マンション経営のリスクとその対策とは?失敗しないためのポイントもご紹介
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マンション経営(不動産投資)には、リスクがつきものです。しかし、リスク=不確定要素とは言っても、不動産投資に指摘されるリスクの多くは事前に想定可能です。リスクに対する知識を学び、しっかり備えるという守りの姿勢を持つことで、投資の規模を拡大させていくこと可能です。今回は、不動産投資について代表的なリスクをご紹介するとともに、その対処法、失敗しないためのポイントもお伝えします。

目次

  1. 1.物件購入のリスク
    1. 1-1.初期費用が高い
    2. 1-2.物件価格が大きく下落する
    3. 1-3.物件購入リスクへ対策
  2. 2.運営のリスク
    1. 2-1.空室リスク
    2. 2-2.入居者リスク
    3. 2-3.ランニングコストが高額になるリスク
    4. 2-4.運営リスクへの対策
  3. 3.災害リスク
    1. 3-1.地震リスク
    2. 3-2.火災リスク
    3. 3-3.災害リスクへの対策
  4. 4.不動産投資に失敗しないための3つのポイント
    1. 4-1.立地条件にこだわる
    2. 4-2.緻密な資金計画を立てる
    3. 4-3.良質な不動産会社を選ぶ
  5. 5.マンション経営のリスクを理解し、きちんと対策しよう

1.物件購入のリスク

マンション経営のリスクとその対策とは?失敗しないためのポイントもご紹介
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マンション経営のリスクの1つに「物件購入のリスク」があります。マンション経営では新築の物件や中古の物件を購入する場合や、土地の仕入れ工務店に依頼し、開発を手がける場合があります。開発から手がける場合は、まず土地を購入し、その後にマンションの建築が必要です。賃貸ニーズのある地域であれば、それらの金額はある程度高額にならざるを得ません。また、社会情勢や保有物件の状態によっては資産価値が大幅に下落する可能性もあります。

1-1.初期費用が高い

地域、土地の広さ、マンションの構造によって初期費用は異なります。例えば、都内にマンションを建てる場合、土地の購入に1平方メートルあたり47万6,100円(令和6年地価公示(東京都分) 区市町村別用途別平均価格表より)かかります。仮に50坪の土地とすると、購入費だけで約8,000万円が必要になる計算です。

<令和6年地価公示 東京都の用途別平均価格表>

令和6年1月1日現在(単位:円/㎡)

エリア住宅地商業地
区部全域704,6003,307,800
都心5区1,662,9006,904,300
その他区581,9001,317,000
多摩全域227,200669,700
北多摩302,900789,800
南多摩160,100551,800
西多摩109,200213,500
島部13,60029,000
東京都全域476,1002,764,600

さらに国土交通省「建築着工統計調査」によると、東京都で延べ床面積50坪の場合の建築費の目安は3,000〜6,000万円ほどです。土地の購入費と合計すると1億円以上となります。中古マンションを購入するケースでも、東京23区の好立地な物件となると購入費は数億円になるのが一般的です。

1-2.物件価格が大きく下落する

物件の資産価値は、社会情勢、立地状況、物件の状態によって変動します。不景気になると高額な不動産を買う人が減るため、不動産価格は下がります。過去にもバブル崩壊やリーマンショック時は土地価格が大幅に下落しています。

また、物件があるエリアの人口が減ったり、大きな工場や大学などが移転したりすると賃貸需要が下がり、物件の資産価値下落につながるケースもあります。

さらに、経年劣化によって物件が老朽化することでも資産価値は低下します。多くはありませんが、入居者の事故死などが発生することでも同様です。

1-3.物件購入リスクへ対策

初期費用が高いことへの対策は、公示地価や路線価で土地の価格を調べ、購入相場を詳細に把握しておくことです。なるべく土地が安く、賃貸ニーズが高いエリアを選ぶようにしましょう。また、建築費用を抑えるためには、複数の見積もりを取ることが必須です。なるべく、質が高くコストが安い業者に発注するようにしましょう。

物件価格下落の対策は、そのエリアの賃貸ニーズのトレンドを、事前にリサーチすることです。人口動態は役所のホームページで調べられます。町丁別の人口・世帯数の年次データを見れば、増加傾向なのか、下落傾向なのか、横ばい傾向なのかがわかるでしょう。

物件のあるエリアに実際に足を運ぶことも大切です。例えば、近くに駅があれば賃貸ニーズが高く、資産価値が下がりにくい傾向にあります。同じように、物件の周辺に大学や工場があれば、入居者となり得る人は多いでしょう。また観光スポットが近いエリアは土地の価格が下がりにくい傾向です。自分の目で確かめておくことをおすすめします。

2.運営のリスク

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物件を購入し、入居者が決まって賃貸経営がスタートしたあともリスクは潜んでいます。ここでは「空室リスク」「入居者リスク」「ランニングコストが高額になるリスク」について解説します。

2-1.空室リスク

マンション経営において、多くの投資家が最初に考えるのは「空室リスク」です。マンション一棟の場合、部屋数がある程度多いため、家賃収入が一気にゼロになるリスクは低いですが、退去者が多くなったり空室期間が長期化したりすると、キャッシュフローが悪化しかねません。

・サブリースにもリスクがある
空室リスクの対策として、一定額の家賃収入が見込める「サブリース」を検討している方もいるでしょう。しかし、サブリースにもいくつかリスクがあるため、注意が必要です。

1つ目は、サブリースでも家賃収入が免責となる期間があることです。例えば退去者が出たあと数ヵ月間は免責期間となるケースがあり、その間、家賃収入はありません。

2つ目は、サブリースで入ってくる家賃が永続的に保証されるものではないことです。家賃保証される期間は、おおよそ2年ごとに見直されるケースが一般的です。見直し後に家賃が減額されることもあり、過去に訴訟問題となったことがありました。

2-2.入居者リスク

空室でなくなり入居したあとにもリスクはあります。家賃が滞納されるリスク、入居者同士がトラブルになるリスクです。

・家賃滞納
入居者が家賃を支払わない、あるいは支払いが遅れる「家賃滞納リスク」です。(公財)日本賃貸住宅管理協会「第28回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』」によると、2023年度の全国の1ヵ月滞納率は1.2%でした。空室同様、ある程度の滞納は発生するものだと織り込んでおきましょう。

・入居者間トラブル
管理側に不備がなかったとしても、入居者同士がトラブルに発展するケースは少なくありません。騒音や異臭、ゴミ捨て問題などトラブルの種はたくさんあります。それにより、退去が発生すると家賃収入の下落につながってしまいます。

2-3.ランニングコストが高額になるリスク

入居者が決まり、家賃収入が安定していてもリスクはまだあります。「ランニングコストが高額になるリスク」です。

・金利が上昇する
物件を購入する際、ローンを活用することが一般的です。家賃収入の中からローンの返済を行っていくのですが、日本銀行の金融政策が変更になり金利が上昇すると、ローン返済額が増えることになります。いつ金利が上昇するか予測することは難しいため、事前に対策しておきたいところです。

・修繕費が発生する
マンションの資産価値を保つためにも定期的な修繕は必須です。そのために、共用部や個室の修繕費を毎月積み立てておきましょう。しかし、突発的に修繕が必要になるケースもあります。人為的に設備が故障したり、災害によって設備が損壊してしまったりすることが挙げられます。こうした場合、軽い故障であれば比較的少ない修繕費で済みますが、災害などのケースでは修繕費が大きな負担になるでしょう。

2-4.運営リスクへの対策

空室リスクの対策としては、まずは良い不動産会社を選ぶことです。経験豊富な不動産会社が勧めてくれる物件のほうが空室リスクは当然低くなります。では、良質な不動産会社を見抜くにはどうしたら良いでしょうか。そのためには、営業担当者に物件の立地や利便性・管理などを質問してみることをおすすめします。

サブリースについては、どういうときに免責になるのか、その期間はどれくらいなのか、契約前に確認しておきましょう。免責期間が出た場合でも、家賃保証の見直しで減額された場合でも赤字にならないか、事前にシミュレーションしておくことです。

入居者リスクの対策は、入居者が以前に滞納したことがあるかどうかを確認することです。また、入居者に家賃保証会社の加入をしてもらうことも対策になります。家賃滞納はあるものと考え、それを見越した収支シミュレーションをしておくことが大切です。入居者間トラブルは、未然にトラブルの種をつんでおくことです。管理会社任せにせず、自分でも定期的に入居者の様子を見ておくようにしましょう。

金利上昇リスクの対策としては、繰上げ返済を行い、返済期間を短縮することが挙げられます。また、ローンを組む際に自己資金を多くし借入額を少なくしておくこともリスク低減につながります。

突発的な修繕費発生リスクは、予測が難しいです。そのため、突発的に修繕することになってもキャッシュフローが悪化しないだけの余剰資金を準備しておくことが対策となります。

3.災害リスク

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外部要因として、災害によるリスクも考えておかなければなりません。不動産投資では家賃収入をローンの返済に充てるケースが多いので、災害によって建物が失われると、一気に返済が滞り破綻してしまいます。

ここでは「地震リスク」「火災リスク」について解説します。

3-1.地震リスク

日本は世界的に見ても地震の多い国です。最近では南海トラフ地震が話題に上ることも多くなりました。

地震によって物件が損壊・倒壊してしまうと入居できなくなり、住める状態に復旧するまでは空室となり、その間の家賃収入は減ってしまいます。さらに、物件を復旧するための費用も発生し、コストが嵩むことになります。

いつ地震が起きるかを事前に予測することは難しいため、地震が起きて空室になったり、復旧が必要になります。

3-2.火災リスク

総務省消防庁の「令和6年版 消防白書」によると、2023年の住宅火災件数は1万1,361件でした。2002年には1万7,274件であったことから減少傾向にありますが、令和に入ってからの直近5年間を見てみると微増しています。

物件が火災に遭ってしまうと、地震同様、その物件に住むことができなくなり、家賃収入が減ることになります。もしすべての部屋が住めなくなってしまうと家賃収入がゼロになってしまいます。さらに復旧にコストがかかるので、キャッシュフローに大きな影響を与えるでしょう。

万が一、物件の管理体制に不備があり、それが原因による火災の場合、被害を受けた住民から損害賠償を求められることにもなりかねません。

3-3.災害リスクへの対策

地震リスクについては、地震の多いエリアを調べることが可能です。物件を購入する際には、地震が少ないエリアにしたり地盤の硬いエリアにしたりするなど、災害リスクも考慮して選ぶようにしましょう。駅近を望む方もいれば、より安全な住まいを求める方もいますので、しっかりとニーズを把握することが重要です。

また、地震が起きても物件が大きく壊れないように、新耐震基準の建物を選ぶことです。1981年に建築基準法が改正され、耐震基準が高くなりました。旧耐震基準では震度5程度までしか言及されておらず、震度6や7といった大地震への備えの弱い建物が多いとされています。実際、阪神淡路大震災では新耐震基準導入以前に建設された建物へ被害が集中しました。可能な限り、1981年以降の新耐震基準の物件を選ぶようにしましょう。

また損害保険への加入も有効です。多くの場合、金融機関で融資を受けるには火災保険への加入が必須となっています。一方で地震保険の加入は必須でないケースが多いのですが、いざというときの備えのためにも加入を検討するとよいでしょう。

火災リスクへの対策としては、1つは耐火性の高い構造で建築することがあります。地震リスクと同じく、火災保険への加入は必須と言えるでしょう。

4.不動産投資に失敗しないための3つのポイント

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ここまで見てきたように、不動産投資にはたくさんのリスクがあります。しかし、対策すればそのリスクも低減できます。不動産投資で失敗しないための3つのポイントを説明します。

4-1.立地条件にこだわる

入居者からの家賃が大きな収入源であるため、賃貸ニーズが高いエリアに物件を保有することが重要です。マンションであれば単身向け、ファミリー向けが考えられますが、ここではファミリー向けとして賃貸ニーズの高い物件の立地に関するポイントをいくつか挙げてみましょう。

  • 近くに学校や公園、スーパーなどがある
  • 電車やバスなどの交通アクセスが良い
  • 病院や交番が近くにある

また、賃貸ニーズが高いエリアの不動産はおおむね資産価値も高い傾向にあります。こうした理由から、物件が建つエリアには十分こだわり、納得いくエリアで購入するようにしましょう。

4-2.緻密な資金計画を立てる

マンション経営を行う上で、どの収入がいくら入り、どの支出がどれくらい出ていくのか、なるべく詳細に把握し、収支シミュレーションを行うことが大切です。

家賃については満室の場合ではなく、空室や滞納を想定して計算しましょう。より現実味のあるシミュレーションができ、いざ空室になった場合も慌てずに済みます。支出についても、さまざまな税金・手数料など支払いが必要な項目について詳細に把握しておきましょう。金額がわからない場合は、幅を持って設定しておくと良いでしょう。

さらに、突発的な何かが発生したときに対応できるだけの余剰資金を確保しておくことが非常に重要です。

4-3.良質な不動産会社を選ぶ

不動産投資は、投資であると同時に経営の側面も持ち合わせています。いずれにおいてもさまざまなリスクがあることは大前提ですが、このリスクをなるべく抑えるためのコツは、やはり良質な不動産会社を選ぶことです。事前にリスクを想定し、対策を施している物件を持つ、良い不動産会社を見つけるようにしましょう。

5.マンション経営のリスクを理解し、きちんと対策しよう

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不動産投資には、始める前や運用中にたくさんのリスクがあります。中にはリスクの発生が予測できないことまであります。まずは、どんなリスクがあるのかを理解することです。リスクを知ることで、投資することを恐れてしまう人がいますが、それらを把握して事前に対策すれば失敗する確率は下げられるのです。リスクとその対策をしっかり計画して、不動産投資を始めてみましょう。

(提供:Dear Reicious Online



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