主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年1月16日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼15日(水)の為替相場
(1):日銀総裁「利上げを行うか議論」
(2):英CPI伸びが鈍化
(3):米コアCPIが5カ月ぶりに鈍化
▼15日(水)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:荒い値動きに警戒/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
15日(水)の為替相場
期間:15日(水)午前7時10分~16日(木)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日銀総裁「利上げを行うか議論」
日銀の植田総裁は全国地方銀行協会の賀詞交歓会であいさつ。政策調整のタイミングは今後の経済・物価・金融情勢次第としながらも「来週の決定会合で利上げを行うかどうか議論し、判断したい」と発言した。前日の氷見野副総裁に続いて植田総裁も来週の利上げの可能性に言及したことで円が買われた。なお、金利スワップ(OIS)の1月利上げの織り込みは、植田総裁の発言を受けて約60%から70%に上昇した。
(2):英CPI伸びが鈍化
英12月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.5%と市場予想(+2.6%)を下回り、伸びが鈍化(前回+2.6%)。エネルギーや食品などを除いたコアCPIも+3.2%と予想以上に鈍化した(予想+3.4%、前回+3.5%)。英中銀(BOE)が重視するサービスCPIも前年比+4.4%と予想(+4.8%)を下回り、前回(+5.0%)から大きく鈍化した。英中銀(BOE)の利下げ観測が高まったためポンド売りが先行したが、英債高(金利低下)を受けて財政懸念がいくぶん和らいだとの見方からポンド買いも入り、売買交錯となった。
(3):米コアCPIが5カ月ぶりに鈍化
米12月CPIは前年比+2.9%と予想通りに伸びが加速した(前回+2.7%)。ただ、食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年比+3.2%に鈍化した(予想、前回ともに+3.3%)。コアCPIが鈍化するのは7月以来5カ月ぶり。市場では、インフレ再加速の懸念が和らいだことで米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見送り観測が後退。米長期金利が大幅に低下する中でドル売りが強まった。なお、NY連銀のウィリアムズ総裁は「ディスインフレ(物価鈍化)のプロセスは続いている。しかし、2%の目標にはまだ達していない。この目標を持続的な形で達成できるまでにさらに時間がかかる」と述べた。