総括
FX「12月は首位スタート、米墨首脳会談後は下げ止まる」メキシコペソ見通し
予想レンジ 7.2-7.7
(ポイント)
*12月は首位スタート、トランプ氏とシェインバウム大統領会談後は下げ止まる
*年間では最弱通貨 株も最弱
*最近の経済指標は改善
*大統領が格付け会社と会談、格付け発表が近いか
*メキシコの最低賃金が支えるニアショアリング
*メキシコ大統領 フェンタニル“過去最多押収” 取締りアピール
*関税に対してはメキシコは強く反論、報復関税を示唆
*ペソ安に介入不要、メキシコ中銀ロドリゲス総裁
*司法制度の混乱続く、最高裁判事8名が同時に上院に辞表
*3Q・GDPは予想を上回る
*海外からの投資誘致のための税控除策を打ち出す
*IMFも成長見通し下方修正。メキシコ中銀、OECD、世銀に続く
(12月は首位スタート、トランプ次期大統領とシェインバウム大統領会談後は下げ止まる)
トランプ次期大統領がメキシコからの輸入に25%、中国からの輸入に10%の追加関税を就任初日に課す意向を示したことで、ペソは売られた。11月は12通貨中8位、ただ12月は最強でスタート。トランプ次期大統領とシェインバウム大統領の電話会談が行われトランプ氏が「会談は生産的だった」と言わしめたことで一旦落ち着いている。関税引き上げの詳細はまだわからないが、引き上げの理由が貿易不均衡ではなく、不法移民と麻薬フェンタニルの流入であり、それらは解決可能ということが両首脳会談から伺われた。
年間ではメキシコペソは依然最弱で対円で10.6%安、10年国債利回りは10.39%(年初は9.26%)、ボルサ株価指数は年初来で9.73%安。
(最低賃金が支えるニアショアリング、米国の時給とメキシコの日給がほぼ同じ)
ボラノス労働相は、最貧困層労働者を支援するため、来年から最低賃金を12%引き上げると発表した。シェインバウム大統領は、引き上げはインフレを加速させるどころか、人道主義的な経済を促進するという考えを示した。
前政権が近年大幅な引き上げを行ったことから、メキシコの最低賃金は現在1日当たり約249ペソ(12.23ドル=1834円)となっている。
(最近の経済指標は改善、今後の注目は)
10月失業率は2.5%で前月の2.9%から大幅改善となった。11月製造業PMIは49.9で前月の48.4から上昇。来週は11月消費者物価や鉱工業生産の発表がある。政策金利決定は12月20日。
(大統領が格付け会社と会談、格付け発表が近いか)
シェインバウム大統領は、12月3日、S&PのCEOアレバロ氏と会談した。現在の格付けは「BBB」。11月にはムーディーズが格付け見通しを「ネガティブ」とし、これまでの「安定的」から引き下げている。司法制度改革法案による憲法改正が経済を圧迫するリスクがあると説明している
(メキシコの事業環境は悪化へ、トランプ氏復帰で悲観論広がる-中銀調査)
メキシコ中銀調査によると、民間部門のコンサルタントや経済アナリストの79%が、ビジネス環境の悪化を予想した。10月調査の72%から増加し、悲観論の広がりが示唆された。
米国の消費者に比較的近いメキシコへの移転を検討していた企業は、トランプ氏の次期米大統領への選出を受け、新たな不確実性に直面している。シェインバウム大統領は、同国の輸出品に対する米国の関税を回避する合意を目指すとしている。
経済は減速傾向を示している。中銀調査の予測中央値は、2024年のGDP伸び率が1.53%、25年は1.2%。