スポンサーの大量離脱、さらには「くいしん坊!万才」の番組放映の見合わせなど、もはや機能麻痺状態のフジテレビ。騒動の発端となった中居正広は芸能界引退を1月23日に表明したものの、事態の収束は一向に見えない状態が続いている。フジテレビジョンの親会社であるフジ・メディア・ホールディングス(以下、フジ・メディアHD)は同日、臨時の取締役会の開催を決定しており、今後の動向が注目されている。17日の記者会見で中居正広の女性問題への幹部社員の関与を否定した港浩一社長だが、フジ・メディアHDの大株主であるダルトン・インベストメンツからは「深刻なコーポレートガバナンスの欠陥」だと厳しく指摘しており、トップ辞任は免れないであろう。
放送メディアのあり方を根本から揺るがしてしまったフジテレビ問題だが、大手広告代理店の電通の株価にも影響が出ている。17日の記者会見から4日連続で株価が下落しており、23日には年初来最安値を更新した。17日の終値が3725円だった電通グループの株価は、連日値を下げ、23日13時現在で4.4%下落している。一般的に広告主がテレビ番組にCMを出稿する場合、電通や博報堂といった大手広告代理店に発注し、これらの広告代理店がテレビ局のCM枠を買い付ける。今回、75社以上のスポンサーがフジテレビへのCM放映を見送る判断をしたが、今後のフジテレビの対応如何ではCMの出稿を控える動きがさらに拡がる懸念もある。
電通グループの国内事業を統括する電通ジャパンの2023年12月期の決算を見ると、1兆8745億円の売上高のうちの30.6%がテレビ関連によるもので、5731億円を計上している。テレビ関連の売上高は依然としてインターネットの売上高4015億円を上回っており、電通グループとしても主軸に悪影響が出ることはなんとしても避けたい。当然、フジテレビに対して今回の事態に対する懸念を伝えているはずだ。フジ・メディアHDの株価は、思惑買いや個人マネーを呼び込み、1月17日から上昇を続けていたが、23日にはマイナスに転じている。ガバナンス不全が露呈したフジテレビだが、厳しい状況は続く。