総括
FX「トリプル高とトリプル3の南アランド」南アランド見通し
「通貨首位、株価9位」
「予想レンジ 南アランド円8.0-8.5」
(ポイント)
*トリプル高(選挙後、ランド、株、債券が買われる)
*トリプル3(週間、月間、年間で首位)
*資源高もランドを支える
*南アの明るいムードは連立政権の発足から
*南ア中銀は策金利を引き下げ
*8月の消費者物価は低下
*連立政権崩壊は当面、避けられるようだ
*マスク氏のスターリンクサービスを開始か
*格付けを「BB-」に据え置き、見通しは「安定」
*2Q・GDPはプラ転も期待を下回る
*8月製造業PMIは悪化
*貿易黒字は6か月連続の黒字
*債券市場に海外資金が流入
*アゴア法適用継続で南アの対米輸出への恩恵続くが、ガザ問題で関係悪化も
(円高ブームでも、週間、月間、年間で首位堅持。株価上昇、金利低下)
南アランドは年間首位を維持。円との差も前週の7.66%から7.926%に拡げた。株価指数は年初来13.9%高、10年国債利回りは8.8%。このところの金、銀、白金、パラジウムなどの南ア産出の資源価格が米金利低下観測もあり上昇していることも南アランドを支えている。
(明るい南ア)
南アで新しい連立政権が発足したことで、失われた15年を経てアフリカ最大の経済大国がようやく立ち直りつつあるとの期待が高まっている。
7月初めの連立政権合意後、アルセロール・ミタルは8万人の雇用を支える2つの製鉄所を閉鎖する決定を撤回した。カタール航空は南アの航空会社SAエアリンクの株式を取得した。わずか3年前に撤退する可能性があると表明したトヨタ自動車は7000万ドルを投資し自動車部品工場を開設、アングロ・アメリカンは6億2500万ドルの鉄鉱石鉱山への投資を発表した。
(GNU発足以降、トリプル高)
2008 年の金融危機以来、蔓延する汚職、不安定な立法、企業と国家の敵対関係が投資家の足を引っ張り、5月の選挙では、1994年の白人支配の終焉以来初めてアフリカ民族会議が過半数議席を失う一因となった。過去10年間の経済成長は平均1%未満で、人口増加がそれを上回っている。
新政権では、長年続いた深刻な停電の終結、また電力、貨物鉄道、港湾への民間参入を認める決定は、アフリカで最も工業化された経済の成長を再燃させるチャンスと見られている。
市場は好意的に反応している。ランドは政府発足以来上昇し、株価指数は過去最高値を更新し、国債は世界最高の利回りを提供し、米国債の代わりに南ア国債を保有することを求める投資家のプレミアムは9月初旬に5年ぶりの低水準に落ち込んでいる。