11月19日にソニーグループが買収に向けた協議に入ったと報じられたKADOKAWAの株価が続伸し、翌20日にはストップ高の4,445円水準の買い気配となっている。11月20日午前12時時点の出来高は前日の12倍超の644万株以上で、時価総額は6302億円まで上昇している。1月4日の始値が2,800円だったKADOKAWAの株価は1.5倍に上昇している。
KADOKAWAの2025年3月期の連結業績予想は、売上高は2717億円(前年比5.3%増)、営業利益は163億円(同11.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は90億円(同20.9%減)と増収減益を見込んでいる。今期のKADOKAWAは、「BlackSuit(ブラックスーツ)」を名乗るハッカー集団によるサイバー攻撃で6月にシステム障害が発生し、通期決算で36億円の特別損失を見込んでいる。
一方で、KADOKAWAは大ヒット漫画作品『推しの子』のアニメ化の製作委員会のメンバーであり、これまでにも数多くの人気アニメ作品を手掛けてきた。2023年にはゲーム会社大手の任天堂、カプコンとそれぞれゲーム著作物の利用に関して提携しており、アニメやゲームなどのIP(知的財産)をベースにした成長戦略が拡大している。YOASOBIの世界的なヒット曲『アイドル』も、テレビアニメ『推しの子』のオープニング主題歌である。
また、2022年には東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、角川歴彦氏がKADOKAWAの会長職を辞任している。現在、KADOKAWAの社長は夏野剛氏が務めている。ソニーグループは2024年3月末時点でKADOKAWAの株式を2.1%所有しており、グローバルにおけるIP価値の最大化の推進を両社がともに目指していくのか、注目される。