インドでの新ブランドも視野にコーセーがスキンケアブランド「フォックステイル」を展開するインド企業に出資
(画像=「セブツー」より引用)

コーセーは1月15日、インドでスキンケアブランド「フォックステイル(foxtale)」を展開するフォックステイル(Foxtale Consumer Pvt. Ltd、本社:ムンバイ市、CEO:ロミータ・マズムダール)社に10%出資し、戦略的提携契約を締結したと発表した。コーセーは2024年12月にタイを中心にエッセンシャルオイルなど「パンピューリ(PAÑPURI)」ブランドを展開するピューリ社の株式を120億円超で取得・子会社化しており、グローバルサウス市場への進出を多面的に強化している。

コーセーは2013年に現地法人であるコーセーインディア社を設立しており、翌年にはスキンケアブランド「スパウェイク(Spawake)」を立ち上げ、インド市場の開拓を自前で進めてきた。だが、グローバルサウス市場への攻略において「脱自前」主義を掲げており、今後は外部パートナーとの連携などで地域への最適化を目指す。今回のインドにおける取り組みもその一環だ。フォックステイル社が特に得意とするデータマーケティングのノウハウを有効に活用していくとしている。

フォックステイル社は、ロミータ・マズムダール(Romita Mazumdar)が2021年に創業した、D2Cを中心に展開する化粧品会社で、スキンケア商品の開発に注力している。特に、ビタミンB群の一種で肌荒れやシミやたるみの予防になる効果があるナイアシンアミドを主成分とした美容液が代表的商品のひとつだ。パッケージもカラフルで、商品ごとに女性のポートレートが描かれているのも特徴のひとつだ。

弁護士一家に生まれた創業者のロミータ・マズムダールCEOは、米国のカリフォルニア大学に進学後、投資会社などを経て2021年にフォックステイル社を創業。インド版「Forbes」が毎年発表している「30 UNDER 30(世界を変える30歳未満)」に28歳で選ばれており、早くから次世代を牽引する若手として注目されていた。フォックステイル社も創業からわずか4年足らずで、従業員は約200名、売上高は54億円と急成長を遂げている。現地のベンチャーキャピタルからすでに投資を受けており、コーセーとのパートナーシップによりさらなる成長を目指す。

ロミータCEOは、「インドでは、中間層が増えており、スキンケアに対してお金を払うようになってきた。競争も激化しているが、テクスチャーの好み、製品になにを期待するかといった消費者インサイトを分析し、それに応える商品を作ることで破壊的な成長を遂げてきた。今後はコーセーが持つ研究開発力とともに、R&Dに基づいて化粧品を製造する唯一のインド企業としてさらなる成長を目指していきたい」と話す。

コーセーの小林一俊社長は、「ロミータ氏と話をしていると、創業者の小林孝三郎の言葉を聞いているような感覚になる。創業者としての志の高さと誠実さを感じた」と話し、フォックステイル社が培ってきたデジタルネイティブ世代に向けたマーケティング力を特に高く評価しているという。「チームメンバーは業界内外の専門的な知識を持ち、データを駆使した経営を行なっている。私自身も大変興味深く、ともに成長していけるパートナーではないかと思った。今回の提携は、10年後に向けたインド市場における大きな一歩になった」と説明する。

コーセーのグローバルサウス事業の戦略を担う牧島伸彦部長は、「インド市場の魅力は、圧倒的なマーケットサイズと伸び率だ。コーセーの中長期ビジョンのコアは、現地起点のマーケティングとものづくりへの展開、そして地域に根付いたブランドの獲得という2つのアプローチを組み合わせることで、グローバルでの事業成長を目指す。今回の発表はまさにこの戦略に基いたものだ」と説明している。

両社は今後、ジョイントベンチャーを設立し、新しいブランドを作ることも視野に入れて話し合いを行っているという。コーセーはフォックステイル社の成長に寄与しながら、インド市場でのさらなる事業成長を目指すとしている。