総括
FX「メキシコ逆襲、トリプル高。雲の上に出るか」メキシコペソ見通し
予想レンジ 7.5-8.0
(ポイント)
*米大統領選挙後のメキシコの逆襲、トリプル高。雲の上に出るか
*メキシコ経済大臣=トランプ氏の対中関税は米国企業を危険にさらす
*メキシコ大統領=トランプ氏の勝利について「心配する必要はない」
*10月消費者物価は総合で上昇。コアは低下
*対ドルで20ペソを割りペソ上昇
*対円で5か月ぶり陽線
*司法制度の混乱続く、最高裁判事8名が同時に上院に辞表
*年間では通貨、株価がまだ最弱、ただペソは10月は月間4位
**3Q・GDPは予想を上回る。11月の追加利下げ予想は変わらず
*海外からの投資誘致のための税控除策を打ち出す
*イエレン財務長官がトランプ氏のメキシコ政策を批判
*IMFも成長見通し下方修正。メキシコ中銀、OECD、世銀に続く
*最低賃金の引き上げを狙う(現在日給248.93ペソ=約1900円)
*メキシコの格付けはジャンク債の手前
(米大統領選挙後のメキシコの逆襲、トリプル高。雲の上に出るか)
メキシコが米大統領選後に反撃に出ている。市場も、大統領、経済大臣も反撃している。
米大統領選挙直後の東京市場ではペソは売られたが、その後は昨日までペソは買い戻され、1ドル20ペソを割り込んできた。10年国債利回りは選挙前の10.53%から10.33%へ低下。ボルサ株価指数は選挙前から2.91%上昇している。
ペソ円は10月は5か月ぶり陽線となった勢いが続く。7月の日銀介入以降で唯一対円で雲の上に出ていないメキシコペソだが抜け出しそうだ。
(10月消費者物価は総合で上昇。コアは低下)
10月消費者物価は前年比4.76%上昇し、予想の4.74%をわずかに上回った。9月は4.58%。
コアインフレ率は3.8%に低下し、予想の3.85%を下回った。9月は3.91%。今年最後の3か月間に経済が減速し、今後コア指数がさらに低下するという見方が一致している。
中銀は過去2回の会合で政策金利を引き下げており、緩和サイクルを継続し、11月14日に10.25%まで3回連続で0.25%ポイント引き下げると予想されている。メキシコの経済は2024年にわずか1.5%しか成長しないと予想されている。メキシコの最大の貿易相手国である米国の景気減速と相まって、さらなる緩和の余地を与える可能性がある。
(トランプ次期大統領の対中関税は米国企業を危険にさらす)
トランプ氏が中国からの輸出品に大規模な関税を課す計画は、メキシコで事業を展開する米国企業を危険にさらす可能性があると、エブラード経済相は、次期米政権との困難な貿易交渉に備える中で警告した。
メキシコの中国からの輸入品の大半は約50社によって製造されており、その大部分は米国企業であると語った。「これらの輸入品に関税を課せば、自動車産業をはじめとする企業を危険にさらすだけだ」と述べた。「関税」は辞書の中で最も美しい言葉だと語るトランプ氏は、中国からの輸入品に60%、その他の国に20%の関税を課すと約束している。次期大統領の公約は、米国の最大の貿易相手国であるメキシコに特に大きな打撃を与えるだろう。また、選挙運動中、トランプ氏はメキシコに工場を建設している自動車メーカーは米国にとって「深刻な脅威」だと発言した。
しかしエブラルド氏は、フォードなどの企業がメキシコに主な生産拠点を置いているため、メキシコで操業している米国の自動車工場を米国に移転することは現実的ではないと述べた。「米国の自動車産業がメキシコにあるという事実は、同産業が今世紀生き残ってきた理由の一つだ」と同氏は付け加えた。
(シェインバウム大統領、トランプ氏の勝利について「心配する必要はない」、その1)
米国大統領選挙でトランプ氏が勝利したことは、メキシコ国内や米国内のメキシコ人にとって懸念材料ではないとシェインバウム大統領は水曜日に述べた。
「メキシコ国民全員、心配する必要はありません。米国在住の同胞、ここにいる彼らの親族、メキシコのビジネスマンも心配する必要はありません」と語った。
「我々は自由で独立した主権国家であり、米国と良好な関係を築くだろう。私はそのことに確信を持っている」とした。この安心感は、トランプ氏が「アメリカ史上最大の強制送還作戦」を実行すると約束し、メキシコからの輸出品に関税を課すと脅しているにもかかわらず出されたものだ。これは、米国内にいる数百万人の不法滞在者および正規滞在者のメキシコ人に影響を与える可能性がある。
トランプ氏は、メキシコ政府が米国への犯罪者と麻薬の「猛攻撃」を止めなければ、メキシコから米国への輸出品すべてに「即時」25%の関税を課すと約束した。
「我々はメキシコに侵略されている」とトランプ大統領は述べ、関税計画を「初日かそれより早く」シェインバウム大統領に伝えると付け加えた。(下記へ続く)