外資からの買収提案と「イトーヨーカドー」大量閉鎖のセブン&アイHDの業績予想の進捗率は7.3%と低迷
(画像=「セブツー」より引用)

2025年2月期決算のファッション&アパレル企業26銘柄を対象に、第1四半期(3〜5月期)の進捗率を調べた。進捗率は、第1四半期の最終利益の実績値を通期業績の予想値で割り出しており、当期純利益の計画に対して各四半期ごとにどの程度の進捗かがわかる。

単純に考えると、計画通りであれば第1四半期での進捗率は25%前後になっているはずであり、その差異をベースにランキングをまとめている。進捗率が25%前後であるしまむらや井筒屋は期初計画に対して順調な滑り出しだと言える。26社のうち4社は業績予想を修正しているが、修正前の予想値を採用している。百貨店事業を展開する髙島屋、松屋、近鉄百貨店の3社、大手アパレルのオンワードホールディングスが上方修正している。

ランキングの下位から見ていくと、傘下の総合スーパー「イトーヨーカドー」の構造改革を進めているセブン&アイ・ホールディングスの進捗率は7.3%だった。セブン&アイ・ホールディングスはカナダのコンビニエンスストア大手のアリマンタシォン・クシュタール(Alimentation Couche)から買収提案を受けており、今後の協議の行方に注目が集まっている。

一方、競合のイオンも進捗率は11.1%と低迷している。ただ、構造改革途上のセブン&アイ・ホールディングスと比べて、イオンは新型コロナウイルスの感染拡大時期に不採算事業からの撤退に着手しており、まず英国の化粧品専門店「ザ・ボディショップ(THE BODY SHOP)」を運営していた子会社のイオンフォレストの全株式を売却している。

さらに、タルボットジャパンが運営していた「タルボット(Talbots)」事業を2020年5月末に終了し、アクセサリーブランド「クレアーズ(claire's)」をチェーン展開する米国のクレアーズ社と設立した合併会社クレアーズ日本も2020年10月末に終了している。

一気に「「ザ・ボディショップ」「タルボット」「クレアーズ」から撤退したイオンの2024年2月期決算は、売上高、営業利益、経常利益が過去最高を更新しており、期初予想通りの進捗率であれば今期もさらに過去最高を更新する。

一方、進捗率ランキングがトップだったのは、ラピーヌだった。通期での当期純利益の業績予想を300万円の赤字としていたが、第1四半期で9100万円を計上した。ただし、売上高は5億4500万円(前年同期比25.4%減)、営業利益は1億900万円の赤字で、本業は赤字だ。ラピーヌはコロナ関連の雇用調整助成金などの制度を活用しており、第1四半期に助成金収入として2億800万円を営業外収益として計上、そのため最終利益は黒字となっている。

ランキング第2位は、進捗率100.6%でタカキューだった。タカキューの第1四半期決算は、売上高は26億5500万円(前年同期比9.6%減)、営業利益は2億100万円(同44.3%増)、四半期純利益は前年同期の約12倍となる17億1000万円で、最終利益は期初予想をすでにこの第1四半期で達成している。

タカキューは2022年2月期の通期連結決算で8億7600万円の債務超過に陥っていたが、黒字確保の見通しが立ちにくい店舗を撤退し、役員報酬を含む人件費の抑制や交渉による家賃の減額など、費用の見直しと削減を行ってきた。今年3月にはタカキューの金融債権を保有する取引金融機関から約15億円の債権放棄があり、第1四半期決算で特別利益として債務免除益14億9900万円を計上している。

第3位は、「シュープラザ」「東京靴流通センター」「靴のチヨダ」などを日本全国で展開する靴大手小売企業のチヨダだった。進捗率は95.3%。チヨダは2024年2月期に最終赤字から脱却したが、最終利益の今期予想は前年比24.4%減となる14億円としていた。主力の靴事業の売上高は223億6300万円(前年同期比5.6%増)、営業利益は17億1100万円(同9.2%増)と計画を上回り、進捗率が好調だった。