米国の投資ファンドであるフォートレス・インベストメント・グループ(以下、フォートレス)は、福島県の「スパリゾートハワイアンズ」を運営する常磐興産を買収する。東証スタンダードに上場する常磐興産に対して、フォートレスは2回に分けてTOB(株式公開買付)を実施し、1回目の買い付け価格は1株1650円で、約140億円を投じて非公開化を目指すとしている。
フォートレスは、2021年にゴルフ場最大手で、PGA TOURトーナメント「ゾゾ チャンピオンシップ(ZOZO CHAMPIONSHIP)」も開催されるアコーディア・ゴルフを約4000億円で買収し、さらに2023年にはセブン&アイホールディングスからそごう・西武の全株式を約2200億円で取得している。熱海市の老舗ホテルである「ホテルニューアカオ(Hotel New Akao)」も現在はフォートレスの系列企業であるマイステイズ・ホテル・マネジメントが引き継ぎ、運営している。
「スパリゾートハワイアンズ」は、1966年に「常磐ハワイアンセンター」の名称で開業し、温水プールや温泉、ホテル、ゴルフ場からなる大型のレジャー施設。開業当時からハワイをイメージしており、フラダンスのポリネシアンショーは全国的にも知られている。2006年には松雪泰子や蒼井優らが出演した『フラガール』の舞台として映画化もされた。
常磐興産の2024年3月期決算は、売上高は148億8100万円(前年比10.8%増)、営業利益は12億2300万円(同113.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9億3400万円(同44.7%増)と増収増益だった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2022年3月期までは4期連続で最終赤字だったが、来館者数や宿泊客数は持ち直しており、2025年3月期通期の連結業績予想は上方修正している。