2024年7月、「フルクラウドで実現する基幹システム構築のノウハウ」と題し、ウェビナーが開催されました。ウェビナーでは、帳票や文書管理ツールを提供しているウイングアーク1st株式会社、ワークフローシステムを取り扱う株式会社エイトレッド、企業のDX支援などを手掛ける株式会社コアコンセプト・テクノロジーの3社からそれぞれ担当者が登壇し、セッションを行いました。
クラウドを活用したシステム構築にはどのような利点があるのか、より大きな効果を得るために必要なポイントとは何か、セッションの内容をレポートします。
Business Document事業部 BD事業戦略部 デジタル帳票活用デザインG 法対応 チーム
兼 BDプリセールス部 文書情報管理士前職まではシステムエンジニアとして、基幹システム、コールセンターシステムなどの構築を担当し、2017年に入社。電子帳簿保存法対応や文書管理を支援するBD事業戦略部デジタル帳票活用デザインGに所属し、プリセールス部(帳票系)を兼務。文書情報管理士、記録情報管理士、知的財産管理技能士を取得
Business Document事業部 BD事業戦略部 デジタル帳票活用デザインG デジタル帳票 チーム
大学卒業後、メーカーの情報システム部門にて基幹システムの開発を担当。その後SIerにて製造業を中心とした様々な業種のシステム開発にプロジェクトマネージャーとして参画。
現在は、電子帳簿保存法をはじめとする帳票や文書管理の課題解決を支援。
マーケティング部マーケティングアライアンスグループ長
新卒でリユースの上場企業へ入社。店舗運営、FC支援、営業企画部長などを歴任。2社目に異業種のハウスメーカへ転職。オン/オフラインのプロモーション全般を推進、集客企画を担当。2021年にエイトレッドへ。マーケティング責任者。
社長室 マネージャー
国家公務員、SAPコンサルタント(財務会計)、上場企業のシステム部員と経理マネージャー、中小企業の システム部長など、様々な経験を経てCCTへ入社。
CCTにてSAP S/4HANA Cloud, Public Edition、X-point cloud、InvoiceAgentなどの各領域トップシェアのSaasを用いたクラウド基幹システムを導入。 以後、その導入・運用ノウハウを生かしたSaas導入サービスを展開中。
情報システム部門のよくある課題と解決に必要な取り組みとは?
ウイングアーク1st株式会社 敦賀 武志氏、渡部 真理子氏
最初のセッションは、ウイングアーク1st株式会社、Business Document事業部BD事業戦略部 敦賀 武志氏、渡部 真理子氏のお二人による、「情報システム部門のよくある課題と解決に必要な取り組みとは?」です。一部を抜粋して紹介します。
敦賀氏 ウイングアーク1st株式会社は、ソフトウェアとサービスを通じて、企業のデータ活用を支援している会社です。帳票文書管理ツールやデータ統合・管理ツールなどを主に取り扱っています。
今回は、「情報システム部門の課題と解決策」について、情報システム部門の実務と関心事が乖離している課題について、そしてその解決方法についてご紹介します。
まず、情報システム部門の方たちが対応する業務内容、やるべき実務について考えてみたいと思います。次期システムの検討、セキュリティリスク管理、ITインフラの管理、バージョンアップやシステムのメンテナンス、それから法規則対応やコスト管理削減、DX戦略や分析……たくさんのものがありますが、恐らくあらゆる企業のシステム担当者にとって、ほぼ全てがやらなければならない実務なのではないかなと思います。
このたくさんの業務のボリュームのなかで、何に時間を割いているのかを順に見ていくと、1位はシステムの運用保守で40%。そして、問い合わせや障害対応が31%、次いで新システムの導入や改定プロジェクトが19%となっています。上位の2つは、どちらかというと保守業務に該当し、その下が現状を打破するような業務になるかと思います。
一方で、情報システム部門の担当者が何に関心を持っているのかを見ると、最多はコア業務の転換、専念です。次いでセキュリティ関連項目、IT人材不足と続きます。実際に時間を割いている業務と関心があること、この二つの結果を比べてみると、実務と関心事が乖離していると言えるのではないでしょうか。
データのサイロ化、レガシー化をどう打破するか
それでは、一体なぜ、このような乖離が生まれているのでしょうか。まず現状を見てみたいと思います。
システムの運用保守や、現場からの問い合わせ、渉外やセキュリティ対応など、IT関連費用の80%は現行ビジネスの維持運用に割り当てられていると言われています。経済産業省が出しているデジタルトランスフォーメーションレポートによると、事業部ごとの最適化を優先したことによって、全体最適に向けたデータの利活用が困難になっていることが理由として挙げられています。システムが複雑化している上に、データ利活用連携が限定的になっているとレポートでは報告されているんですね。システムとデータのサイロ化、レガシー化によって、企業全体の情報管理が困難になっている。イコール、運用保守の負担が増加し、効果も限定的になっているとされています。
こうした状況に対して、どのような対応が必要になってくるのでしょうか。それは、システムとデータのサイロ化、そしてレガシー化を打破することです。これを打破することによって、維持業務に追われる経営から、データドリブン経営にシフトし、新たな価値提供の実現ができるようになる、そう考えています。
具体的な対応の1つ目は、レガシー化による技術面の老朽化、ブラックボックスを解消することです。できる限り全員がわかる技術を使って見えないところをなくすことにより、作業の平準化を図ることができるようになります。
そして二つ目は、サイロ化による分散化、肥大化、複雑化を打破することです。データ連携が容易なシステムを使うことで、効率的なシステムデータの集約化と業務の標準化を実現できます。維持業務を軽減できるクラウドへシフトしていくことも重要です。サーバーの保守運用だけでも大きな負担になることを皆さん実感されているのではないでしょうか。クラウドへシフトすることによって、そうした業務をクラウドベンダーに任せるのも一つの手法です。
情報システム部門の課題を解決する、SVFとinvoiceAgent
渡部氏 ここからは、わたくし渡部から、情報システム部門の課題に対する具体的な解決ツールとして、弊社製品の帳票基盤ソリューション「SVF」と電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent」をご紹介いたします。
先ほど触れた、システムのサイロ化の課題解決について、例えば、それまで異なるシステムを使っていたグループ会社のA社、B社のシステムをグループ統合するケースを考えてみます。今までは各システムごとに個別に帳票出力していたものを、弊社のサービスであるSVFに集約することで、既存の資産も流用しつつ帳票基盤の柔軟な運用が実現できるようになります。
SVFは、請求書、納品書、発送伝票や、公的機関が発行する各種証明書などの帳票類の設計、出力をオールインワンソリューションで実現できる総合帳票基盤です。
大きく帳票設計部分と帳票生成部分に分かれていて、このうち帳票生成部分はお客様の環境にインストールするオンプレミスのタイプと、クラウド環境で提供するタイプの二つがあり、いずれの場合でもPDFで出力した帳票の保管活用に、同じく当社サービスのinvoiceAgentを活用いただくことができます。
続いて帳票設計部分のご紹介です。
SVFの帳票設計機能であるSVFX-Designerを使うと、簡単に帳票を作成することができます。1から作成することももちろんできますし、システム移行等ですでにご利用の帳票がある場合には、帳票をPDFファイルやスキャンした画像ファイルにしていただくと、OCRの機能を用いて取り込むことが可能です。また、バーコードや画像、表やチャートなども簡単に出力できるので、機能を組み合わせることで、開発と運用保守の工数を大幅に削減することができます。
次に、文書管理ツールであるinvoiceAgentのご紹介です。仕入れ先からの電子ファイルの受信、取引先への配信、保管をワンプラットフォームで一括管理できるinvoiceAgentには、効率的な業務を可能にする三つの特徴があります。一つ目は、ブラウザやワークフロー、RAPなど豊富な接続手段を持っているということ。二つ目に、Web配信や郵送など、用途に応じて送受信できること。そして三つ目に、電子帳簿保存法(以下電帳法)に対応していることです。invoiceAgentはJIIMA認証(市販されているソフトウェアやソフトウェアサービスが電帳法の要件を満たしているかをチェックし、法的要件を満たしているかを判断するもの)を取得しており、電帳法に準拠して保存することが可能です。
そのほかにも、さまざまな利点があります。invoiceAgentを使うと、現場の業務やシステムの運用を大きく変えずに電子ファイルの受配信をすることができます。例えば、出力する基幹システムの改修は不要ですし、帳票の種類も問わず、電子ファイル配信を帳票ごとに複数行う必要もありません。そして、閲覧権限を設定できるため、不正利用や情報漏えいを防止し、セキュリティの高い状態で電子ファイル管理を実現できます。
こうしたデジタル帳票基盤を整備することで、業務負荷とコストの削減が可能となります。例えば、帳票資産の蓄積、リソースの集約・標準化、郵送からWeb配信への移行といったアクションを取ることで、業務移行や維持の負荷を軽減し、無駄なコストを失くす効果が期待できるでしょう。
「情報システム部門の課題と解決策」について、当社のサービスとともに紹介いたしました。
攻めのバックオフィスに必要なワークフローシステムのススメ
株式会社エイトレッド マーケティング 黒田 純平氏
続いて、株式会社エイトレッド マーケティング責任者の黒田 純平氏より、「攻めのバックオフィスに必要なワークフローシステムのススメ」をテーマにセッションが行われました。一部を抜粋して紹介します。
黒田氏 私からは、「攻めのバックオフィスに必要なワークフローシステムのススメ」と題し、お話をさせていただきます。
株式会社エイトレッドは、2007年に設立した、ワークフローシステム専門のメーカーです。当社の製品は、企業の大小、業種業界問わず4,500社以上の企業様にご愛用いただいています。
まず、今なぜ、攻めのバックオフィスが求められているのかからお話したいと思います。これについて、皆さんに詳しい説明は不要でしょう。人材不足をはじめ、さまざまな課題とともに目まぐるしく変化するビジネス環境に対応するには、バックオフィスも変化していかなければいけないというのはご認識のとおりです。
攻めのバックオフィスへと変化するためには、メンバーの意識も大事になってきます。しかし、総務担当者向けの専門誌「月刊総務」の調査によると、「あなたの会社の中で総務は他部署からどのように見られていると思いますか」という問いに対しては、なんでも屋、雑用係、裏方など、少しネガティブな回答、自己評価が上位を占めています。攻めのバックオフィスになるためには、この視点や考え方を少し変えてみる、そして行動を変えてみることが必要ではないでしょうか。
例えばなんでも屋ではなく、何でもできる、何でもできる屋という存在に変わったり、業務を請け負うだけではなく依頼もしたり、さらにはサポートだけではなく経営に対してアイデアやアドバイスを提供していったり、考え方を変えることで、プラスアルファの価値を提案し、そして全社の業務改善につなげていくことが可能です。企業の成長には、攻めのバックオフィスの存在が不可欠なのです。
「攻めのバックオフィス」になるためには、何が必要か
では、攻めのバックオフィスになるためには、何から始めればいいのでしょうか。当社の調査によると、バックオフィス担当者の業務負担が大きいものとして挙げられているのは、データの入力・集計・照会、各種社内の書類の作成・管理、書類の承認申請業務など、書類業務にまつわるものが多くなっています。
攻めのバックオフィスになるためには、まず書類業務における無駄な時間を削減し、意思決定を迅速化することが重要です。無駄な時間というのは、待ち時間や書類の不備、差し戻しなどが挙げられるでしょう。そして、意思決定については、単純にスピードアップするのではなく、データを基にした意思決定が重要です。
この無駄な時間の削減やデータに基づき意思決定を迅速化させるために、すでにさまざまなシステムを活用して取り組んでいる会社も多いと思います。しかし、同じく当社の調査によると、「業務にあたって転記作業が生じるなどシステム間のデータ連携に不足を感じたり、業務の負担が軽減されていないと感じることがありますか」という問いに対して、とてもある、ややあるという回答が合わせて8割以上となりました。システム化を進めてはいるものの、業務負担が軽減されていない、あまり便利になっていないと多くの方が感じていることが伺えます。
そして、システム化が業務改善につながっていない理由としては、システム連携ができておらずデータの二重入力が発生している、業務が属人化している、業務自動化につながっていないといったことが挙げられています。また、業務プロセスが複雑になっている、システムの乱立によって管理が負担になっているといった声もありました。
こうした問題を解消するためには、どうすれば良いのでしょうか。ここで必要となるのが、ワークフローシステムの見直しです。これは、弊社がワークフローシステムベンダーだからという理由だけではありません。ワークフローというのはその名の通り業務の流れのことで、ここでは書類の申請から決裁までの書類業務の流れのことを指しています。このワークフローには、稟議や契約に関わるものなど、会社にとって重要な意思決定に関わる業務が多く含まれています。そしてワークフローは、部署や役職に関係なく全社員に発生する業務でもあります。そのため、ワークフローシステムを見直すということは、全社員の業務を見直すことであり、効果の範囲が非常に大きい重要なポイントなのです。
ワークフロー見直しで軽減するバックオフィスの負担
ワークフローを見直すことで、どのように業務負担が解消されるのでしょうか。先程の負担が多い業務として挙げられていた上位3つに対して、当社製品の機能でご説明いたします。
まず1つ目のデータ入力や集計などについては、弊社のワークフローを使うことでデータベースからさまざまな数値を自動で反映させることが可能です。また、自動作成機能がありますので、同じ情報や数字を何度も入力する必要がなく、提出忘れといったリスクや手入力の手間も防ぐことができます。データは任意で設定した項目による集計、エクスポートに柔軟に対応していて、外部システム連携を活用すれば、さらにデータ活用の効率が上がります。
次に書類の作成についてです。当社のワークフローでは使っている書類をそのままの見た目で電子化することができ、また、過去に申請した書類をコピーして再利用することも可能です。書類の管理についても、閲覧権限を書類ごと・任意の承認ステップごとに設定できるので、面倒な書類の回覧や保管管理などをする必要もありません。
管理においては、書類の種類や件名、金額、申請者など細かな条件で検索や集計ができますので、例えば監査や決算時の対応はもちろんのこと、データ活用にも絶大な効果を発揮します。
最後に、弊社のワークフローシステムはノーコードで管理運用ができますので、トラブルや急な依頼にも自社で対応が可能です。
ワークフローシステムは、申請書類をただ電子化するツールではありません。全社の業務の流れを整え、社内データのプラットフォームとして意思決定の迅速化を実現し、そして経営を支える重要なシステムです。こういった全社レベルの視点でシステム導入の最適化や業務改善を考えることは、攻めのバックオフィスでなければできません。基本のワークフロー機能に加えて、システムやデータの連携も重視し、ぜひ見直しを進めてみていただければと思います。
フルクラウドで実現する基幹システム構築のノウハウ
コアコンセプト・テクノロジー株式会社 井草岳仁氏
最後に、コアコンセプト・テクノロジー株式会社、社長室マネージャーの井草岳仁氏より、
「フルクラウドで実現する基幹システム構築のノウハウ」と題してセッションが行われました。一部を抜粋してお伝えします。
井草氏 株式会社コアコンセプト・テクノロジーは、企業のDX支援とIT人材の調達支援、この2つを主な事業としています。場所は池袋にあり、略称としてアルファベットの頭文字3文字をとって「CCT」と呼んでいただいています。創業は2009年、お陰様で15期連続で増収し、2021年9月には上場もしています。
今回は、私の経験を踏まえ、当社で構築したクラウド基幹システムの概要と導入のポイントについてお話しさせていただきたいと思います。
弊社が導入したクラウド基幹システムは、それぞれの領域でSaaSを組み合わせてデータを連携し、全体として有機的に運用するシステムになっています。特徴を簡単に言うと、各業務領域のトップシェアのSaaSの良いところ、強さを融合したシステムであると言えるでしょう。SaaSのメリットはいろいろとありますが、それを最大限に享受できる形で基幹システムを構築しています。
クラウドの基幹システム構築、ポイントは4つ
このクラウドの基幹システム構築にあたって、4つ項目に沿ってご説明したいと思います。
まず1点目に、なぜSaaSで基幹システムを構築したのか。これは、サービスが持つさまざまなメリットに着目したことが理由です。具体的なメリットとしては、まず運用面が挙げられます。SaaSを使うことによって、サーバーなどインフラ面の運用に要する手間がなくなります。やはり、どの会社でも情報システム部門の担当者は忙しいため、この運用工数を軽減することで、より重要な領域に工数を割くことができるようになります。
また、機能の面でもメリットがあります。市場で広く利用されているSaaSには多くの優れた機能があり、さらに継続的に改善されています。それらの機能を自分達で要件定義や開発をせずに利用できるというのは非常に大きなメリットです。加えて、自社で開発しないことによる予算面のメリット、そしてあらかじめ導入ツールやマニュアルが整備されていることによるスケジュール面でのメリットもあります。こういった点を考慮して、SaaSを用いたクラウド基幹システムを構築しようと考えた次第です。
二点目に、数多くあるSaaSの中から、どのような観点で選択したのか、製品を絞り込んでいった観点についてお話ししたいと思います。
選定でまず重視したのは、各業務領域で市場シェアの高いSaaSかどうか、という観点です。デファクト・スタンダードを考えると、やはり市場の評価を得ている、市場シェアが高いものは、機能面でも優れた点が多く間違いがないだろうといった発想で、シェアの高いところから選定を始めました。
さらに最終的に決定するにあたり、もう1つ重視した点があります。それは、自社の業務と、それぞれのSaaSが持つ特性、性質が合っているかという点です。お伝えした通り当社の事業の柱は、お客様のDX支援とIT人材調達支援の2つです。加えてもう一つ、それを支える経理や法律対応などの管理業務があります。
それぞれの業務の性質を考えた場合、DX支援やIT人材調達支援に関しては、他社とは異なる自社独自の特徴を持つ強みの事業であり、成長を支える柱となるものです。この領域は、今後もさらに強みを活かし成長させていく必要があります。
一方で、管理業務に関しては、ほかとの差異があまりない領域です。細かく見れば質が違うものもあるかもしれませんが、一般的には会計領域などに関しては、それほど企業としての特色はないと考えています。
こうした点を考慮し、適用するSaaSを選ぶにあたって、主たる事業に関わるものは、強みを活かすために多少のカスタマイズや例外的な開発を入れることができるSaaSを選択しました。一方で、管理業務に関わるものは、すでに優れた機能を持っているものを選びフィットtoスタンダードでいく、こうした観点で、最終的に導入する製品を選択しました。
強みを活かす柔軟性、万人が使えるUIとUX…SaaS採用のポイント
三つ目に、採用したSaaSとその理由についてご紹介したいと思います。
まず、主要な事業の根幹に関わる部分のSaaSには、X-point Cloudを採用しました。なぜこちらを選んだかを一言で言うと、CCTの強みを実現できるSaaSだから、というのが理由です。どのような観点で強みを実現できるのかというと、まず、設定の柔軟性が挙げられます。先ほどお話したように、当社の強みを活かすために、主たる事業に関しては標準機能のフィットtoスタンダードだけではなく、多少のカスタマイズ、開発して手を入れる余地が必要だと考えていました。
そういった観点でいろいろな製品を評価したところ、X-point Cloudは標準機能の範囲でいろいろと設定ができる上に、プログラム開発で例外的な処理を組み込むこともできるという特徴がありました。
さらに、設定の柔軟性とは相反する観点ですが、実際に導入するにあたっては、ガバナンスをきちんと保つ必要がありました。特に当社の事業に関わるところは、ガバナンスと効率性を両立するために、多様なワークフローのパターンがあるのですが、このX-point Cloudはいろいろなパターンに対応できる非常に充実した機能を持っていました。
もう一点、UI、UXの観点でも利点がありました。非常に入力画面の表現力が優れていて、紙のイメージをそのまま画面に落とすことができるので、紙の業務に慣れたユーザーでも親しみを持って使うことが可能です。これが、X-point Cloudを採用した具体的な理由です。
次に、当社の電帳法対応の肝の部分には、invoceAgentを採用しました。こちらを選んだ理由についても、合わせてご紹介いたします。
選んだ理由の1つは、コンプライアンス上求められる電帳法に対応しているか、という点です。invoceAgentはこの対応機能を最初から備えており、加えてウイングアーク1st様自身も電帳法関連の資料を非常に多く公開しています。何か分からないことがあると、ホームページを拝見して関連する資料を参考にするなど、法律対応という点で信頼感を持っていたことから、安心して使えるシステムとしてこちらを選びました。自分のところで開発する場合、本当に法律対応は大丈夫なのか、専門家に評価してもらう必要があるのでは、などいろいろと頭を使わないとならない箇所が出てきます。invoceAgentを導入すれば、そういった手間をかけることなく安心してシステムを使うことができると考えています。
それから、多くのシステムを連携できるという点も選んだ理由です。当社は非常に多くのシステムを使っていて、導入するSaaSはそれらと連携できるものでなければなりません。この点で、invoceAgentは標準で他のシステムと連携するためのAPIを備えており、さらにコネクターとしてつなげることも可能でした。この、他のシステムとの組み合わせで柔軟性が高いという点も、採用にあたって評価したことの一つです。
そして、フォルダーの振り分け機能も評価した点です。帳票を格納する時に、取引先別、ドキュメントの種別など、業務や目的に応じた適切な振り分け方法で格納する必要があります。これができていないと、検索性が悪くなったり、何か探す時に探せなかったり、いろいろな不具合が出てきますが、invoceAgentはこのフォルダの振り分け機能が非常に優れていると感じました。
フォルダー名だけではなく、例えば取引先の名前やコードなどドキュメントの中の特定の文言を読み取って振り分けたり、プロパティに何かキーを仕込んだり、いろいろな方法が使えるため、効率的な業務の実現に大きく役立っています。
最後に、システム構築の効果についてお話したいと思います。まず、システムを入れたことで、業務負荷の軽減、業務の精度の向上という効果が得られました。処理や連携の自動化、UI、UXの改善などが、こうした効果をもたらしたと考えています。それから、SaaSを入れたことで、当然ながらシステム運用の負荷も軽減しました。さらに、データ活用の意識向上という効果もあると感じています。例えば、これまでレポート系はExcelと手作業で作っていたのですが、それらがある程度システムで自動で見られるようになり、そうすると、これが見えるようになったのなら、これも自動化してほしい、このデータも見てみたいなど、いろいろな意見が出てきたんです。一つのことができるようになったことで、データ活用の意識が上がってきたと感じています。
これらの効果は、システム入れ替えの際にはどこでも目的とする内容であり、ある程度見込める効果だろうと思います。しかし、このクラウド基幹システムの特徴、効果は、これを短期間かつ非常にコストパフォーマンスの高い状態で実現できるという点です。かつてのオンプレのような形でシステム開発するよりも、クラウド基幹システムによる構築がこの点で優れていると言えるのではないでしょうか。
まとめ
クラウドによる基幹システム構築で、どのような効果が得られるのか、また、どのようなポイントで導入システムを見極めるべきか。バックオフィスの現状と課題を踏まえつつ、具体的な解決策が照会され、視聴者からも多くの関心が寄せられる実りあるウェビナーとなりました。無駄な工数削減や業務負荷の軽減を目指す企業にとって、要点を抑えた上でクラウドを活用しシステム構築することは、一つの有効な解決手段と言えるのではないでしょうか。
【関連リンク】
ウイングアーク1st株式会社 https://www.wingarc.com/
株式会社エイトレッド https://www.atled.jp/
株式会社コアコンセプト・テクノロジー https://www.cct-inc.co.jp/
(提供:Koto Online)