総括
FX「格付け見通し引き上げ。ただ11月は最弱の理由は?年間は最強」南アランド見通し
「通貨首位、株価10位」
「予想レンジ 南アランド円8.2-8.7」
(ポイント)
*南ア格付け見通し引き上げも今月は最弱
*今月弱い理由は
*3Q失業率が改善
*11月は追加利下げか
*トランプ政権誕生で、関税引き上げ問題とAGOA法の存続が注目される
*年間では首位堅持
*10月の製造業PMIは低下も50を2カ月連続で上回った
*格上げ示唆は、モルガン・スタンレーも
*弱点は雇用と連立政権の亀裂
*9月消費者物価は4%割れ
*中銀総裁がランド高示唆
*IMFは成長見通しを上方修正
*BRICS会議でのラマポーザ大統領発言にDAが批判
*インフレ目標引き下げは可能
(南ア格付け見通し引き上げも今月は最弱)
週末に南アとメキシコの格付け変更があった。S&Pは南アの見通しを安定からポジティブへ引き上げ、ムーディーズはメキシコの見通しを安定からネガティブに引き下げた。今年の通貨順位首位の南アと最下位のメキシコの勢いを表している。ただ格付けはメキシコがBaa2で投資適格、南アはBB-で依然ジャンク級だ。
ランドは月間では最弱、年間では首位、ドルの猛追を受けている。
(今月弱い理由、中国強硬派のルビオ国務長官任命と原油の米国内掘削促進観測)
メキシコ同様に、中国強硬派のルビオ国務長官任命と原油の米国内掘削促進観測でランドは急落した。特に資源価格の下落が大きい。バイデン政権のロシアからのパラジウム輸入制限で、南ア産のパラジウムが注目され価格も上昇しランドを8.865まで引き上げていたが、昨日は8.476まで下落した。南ア産出の金・銀・白金・パラジウム価格も大きく下落している。
(3Q失業率が改善)
3Q失業率は改善した。3Qは32.1%で2Qは33.5%だった。企業信頼感が改善し、経済成長が回復の兆しを見せていることから、コミュニティ・社会サービスおよび建設部門での雇用増加により、1年ぶりに低下した。国民統一政府(GNU)にとって歓迎すべきものだ。同政府は失業率の削減と経済成長の加速を最優先課題に掲げており、ラマポーザ大統領は国の弱体化したインフラのアップグレードに多額の投資を約束している。建設部門では四半期に17万6000件の新規雇用が創出された。
失業率の低下は、主に雇用の急増によるもので、その多くは建設部門で、南アを建設現場にするというGNUの公約に沿ったものだ。雇用の増加はまた、債務の安定化、国の税基盤の拡大、そして国家に依存する人々の数の削減に向けた政府の取り組みを支援することになる。
雇用の増加は、安定した電力供給による経済状況の改善を背景に生まれた。国営電力エスコム社は、計画停電が経済活動の重荷となっていた数年間を経て、3月以降は計画停電を実施していない。
(11月は追加利下げか)
11月21日に南ア中銀は政策金利を決定する。インフレが緩和し、世界の中銀が慎重に利下げを開始していることから、全体的な見方としては、0.25%程度のさらなる利下げが行われる可能性が高い。