総括
FX「関税問題で喧嘩かと思いきや、米墨首脳会談は実りあるものに終った?」メキシコペソ見通し
予想レンジ 7.2-7.7
(ポイント)
*トランプ氏の強烈な関税発言後、米墨電話会談があったが、結果は良好
*関税引き上げの要因は貿易不均衡ではなくフェンタニルと不法移民
*メキシコ大統領は、移民・麻薬巡りトランプ氏に協力を示唆
*関税に対してはメキシコは強く反論、報復関税を示唆
*ペソ安に介入不要、メキシコ中銀ロドリゲス総裁
*消費者物価は低下傾向続く
*財政悪化でムーディーズは見通し引き下げとメキシコ政府は反論
*政策金利は予想通り0.25%引き下げ。ペソ下落より経済支援を優先
*中国強硬派のルビオ国務長官任命と原油の米国内掘削促進観測でペソ下落
*司法制度の混乱続く、最高裁判事8名が同時に上院に辞表
*3Q・GDPは予想を上回る
*海外からの投資誘致のための税控除策を打ち出す
*IMFも成長見通し下方修正。メキシコ中銀、OECD、世銀に続く
*最低賃金の引き上げを狙う(現在日給248.93ペソ=約1900円)
(トランプ氏の関税引き上げの理由は?)
トランプ氏は11月25日(東京26日朝)、メキシコとカナダからの輸入に25%、中国からの輸入に10%の追加関税を就任初日に課す意向を示した。
トランプ氏はメキシコとカナダについて、「数千の人々がメキシコとカナダを通じて米国に流入しており、犯罪と麻薬を持ち込んでいる」とし、就任日に署名予定の複数の大統領令の1つとして、両国からの全ての輸入品に25%の関税を課すとした。両国から流入するフェンタニルをはじめとする麻薬と違法な入国者が止まるまで続けるとした。
(反論①シェインバウム大統領)
メキシコのシェインバウム大統領は、トランプ次期大統領が25%の包括的関税を実施すればメキシコはその提案に対して報復すると述べ、メキシコ政府はこの措置が実施される可能性があると警告した。米国の40万人の雇用を奪い、米国の消費者物価を押し上げる。シャインバウム氏は記者会見で「米国が関税を課せば、メキシコも関税を課すだろう」と述べ、メキシコが最大の貿易相手国に対する報復措置の準備を進めていることをこれまでで最も明確に表明した。
シェインバウム大統領は「関税が次から次へと課されれば両国の事業が危険にさらされることになる」と述べ、両国でインフレと雇用喪失を引き起こすと指摘。特にGMやフォードなど、メキシコに工場を持つ米自動車メーカーに大きな打撃を与えるとした。
(反論②エブラルド経済大臣)
メキシコのエブラルド経済大臣は、トランプ次期米大統領が発表した関税により米国で40万人の雇用が失われると述べた。米国では雇用の喪失と経済成長の低下が起きるとした。メキシコの外相はトランプ氏のチームと連絡を取りており、数日中にトランプ氏と会談する予定だ。
(トランプ・シェインバウム会談は両者が評価)
*シェインバウム大統領=私はメキシコが人権を尊重しながら移民現象に対処するために取ってきた包括的な戦略について説明した。移民やキャラバンは国境に到着する前に世話を受けることができる。メキシコの立場は国境を封鎖することではなく、政府間、国民間に橋を架けることであることを改めて強調する。
*トランプ大統領は、メキシコのシェインバウム大統領との会話は非常に生産的だったとコメントした。
*関税引き上げの理由は貿易不均衡ではなく麻薬と移民問題なので解決可能か、トランプ氏が関税強硬策をやる気があるかどうか疑問
(関税発言後、市場はどう動いたか)
11月26日、トランプ次期米大統領が、就任前に意外と早く、メキシコとカナダからの全輸入品に25%、中国に10%の関税を課す方針を打ち出したことから、ペソは大きく下落。25日から昨日までで、対円で最大3.03%下落(7.37円で算出)した。ただ現在は7.42まで戻している。関税後の高値は7.592、安値は7.285、半値は7.4385。
メキシコ株、債券も売られた。ボルサ指数は関税発言後は0.53%安で年初来12.97%安で世界で最弱、10年国債は11月25日の10.28%から10.32%へ上昇、現在は10.28%。
(消費者物価は低下傾向続く)
11月前半消費者物価は4.56%上昇で前回の4.69%から低下、コアは3.58%で前回の3.87%から低下した。
9月小売売上は前年比1.5%減少、予想の1.2%減少、前回の0.8%減少より悪化した。
3Q・GDP最終値は前期比1.1%増加し、予想の1.0%増とほぼ一致。 第1次産業が前期比4.9%増で、主なけん引要因となった。製造業は0.9%、サービスは1.1%それぞれ増加した。
3Q経常収支は7.33億ドルの黒字で2Qの36.39億ドルの黒字から縮小した。