深刻な資材・人件費の高騰で「中野サンプラザ」跡地が着工の見通しが立たない状態に
「中野サンプラザ」(画像=「セブツー」より引用)

東京・中野駅前のランドマークとして親しまれ、2023年7月に閉館した「中野サンプラザ」。その「中野サンプラザ」と中野区役所の跡地に建設予定の「NAKANOサンプラザシティ(仮称)」の再開発計画に遅れが発生し、2029年度末の完成が困難になっていることがわかった。

「NAKANOサンプラザシティ」は、2024年に着工する予定で進めていたが、施工者である野村不動産から人件費や資材の高騰などを理由に工事費の増額を求められており、着工自体も見通しが立たない状態に陥っている。

「再開発の停滞・見直し」問題を巡っては、東京・五反田のTOCビル(東京卸売センタービル)も、建築費の高騰などで収益化を見直す必要が生じたことを理由に、予定していた建て替えと解体工事を延期し、現状の建物のままテナントの賃貸と催事事業を再開している。

日本建設業連合会が5月29日に発表した資料によると、2021年以降、世界的な原材料の品薄と高騰の影響によって、建設業で必須である生コンクリートやアルミ地金、板ガラスといった資材の「かつて経験のない価格高騰・納期遅れが発生」しているという。

東京都における建設資材の価格は、2021年1月と2024年4月を比較すると約30%も上昇している。さらに、鉄筋工や溶接工、交通誘導警備員などの人件費は全国平均で約16%上昇している。つまり、2021年当時の契約金額相当額からコストが20%から25%増加していると見られ、建設業界を圧迫している。

大林組や鹿島建設、清水建設などが会員に名を連ねる日本建設業連合会は、「かつて経験のない価格高騰・納期遅れの発生」というメッセージを発信しており、港区や渋谷区、中央区などで計画されている大規模な再開発への影響が懸念される。