総括
FX「世銀も成長見通し引き下げ、ペソは月間最強も今週は伸び悩む」メキシコペソ見通し
予想レンジ 7.4-7.9
(ポイント)
*ペソは月間最強も今週は伸び悩む
*9月消費者物価は2か月連続で低下
*中銀、OECDに続き、世銀も成長見通し引き下げ
*トランプ前大統領=メキシコからの輸入車に200%もの関税を課す
*自動車生産は好調
*郷里送金も好調
*最低賃金の引き上げを狙う(現在日給248.93ペソ=約1900円)
*2つの不確実性(司法改革と米大統領選)がある
*ニアショアリングのチャンス拡大を逃すなと言いたい
*インフレ鈍化で2カ月連続で政策金利引き下げ
*天敵はトランプ氏
*2026年USMCA改定への議論開始、米国大統領選挙でも言及されよう
*メキシコの格付けはジャンク債の手前
(ペソは月間最強も今週は伸び悩む)
シェインバウム大統領誕生後はペソ円は7.226から7.781へ上昇した。対ドルでもペソが上昇しているので質のいい推移だ。新政権は好スタートを切った。ただ今週は伸び悩み。
まだ不確実性(司法改革の実務への影響、米大統領選挙、遠くはUSMCA見直し)などは残るが、まずは罫線が少し立ち直ってきた。
ただ株価(ボルサ指数)は弱く、年初来8.7%安で世界最弱。10年国債利回りは10.056%。
(9月消費者物価は2か月連続で低下)
9月の消費者物価指数は前年比4.99%から4.58%に低下し、予想の4.62%を下回った。
コアCPIは前年比3.91%上昇し、予想の3.95%を下回った。中銀は2024年の残りの期間(2回)に金利を0.5%引き下げて10%にすると予測されている。
9月は農畜産物を除いたコアインフレ率が低下したほか、乾期の干ばつの余波で一時高騰していた農畜産物の価格も落ち着きはじめた。
(OECDに続き、世銀も成長見通し引き下げ)
世銀はメキシコ経済の減速を予測しており、2024年のGDP成長率予測は2.3%から1.7%に下方修正。今後2年間のメキシコの経済成長予測も引き下げた。2025年は1.5%成長と予想しているが、これは前回の2.1%予測より0.6ポイント低い。また、2026年の予測を2%から1.6%に引き下げた。
メキシコの高金利、メキシコペソ安、投資家の不確実性などが成長見通し低下の要因だと語った。
メキシコペソは6月2日の選挙以来大幅に下落しているが、その主な理由は、ロペス・オブラドール前大統領が退任の2週間前に署名して成立した連邦政府の司法改革に対する懸念である。
メキシコはニアショアリングから利益を得るのに有利な立場にあると述べたが、外国投資を誘致するためには同国がさらに努力する必要があると付け加えた。
(トランプ前大統領=メキシコからの輸入車に200%もの関税を課す)
トランプ前大統領は9月6日、メキシコからの輸入車に200%もの関税を課すと表明した。
国内の自動車産業を支援する目的で輸入車・トラックに100%の関税をかけると公約してきたが、この数字を倍に引き上げた。
(自動車生産は好調)
9月の自動車生産台数は37万8583台と、前年同月と比べて11.7%増えた。単月では2017年10月(38万台強)に迫る過去2番目の水準だ。米国向けを中心とする輸出の好調が、国境を接するメキシコでの増産意欲を高めている。大手が近年加速させてきた大型の生産投資が結実し、米国の高水準の賃上げでメキシコ生産拠点の競争力が高まっている。
(郷里送金も好調)
8月の海外からの送金額は60億8700万ドルと前年同月比9%増えた。単月で60億ドルを超えたのは6月に続いて2度目で、過去2番目の高水準。通年でも過去最高だった2023年を上回るペースを維持している。