祝日10:00~16:00の間
法テラス ・国によって設立された身近な法的トラブルの相談にのる機関
・トラブル解決に役立つ情報提供などをおこなう
・無料相談や弁護士費用の立替えなどにも対応(ただし、要件あり
【サポートダイヤル:0570-078374】
受付時間:平日 9:00~21:00 土曜 9:00~17:00
金融サービス利用者相談室 ・金融庁の投資に関する困りごとの相談先
・専門の相談員が投資に関する困りごとの相談にのる
【電話受付:0570-016811】
受付時間:平日10:00~17:00

手口が悪質な場合は警察に相談するのが得策です。

支払ったお金の返金請求については原則として警察の管轄外となります。

返金請求については弁護士に相談しましょう。

まとめ

怪しい資産運用セミナーの見分け方を解説!主な手口や騙されやすい人の特徴
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本記事では、怪しい資産運用のセミナーの見抜き方を解説しました。

信頼できる資産運用セミナーに参加すれば、役立つ情報がえられます。しかし、残念なことに悪質な資産運用セミナーがあることも事実です。

怪しいセミナーに引っかからないよう主催者の信頼性をインターネットなどで確認したうえで、参加するようにしましょう。

本間貴志
本間貴志(著者)
金融・不動産ライター。ビジネス書/実用書制作のプロ集団、アスラン編集スタジオの社員ライターを経て2016年に事務所を設立。これまでに著名人、起業家、エグゼクティブ層など800名以上のインタビュー実績がある。保有資格は、賃貸不動産経営管理士、WEBライティング実務士、SEO検定1級など。

(提供:ACNコラム