グローバルキッズCOMPANYは首都圏を地盤とする保育サービス大手。認可保育所を中心に認定こども園、学童クラブなどを合わせて約170施設を運営する。積極的なM&A展開を事業拡大に結びつけてきた。

ただ、共働き世帯の増加に支えられてきた需要も、少子化の加速や待機児童問題の解消などで頭打ちが予想される。事業環境の変化を見据え、新たなM&Aを絡ませつつ、持続的な成長路線をどう確保しようとしているのか。

45施設運営のアソシエを買収

グローバルキッズCOMPANYは6月末、アソシエ・アカデミー(東京都目黒区)を買収すると発表した。アソシエは保育所24施設、学童クラブ14施設、子育てひろば3施設など計45施設(東京都44、横浜市1)を運営している。

買収金額は32億1700万円。グローバルキッズとして最大規模のM&Aだ。7月31日付で、国内投資ファンドの日本プライベートエクイティ(東京都千代田区)から全株式を取得する。

グローバルキッズは認可保育所の新規開設が難しい状況下、中長期的に堅調な運営が見込まれる東京都と横浜市をターゲットにM&Aによる規模拡大を重点戦略に掲げる。請求業務などの一体運営によるコスト削減や、施設増に伴う職員配置の柔軟性の向上といった相乗効果を見込む。

売上高300億円超に王手

アソシエの2025年3月期業績は売上高55億円、営業利益1億7400万円。創業は1991年で30年を超える業歴を持つが、事業承継を目的に2019年に投資ファンドの傘下に入っていた。

グローバルキッズの2024年9月期業績は売上高5.2%増の264億円、営業利益2.3倍の7億8900万円。足元の25年9月期は売上高2.5%減の258億円、営業利益20.3%増の9億5000万円を見込む(昨年11月時点の予想を維持)。

今回子会社化するアソシエの業績が通期でフルに寄与する26年9月期は売上高300億円突破に王手をかける。現在約170の運営施設数も200以上に膨らむ。

M&A Online

(画像=「M&A Online」より引用)

東京都・横浜市に特化戦略

首都圏を地盤とするグローバルキッズだが、ここへきて際立つのが東京都、横浜市への特化戦略だ。2023年には、東京建物傘下で「おはよう保育園」を運営する東京建物キッズ(現おはようキッズ、東京都千代田区)を約3億7000万円で買収し、東京23区と横浜市の基盤を拡充した。

その一方で、他エリアでは既存事業の売却に取り組んできた。昨年、首都圏以外で唯一展開していた大阪市内の認可保育所(5施設)を手放し、関西から撤退した。

また、千葉県、埼玉県でも認可保育所や学童クラブなどの売却を断行。埼玉県内での施設はすでにゼロとなったが、来年4月には千葉県に残る2施設の売却も決めている。

エリア特性や保育需要を踏まえて、中長期に堅調な収益が見込まれる保育所運営に経営資源を集中するのが狙いだ。

“大票田”と位置付ける東京都、横浜市内も例外ではない。東京都認保育所や小規模保育施設などの売却に踏み切った。

2022年には事業の選択と集中の一環として、企業向け保育サービス事業を売却した。企業が従業員の子どもを預かるために社内に保育施設を設ける「企業主導型保育事業」に2018年に参入したが、早々に見直しに動いた。