総括
FX「予想外にGDPが縮小。トランプトレードで弱い」南アランド見通し
「通貨首位、株価11位」
「予想レンジ 南アランド円8.0-8.5」
(ポイント)
*11月月間は11位と弱かったが、12月は3位スタート
*予想外のマイナス成長。3Q・GDP
*11月の製造業PMIも弱い
*今週は消費者物価と小売売上の発表
*シティの南アの成長見通しは楽観的
*BRICS新通貨構想はない(財務大臣)
*鉱産物価格は弱い
*IMFの見通しが改善
*南ア金融システムが改善
*インフレ目標引き下げが議論されているが、結論まで時間がかかりそうだ
*南ア格付け見通し引き上げ
*3Q失業率が改善
*トランプ政権誕生で、関税引き上げ問題とAGOA法の存続が注目される
(11月月間は11位と弱かったが、12月は3位スタート)
11月は12通貨中11位と弱かったが、12月は3位でスタート。年間首位は維持。アフリカ全株指数は年初来13.06%高、10年国債は8.92%。今年、金利が低下している数少ない市場だ。
11月が弱かった要因はトランプトレードで全体的にドル高が進んだこと、さらにトランプ氏が「掘って掘って掘りまくれ」と鉱産物の増産を示唆したことで価格が全体的に下落、資源国南アのランドが売られた。鉱産物価格は依然、反発の兆しがない。
(予想外のマイナス成長。3Q・GDP)
3Q・GDPは前期比0.3%減と、予想外のマイナス成長となった。予想は0.5%増だった農業生産が28.8%減と、大幅に落ち込んだ。穀物などの生産が減少した。トウモロコシと大豆が干ばつの影響を受けた。
アフリカ南部は今年、過去数十年で最悪の干ばつに見舞われており、地域全体の経済生産が打撃を受けている。
GDPは前年同期比では0.3%増。予想の1.2%増を下回った。農業部門を除けば経済は0.4%拡大していたと推測されている。
(11月の製造業PMIも弱い)
11月の製造業PMIは48.1と、10月の52.6から低下し、好不況の分かれ目となる50を割り込んだ。
事業活動指数と新規受注指数がともに低下した。 アブサは「国内のインフレ率と金利は今年に入り低下しているが、需要は依然予測不可能だ。トランプ前大統領が勝利したことを受けて、国際政治の見通しが複雑になっており、世界の経済成長と貿易の行方に対する懸念が浮上している」とした。
(3Q経常収支、貿易収支)
3Q経常収支赤字は、2Qの753億ランドから、708億ランドに縮小した。GDPに対する割合で見ると、経常収支赤字は1.0%で安定していた。
貿易黒字は、2Qの 1,795 億ランドから3Qの 1,770 億ランドへとわずかに減少した。
(今週は消費者物価と小売売上)
今週は11月消費者物価が発表される。予想は前年比で3.0%の上昇、10月は2.8%。コアは4.0%上昇、10月は3.9%。
10月小売売上は前年比で2.1%の上昇予想、9月は0.9%上昇だった。
(シティの南アの成長見通し)
シティ南アは、根強い経済・構造問題にもかかわらず、経済回復の初期兆候を示しており、来年半ばまでに金融活動作業部会(FATF)のグレーリストから外れる可能性があるとの見方を示した。FATFは、不十分なマネーロンダリング対策などいくつかの懸念事項を発見した後、南アに対する監視を強化し、グレーリストに掲載した。
シティは、南アは選挙を経て「かなり成熟した民主主義国家」として浮上したと述べた。
ただ、南アが今後2年間で国内総生産(GDP)成長率3%を達成する可能性は低いと述べた。