総括
FX「一時、月間最強となるも、個人消費減少で伸び悩む」メキシコペソ見通し
予想レンジ 7.1-7.6
(ポイント)
*司法改革案が成立した後はペソ高株高、司法改革案の是非の議論は続く
*日足、週足、月足のボリバン2σ下限で底打てるか
*ただ2Q個人消費減少で伸び悩む
*9月26日に政策金利決定 利下げか、利下げ幅は
*ペソを弱くする7つの要因は
*ニアショアリングは続いている
*市場は司法改革をネガティブなものと捉えているが、政府の対応はこれから
*メキシコ、司法改革をめぐる論争で米国、カナダ大使館との関係を凍結
*中銀、成長見通し引き下げ
*トランプ大統領なら経済摩擦拡大か
*円買い介入にテスラショックも続落要因
*2026年USMCA改定への議論開始、米国大統領選挙でも言及されよう
*メキシコの格付けはジャンク債の手前
(司法改革案が成立した後はペソ高、株高)
司法改革案が成立した。メキシコペソは先週は久々に最強通貨となった。5日線も上向いた。6月2日の大統領選挙で大勝後は下落が続いたが、司法改革案成立で材料出尽くし感からか、テクニカルでも日足、週足、月足のボリバン2σ下限まで到達していたから自律反発か。 株価(ボルサ指数)は昨日は0.51%高、年初来では7.81%安、10年国債利回りは9.48%。
(2Q個人消費減少)
ここ2日はペソ円が伸び悩んだ。2Qの個人消費の伸び悩みもある。前期比で0.6%減少、1Qは1.8%増であった。予想の1.4%増から悪化した。前年比では2.7%増、1Qは3.3%増であった。
(9月政策金利は0.25%引き下げか FRBは0.5%利下げ)
8月の消費者物価上昇率は前年同月比で4.99%。2カ月ぶりに5%を割り込んだ。コアは4.0%。中銀は8月、インフレ再過熱の懸念が高まる環境下で利下げに踏み切った。今後はシティバナメックス、ゴールドマン・サックスが、9月、11月、12月に0.25%の利下げを予想、年末までに金利が10.00%に低下すると予想している。ただ今週のFRBの0.5%利下げをどれくらい考慮するか
(ムーディーズ=司法改革はソブリン信用格付けに重大な影響を与える)
ムーディーズは、司法改革がメキシコの格付けに及ぼす潜在的な影響についての分析を発表した。こうした変化が制度構造や経済要因に影響を及ぼす可能性があると示唆している。ムーディーズは現在、メキシコをBaa2と格付けし、見通しは安定的としている。この改革は、 USMCA貿易協定との整合性についての議論も引き起こしている。2026年に予定されているUSMCA見直しの際に議論されるテーマになる可能性があると指摘している。
メキシコがこの改革を進めるにつれ、経済学者や政策立案者はその実施と潜在的な経済的影響を継続的に監視するだろう。今後数か月で、この改革がメキシコの経済情勢に実際に及ぼす影響について、より明確な洞察が得られるかもしれない。(私見としては、輸出の80%が米国向けのメキシコが自らその地位を失うような法律の運用をすることはないと思う。
(工業用不動産ブームは減速の兆しを見せていない)
不動産サービス・投資会社CBREの調査によると、メキシコ北部の産業用不動産は今年上半期も上昇傾向を続けた。メキシコ全体では、工業用スペースの商業化が30%以上増加した。CBREは、新たな空き在庫の提供と進行中の建設にもかかわらず、市場は依然として逼迫している。「問題は電力送電だ。開発が行われている場所にはエネルギーがないので、輸送しなければならない。それはCFE(メキシコの国営電力)が行わなければならない非常に大きな投資だ、その点で遅れをとっていると思う」と語った。